08/8/07

森を育む家づくり

5集成材利用を後押しするスモリ工業

生産体制が確立し、使途の開拓が課題になった。泉田専務が営業先として選んだのは、平成6年に知り合い、独自の工法に共感していた仙台のスモリ工業だった。

「平成10年にスモリ工法のモデルになる、責任も持つからと言って、自分の家をすべて集成材で建ててもらったんです。それがオール集成材による家づくりの始まりでした」。

一方、スモリ工業では、「山の職人さんを守りたい」との思いを抱き、平成8年から無垢の国産材への切り替えを開始していた。しかし、当時の材木業者からは、乾燥した材と言われながらも十分に乾燥されていない材木が納入されていた。スモリ工業の家のセールスポイントは国内でもトップクラスの高気密・高断熱だったため、入居後に構造材などの乾燥が進んで狂いが生じていた。「バリバリと音がする」、「壁があばれる」などのクレームが相次いでいたのである。

集成材を普及させたい泉田専務と、クレームを解決したいスモリ工業。両者の思惑は一致した。自分の家を実験台にするとまで言い切った泉田専務の情熱にも共感したスモリ工業の須森明社長は、住田町産の集成材への切り替えを決めた。それは家づくりを通じて、住田町の森を育むシステムが誕生した瞬間でもあった。

家づくりにより森を育むには、まとまった量の材木が使われる必要がある。その点でもスモリ工業との取引はいい方向に作用した。というのも耐久性を追求したスモリ工法は1棟あたりの材木使用量が多く、通常の木材住宅との体積比で150%にも及ぶ。

それに加えて、従来は安価なグリーン材が使われることの多かった羽柄材にまで、集成材を使いはじめたのだ。しかも、高気密、高断熱、高耐久に加えて正直な価格などをセールスポイントとしたスモリ工法は人気があり、着工数が順調に伸びた。着工数が伸びれば住田町産の集成材もたくさん使われる。その積み重ねでいまに至っている。

グリーン材
材木の水分を抜いていないもので、生木とも呼ばれる。ボードの下地などには、一般的に安価なグリーン材が使われることが多い。

羽柄材
垂木、敷居、鴨居などに用いられる木材の総称。

(取材:岩間 敏彦  イラスト :小池 隆夫