07/11/03

特集 第40回東京モーターショー2007  
次世代カーが目白押し


コモンレールディーゼル搭載 メルセデス・ベンツE320CDI

第40回東京モーターショー2007が千葉県幕張メッセで10月26日から11月11日まで開催されている。今回のテーマ「世界に、未来に、ニュースです」の通り各メーカーとも環境、安全面に特化した次世代カーなどの発表が見られた。来場者は31日現在で433,700人に上り、ワールドプレミア(世界初の発表)、ジャパンプレミアなどを目当てに海外からの来場者も目立つ。さまざまなモデルが登場しているが、エコロジーオンラインではやはりクリーンエネルギー搭載車について集中的に取り上げてみたい。

日本でもメジャーになるか?クリーンディーゼル

1999年、東京都石原都知事がペットボトルにディーゼルのススを入れて「このススを都民は吸っている!」と訴えてからディーゼル車はにわかに悪者となった。しかし、そのおかげでそれまでのゆるいディーゼル規制が見直されたことは事実。実際に都内の幹線道路の排気ガス臭さが軽くなったとも言われている。

これまでのディーゼルの問題は窒素酸化物(NOx)と黒いスス状物質(PM)などによる大気汚染。この物質を減らすことが課題であった。
しかし、近年のコモンレール技術と呼ばれる、燃料の高圧噴射で燃料を細かくし空気とよく混ぜススを出にくくする方式と、排ガスの後処理技術の向上があり、ディーゼルはクリーンなエネルギーとして認められつつあるのだ。

もともとディーゼルは燃費も良く、ガソリン車に比べてCO2排出量は少ない。すでに欧州では新車販売の約50%がディーゼル、国によっては75%がディーゼル車というほどの人気だ。欧州でこれだけのシェアを持つディーゼル、日本の厳しい規制をクリアして市場に入ってくるのも時間の問題かと言われている。
現在はメルセデス・ベンツのE320CDIのみであるが、日産は2008年秋、ホンダも2009年を目指して発売を予定している。

しかし警鐘を唱える声もある。コモンレール技術は先にも述べたとおり、これまでとは比べものにならないくらい燃料を微粒子化できる。これをナノPMと呼ぶが、粒子が細かすぎてDPFと呼ばれるフィルターをも通過してしまうため、人の肺の奥にまで入ってしまうのではないかという懸念もある。これらナノPMが人体にどのような影響を及ぼすかまではまだ検証されていない。
クリーンで地球温暖化にも効果的と言われているクリーンディーゼルであるが、新技術でもあるため各メーカーには慎重な対応を求めたいところである。

(文責・鞍作トリ)


家庭で充電できる究極のエコカー、電気自動車に注目
一般販売に王手をかけた三菱自動車「i MiEV」

i MiEVをさらに進化させたコンセプトカー、i MiEV SPORTS

「未来のコンセプトカーもいいけれど、いつになったら道路を走れるようになるの?」とギモンの人に朗報なのが、一部で実用が始まり、一般販売も視野に入れたEV。
一押しはやはり、2009年の販売を目指す三菱自動車の「i MiEV(アイミーブ)」だろう。同社人気軽自動車「i(アイ)」の車体をそのまま利用し、エンジン部分をそっくりモーターと交換。リチウムイオン電池を車体床下に敷き詰めたことで、低重心と十分な居住空間の確保が実現した。安定性が格段に上がったうえに、既存車種の流用で価格的にも射程距離に入った格好だ。
「i MiEV」の進化版として展示されたコンセプトカー「i MiEV SPOT(アイミーブスポーツ)」は、その充電方法に、マイクロ波による無線充電という画期的手法を取り入れている。実現すれば、充電にかかる時間と航走距離の問題も一挙に解決する。

