年々増え続け、日本の夏から秋にかけての風物詩にもなりつつある音楽フェス。たくさんのフェスで、とても進んだ環境対策が実施されています。ウェブサイトでは掲載されていないような環境対策にフォーカスしてレポートします!
世界7大都市で同時開催されたLIVE EARTH
開催日:7月7日(土) 来場者数:約8000人(幕張会場のみ) エコ度:★★★ 影響度:★☆☆
映画『不都合な真実』で日本でも注目を浴びた、前アメリカ合衆国副大統領のアル・ゴア氏が発起人になり開催されました。地球温暖化防止のメッセージを強く訴えるために世界の7大主要都市で開催され、総勢100組以上のアーティストが参加。日本では千葉・幕張メッセをメイン会場とし、京都・東寺ではスペシャルライブが開催されました。
飲食ブースでバイオマスプラカップ・非木材紙食器の導入
とうもろこし由来のバイオプラスチック(ポリ乳酸)のカップを導入。通常のプラスチックよりも、生産やリサイクルの過程で必要な石油等を節約することが可能になります。またサトウキビやアシからできた紙食器も取り入れられました。
フードマイレージの表記
フードマイレージとは、その食材がどこからきて、どのくらいのエネルギーを使って運ばれてきたかを表したものです。全出店者がそれを表記したので、買物客がフードマイレージの少ないメニューを選ぶこともできました。有機農産物やフェアトレードにこだわったものも店に並び、来場者のお腹を満たしてくれました。
排出したCO2を植樹でカーボンオフセット
カーボンオフセットとは、排出されるCO2に相当する植樹や自然エネルギーを利用して埋め合わせるという活動です。出演者・スタッフ・出店者の当日までの移動中のCO2の排出量を計算し、植樹活動を行うという取り組みをしました。その植樹先はインドネシア・カリマンタンです。
ごみゼロナビゲーション
NGO A SEED JAPANによるゴミの収集リサイクル活動が行われました。LIVE EARTHで出たごみは、来場者が9分別、出演者側は13分別で回収という徹底ぶり。ですが残念なことに会場内のトイレにはごみがたくさん落ちていました。来場者の環境への意識が問われた部分でもあります。
グリーン電力の導入
会場内で使用する一部の電力約2000kwが、東京・お台場の潮風公園にある太陽光発電施設「ひだまり~な」から供給されました。まだまだ、完全に自然エネルギーだけで大きな音楽イベントを行うには問題点がたくさんあります。
日本最大級 フェスの重鎮FUJI ROCK FESTIVAL
開催日:7月27日(金)~29日(日) 来場者数:約112000人(前夜祭を除く)
エコ度:★★★ 影響度:★★☆
今年で10年目を迎えたフジロックの中でも一番エコに熱いのが“Gypsy Avalon”というステージ。2000年から設置されたステージですが、開始当初から環境に配慮した会場作りをしてきました。ここから始まった環境対策がフジロック全体へ広がりつつあります。
~Gypsy Avalonを中心にした取り組み~
バイオディーゼル燃料(BDF)の導入
アバロンステージを中心に、ホワイトステージとフィールド・オブ・ヘブンステージをつなぐ緑のなかの木道『ボードウォーク』に使われる電力を発電するために、BDFが導入されました。温泉街に近いというロケーションを生かして、地元の宿や料亭で出た廃食用油を回収し燃料化しています。
太陽光発電を実施
アバロンステージの周りに、かわいらしい様々な表情のひまわりのオブジェが立っていました。よく見るとその口がソーラーパネルになっているんです。そのほかにも、PA席の近くにいくつものソーラーパネルが設置してありました。太陽光エネルギーでステージの電力をまかなったほか、長時間滞在型のフェスには欠かせない携帯電話の充電が太陽光でできるサービスもあり来場者に好評でした。
~フジロック全体の取り組み~
ごみゼロナビゲーション
フジロックではリサイクルできるごみとして、紙食器・紙コップ・ペットボトル・たばこパックを回収していました。紙食器やたばこパックなどの紙製品はトイレットペーパーに、ペットボトルはジャンパーやゴミ袋にリサイクルされるそうです。また回収したごみの分別を来場者が手伝うと、限定オリジナルタオルがもらえるというキャンペーンには長蛇の列ができていました。
飲食店全体で国産の間伐材割り箸を導入
フェス来場者の楽しみのひとつがフェス飯です。多くの人が利用する飲食店では、今年から国産の間伐材を使用した割り箸25万膳が導入されました。今や日本国内で年間消費量約250億膳という割り箸。ほとんどが中国産のものを輸入し環境破壊にも影響しています。そこで今年からフジロックでは、日本国内の森林から切り出された間伐材を使用して作られている国産の割り箸を導入しました。
ギャルから発信するエコ ECO RAVE2007
開催日:8月13日(月) ビーチクリーンを含む参加者数:不明
エコ度:★★☆ 影響度:★★☆
ギャル社長としても有名な藤田志穂さんが手がけるエコプロジェクト『エメラルド・ドライブ』の第2弾として、ジャパニーズレゲエのフェスを開催。場所は神奈川県・由比ヶ浜のビーチで行われました。地球温暖化などの環境問題を啓発するイベントも増えてきていますが、『実際に自分でごみを拾って、現状を実感する』そんなリアリティーのあるイベントになったのではないでしょうか。

一万人のビーチクリーンを目指して
