08/8/07

森を育む家づくり

1日本の森林はいま

国内線の飛行機に乗る機会があったら、窓辺に座ってみてほしい。視界が効く日なら、眼下には延々と森林が続くに違いない。それもそのはずだ。日本の国土面積に占める森林面積(森林率)は約67%(平成14年3月31日現在)に及ぶ。先進国の中ではフィンランド、スウェーデンに次いでいる。日本は紛れもなく森林大国なのだ。

豊かな森林から、私たちは多くの恵みを受けてきた。たとえば水だ。森林に降った雨は地中に浸透し、浄化されながらゆっくりと川に流れ出す。また、下草が生えて、木々がしっかりと根を張っている森林は、地域を土砂災害から守ってきた。さらに建築・生活必需品の素材や燃料などを、すべて森林に頼ってきた歴史もある。そして現在では、地球温暖化の抑止策として、森林が二酸化炭素を吸収する能力に期待がかかっている。

しかし、いま、国内の森林の41%を占める人工林が、危機的な状態にあるのをご存じだろうか。遠目には青々としているが、下草の生えない森や、いまにも倒れそうな細い木が並ぶ森林が増えている。それらの森林は、もはや機能をほとんど果たさない。

このような森林が増えた主因は、木材の輸入自由化にある。安価な外材(輸入材)が多く使われるようになり、現在では8割が輸入材になってしまった。国内ではようやく拡大造林時の木々が使える太さになったというのに、国内の山からを切り出しても、運賃を乗せると赤字になるケースがほとんどだ。“業”として成り立たないため、人工林の維持に必要な間伐枝打ちなどの費用も賄えず、荒廃する森が増えているのが実情なのだ。

一方で川上と川下の連携により、国産材の利用と森林の活性化がリンクしはじめた地域もある。その一つ、岩手県気仙郡住田町を訪れた。

拡大造林
天然林や雑木林を伐採した跡地を、針葉樹が中心の人工林に置き換えること。大量の木材が必要だった戦後の復興期に始まり、高度経済成長期まで続いた。

間伐
樹木の生長を助けたり、下草が生えやすくするために、樹木の生長により混み合った森林から木を間引く作業。

枝打ち
樹木を健全に生長させたり、節のない材木を作るために、計画的に下枝を切り落とす作業。

(取材:岩間 敏彦  イラスト :小池 隆夫