 EVが、未来の乗り物から現実的な乗り物になったところで気になるのが、その使い勝手だろう。「i MiEV」は、家庭用コンセントにプラグを差し込むだけで充電ができるという手軽さがうれしい。時間は、200Vで約7時間、100Vなら約14時間がめやす。同じ距離を走る場合のガソリン代に比べ、夜間電力を使えば9分の1の電気代で済んでしまう。高速充電をご希望なら、ステーションなどに設置予定の高速充電器で30分あればOKだ。
将来は、スーパーマーケットやレストランの駐車場などでも気軽に充電できるような社会システムを充実させ、現段階で160㎞(i MiEV SPORTは200㎞)という航走距離の制約を取り払うことが課題。とはいえフル充電で100㎞程度走ることができれば、タウン乗りなら十分という気もするが…。
 走りは驚くほど静かで、加速性能もガソリン車より数段上回るストレスフルな走行。販売価格は現在市場リサーチをもとに設定中だが、自治体の補助がある地域では200万円中盤から後半での価格で購入が可能になるのでは?との関係者の見方もある。

いずれにしても、自然エネルギーとの併用など、ますますクリーンな乗り物へ進化していく余地を残すEVが、私たちのすぐ手の届くところまで来ていることは確かだ。具体的な購入に向けて、自動車の固定概念からそろそろアタマを切り換えはじめてもいい時期なのかもしれない。

(文責・中島まゆみ)

ハイブリッド、燃料電池車、バイフューエルもそろい踏み

第40回東京モーターショーでは、EV、ディーゼルなどのほかにも、さまざまな手法により地球温暖化防止を目指したコンセプトカーや、技術が公開されている。そのいくつかをピックアップしてみた。

ハイブリッドカー

いまや定着した感のあるハイブリッドカーは、ホンダのコンセプトカー「CR-Z」、2007年のニュルブルクリンク24時間レースに出場した「シビック・ハイブリッドレーサー」、レクサス初のハイブリッドSUV、「LF-Xs」、BMWの「Concept X6 ActiveHybrid」など、各社めじろ押しだ。 従来のハイブリッドカーからの進化系も現れた。たとえばボルボの「リチャージ・コンセプト」は、コンセントで充電できるモーターと、バイオ燃料にも対応する1, 600ccのエンジンを組み合わせたハイブリッドカーだ。各ホイール内のモーターで駆動し、充電による航続距離は約100kmだという。充電量が足りなくなると、エンジンが動き出して発電機を回し、モーターに電力を供給する。

ハイブリッドの進化形 ボルボ「リチャージ・コンセプト」

燃料電池車

世界で初めて燃料電池車を実用化したホンダは、実走行可能なコンセプトカー、「FCX CONCEPT」を出展した。軽量、コンパクト、高出力といった条件を満たした新たな燃料電池スタックを搭載。スタイリングは低重心、フルキャピンの独創的なフォルムをまとう。 ホンダの福井社長は、10月24日に開かれたプレス向けのカンファレンスで、11月のロサンゼルスモーターショーで「FCX CONCEPT」をベースにした市販モデルを発表し、2008年に北米と日本で限定販売すると発表している。

バイフューエルカー

一つのエンジンで2種類の燃料が使えるバイフューエルも、数台出展されていた。たとえばマツダが参考出展した「プレマシーハイドロジェンREハイブリッド」だ。ガソリンと、燃やしてもCO2を発生させない水素の両方を使えるロータリーエンジンを搭載する。ただしエンジンにより直接車輪を駆動するのではなく、発電機を回してその電力でモーターを駆動する。つまりハイブリッドカーでもあるのだ。現在は2008年度のリース販売を目指して開発を続けているという。
水素併用型ハイブリッド マツダ「プレマシーハイドロジェンREハイブリッド」


BMWも世界初となる量産型水素駆動ラグジュアリー・セダン、「BMW Hydrogen 7」を出展している。水素とガソリンで駆動するV型12気筒エンジンを搭載し、スイッチを押すだけで走行中でも燃料を切り替えることができる。航続距離は水素で約200km、ガソリンで約500km。すでに2006年に量産ラインで限定生産し、リース形式で世界のVIPに貸与して、主に公用車として使われているという。
このようにあらゆるタイプのエコカーが登場し、実用化寸前のものも多かったのが第40回東京モーターショーの印象だ。もはや化石燃料のセーブや、脱化石燃料を目指したエコカーは、夢物語ではないステージを迎えている。

(文責・写真 岩間敏彦)



一人乗りの低速移動コミューター、スズキコンセプトカー PIXY(ピクシー)

第40回東京モーターショー公式HP
http://www.tokyo-motorshow.com/

(取材:EOL