『海を愛するなら、レゲエを愛するなら、まずは身近なところからきれいにしようよ』というメッセージを発信し、1万人のビーチクリーンが行われました。用意された1万枚のごみ袋いっぱいに大量のごみが回収されました。ごみは各地から集まってきたギャルやギャル男たちによって回収・分別。大変な暑さのなかで一生懸命に作業に励む姿が印象的でした。
若者へ発信するエコ
『エメラルド・ドライブ』は「おしゃれに楽しく、心地よく!エンタメ要素もたっぷりで!」をコンセプトに若者にイケてるエコを発信しています。出演アーティストもジャパニーズレゲエをエコバージョンに変えて演奏し、よりメッセージが伝わったのではないでしょうか。
地元のお祭り的フェス 山形龍岩祭
開催日:8月31日(金)~9月2日(日) 来場者数:約5000人
エコ度:★★☆ 影響度:★☆☆
昨年から始まった山形・蔵王温泉で開催される山形龍岩祭。地元の人々を中心に作られたフェスです。約80組の県内外から集まったアマチュアアーティストが参加し入場料は無料。音楽好きにはたまらないフェスです。また出店している飲食店にはローカルフードがたくさん並び、来場者の多くは地元の人で、のんびりとした雰囲気のフェスでした。
地産地消の心意気
地元でとれた食材を地元でおいしく食べるという、『地産地消』の大切さを感じることができました。芋煮や米沢牛の串焼きなど、山形ならではのおいしいものがたくさんありました。その地方独自のおいしい食べ物は、郊外型フェスに参加する醍醐味でもあります。
バイオディーゼル燃料(BDF)の導入
龍岩祭では蔵王温泉という温泉街の土地柄を生かして、廃食用油を集め燃料化しています。会場内の照明や出店に使用する電力の一部が、BDFでまかなわれました。山形市は公共交通機関へのBDF導入など、全国でも有数の環境対策に熱心な都市のひとつです。
ごみは自分で持ち帰る
フェスでは珍しいことに、会場内には来場者用のごみ箱は置いてありませんでした。飲食店から出たごみは自主回収し、来場者は持ち帰るというルール。実際、会場内でごみはほとんど見かけず、その土地を愛する地元の人々の気持ちが伝わってきました。
京都音楽博覧会2007
開催日:9月23日(日) 来場者数:1万5千人
エコ度:★★☆ 影響度:★☆☆
今年初めて、ロックバンド『くるり』の岸田繁さんの呼びかけで開催された地元密着型フェス。かつて、さまざまな伝統文化で栄えた京都を取り戻そう、という気持ちが込められています。会場となった『梅小路公園』は平安建都1200年のときに都市緑化のために整備されたもので、京都駅からほど近い場所にありながらも緑溢れる公園です。そんな京都の人に馴染みの深い場所に、様々なジャンルのアーティストが全国各地から集まりました。
ごみゼロ&リユース『ごみゼロナビゲーション』
会場のゴミは、A SEED JAPANによって8分別回収されました。そのうち飲食店のコップとお皿は、地元NPOの協力によってすべてリユース食器を導入。ごみ削減に積極的に取り組んでいました。
音楽で地域振興
京都出身のアーティストが京都の地域振興のために開催したこのフェス。会場の飲食店や出展したNGO・ NPOは主に京都で活動しているものでした。そんな『くるり』の想いに賛同したアーティストは、博覧会というだけあって実に多彩。日本からは琉球民謡の歌い手、アイルランドからはケルト音楽を奏でる女性グループ、そしてルーマニアからは踊りだしたくなるようなジプシー音楽のバンド…などなど。普通のフェスでは聴けないような音楽が響きました。くるくる変わる楽しいステージに、来場者たちはどしゃ降りの雨にも負けないくらい盛り上がっていました。
ロックの学園with三浦芸術祭vo.1
開催日:11月23日(金)~25日(日) 来校者数:約6000人
エコ度:★★☆ 影響度:★☆☆
神奈川県三浦市では約10年前に設置された風車による風力発電などを中心に、環境対策に積極的に取り組んでいます。そんな土地で『ロックの学園』は、ロックな授業やロックトークセッションを通してロックの素晴らしさを伝えるために開校されました。

風力発電で作るフェス
イベントで使われる電力のうち、約1000kwの風力発電の電力を電源利用しました。ある教室に風力発電を紹介するスペースが設けられていましたが、あまり人気のない様子でした。でも知らないうちにエコアクションの一環のなかに自分がいるということは素敵なことかもしれません。
『地産地消』地元のおいしいもの目白押し
校舎の中庭に並ぶ飲食店には、三浦市の三崎港であがったまぐろづくしの料理などおい
しそうなものがたくさん!来場者はまぐろラーメンやまぐろサンドウィッチなど、普段なかなか食べられない珍しいまぐろ料理に舌鼓を打っていました。
廃校を利用し地域振興
会場は現在廃校になってしまった旧三崎高校を利用しました。ライブは体育館で、食事は中庭や教室で。普通のフェスとは一味違った、学園祭のようなにぎやかな雰囲気で盛り上がりました。また三浦芸術祭が同時に開催され、地元で活動する民芸品作家やアーティストも参加し、地元の人々と来場者がふれあう機会にもなりました。
- FUJIROCKFESTIVAL http://www.fujirockfestival.com/
- LIVE EARTH http://www.liveearth-japan.jp/
- ECO RAVE http://www.sgr-co.net/er/
- 龍岩祭 http://zaoryugansai.com/
- 音楽博覧会 http://www.kyotoonpaku.net/
- ロックの学園 http://www.rocknogakuen.jp/
(取材:町田 佳子 )








