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房総の森林ライフ かずさの森通信
vol.2
かずさの森(2004年夏)
夏の風景とキノコを通じた森への想い

かずさの森の様子(2004.8.14)
かずさの森生態園で、今年初めてヤマユリの花を観察することができました。以前は、房総の山でも、当たり前に自生していたヤマユリですが、サルに蕾を摘まれてしまい、花を咲かせることができなかったのです。これは、生態園の自然が豊かになってきた証。サルも全ての蕾を取ることができなかったのでしょう。

8月に入ると、そのヤマユリの花も終わり、ゴンズイ(*1)が赤い包皮に黒い種を実らせています。山グリのイガは順調に大きくなり今年は豊作のようです。春にはワラビがたくさん取れる平場では、春の様子とは大きく異なり、カヤが身の丈以上になり、夏風にそよいでいます。

水辺に目を向けると、ジュンサイが水面を大きく占領してしています。水中にはトリゲモ(*2)が大繁茂し、水が透明感を増しています。池の周りの比較的水気のあるところには、上から見ると赤、下からのぞくと白い小花をたくさんつけたミズヒキの花房が、長くたれています。

セミの鳴き声のうるさい森の中では、日照りにもめげず、クサギ(*3)の花がほのかな甘い香りを放って、虫たちを集めています。また、タマアジサイが薄紫色の小さな花をたくさんつけています。

その一方で、秋の七草でもあるヤマハギが薄紫色の花をつけるとともに、日も短くなり始め、秋に向けての季節の移り変わりを感じさせてくれます。

 

かずさの森への想い

年々、私を悲しくさせることがあります。夏、秋のキノコの発生が少なくなっていることです。

今年のかずさの森の夏は異常で、2ヶ月近く雨がほとんどなく、真夏日が続き、亀山湖の湖底には草が生えてしまうほどです。キノコが少なくなっている原因は、毎年のように繰り返される異常気象のほかに、動物の増加による植生の破壊が挙げられます。

森の植生破壊は、我々人間の所業が起因しています。天敵のいない房総の森に、移入、外来種の動物を放ち、それらが大増殖しているのです。鹿、イノシシ、ハクビシン*4、アナグマ、キョン*5などです。

15年ぐらい前、この地の広葉樹の森の植生は、幾層にもわたる多様な森でした。それがいまではどうでしょう。動物達に食い荒らされた結果、植生が単相になってしまい、地表が露になり、雨がふれば雨水が表土を剥いで流れます。当然、キノコは生えません。

直接的な経済的価値がないとの理由で、山への関心が低下し、人が山に入らなくなった結果、山が、あらゆる物の捨て場になったのです。手に負えなくなったペットの捨て場です。加えて自然保護イコール動物保護という意識から、急速に生息密度を高めた動物たちは、植生を破壊しています。動物達に責任はありませんが、なんでも過ぎるとかならず弱いところに影響がでます。

私には今、森の植物やキノコたちの悲鳴が聞こえます。これからもここを通じて、今森で起きていることを発信します。

つづく

 

*1 ゴンズイは、ヒレに毒をもった棘のある海水魚の名前。植物のゴンズイは、役に立たないという意味で、魚のゴンズイからつけられたという説がある。


*2 トリゲモは、絶滅危惧1B類に指定されている1年草の藻。トリゲモは、鳥毛藻の意味。


*3 クサギの花は、良い香りで虫達を集めるが、枝や葉には強い悪臭があり、臭木と書く。


*4 ハクビシンは、「白鼻心」と書き、顔の真ん中に白い線があるのが特徴。東南アジアなどが原産のジャコウネコ科の中型獣であるが、日本でも古くから生存が確認されている。


*5 キョンは、台湾などに生息する小型の鹿で、房総で確認されているキョンは移入されたもの。体高は、わずか40〜50cm。「がきデカ」の「八丈島のキョン」で有名になった。




岩田 和久 (イワタ カズヒサ)

1949年生まれ、森林塾かずさの森代表、森三昧屋代表。
27年間、森林作業を通じて、森林の保全活動を実践。6年前より市民に林地を解放し、森林の情報発信・交流活動を行う。また、1区画をシカの食害防止ネットで囲い、生態園とし、植物保護につとめている。

かずさの森 http://www.chibayama.ne.jp/kazusa/



 


ジュンサイ
ジュンサイ

クサギ
クサギ

タマアジサイ
タマアジサイ

 



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