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緑の街と緑の人びと
第二回 
前回少し触れた「緑を守る条例(正式には樹木保護の規則)」について掘り下げてみましょう。ところで緑とはどんな役割を果たすのでしょうか? 緑がそこにあれば昆虫が、そして鳥が集まります。また同時に市民に安らぎと美観も提供します。アスファルトで覆われていない土地があれば、雨水はそこから地中にしみ込むでしょうし、地中に水を一時貯めておく機能もあります。
だからこそ「緑は公共のもの」という認識がフライブルクにはあります。ですから夏時間の間(3月‐9月)は、緑の木々はビオトープとみなされ枝を払うことが許されていません。また幹がある一定の太さになれば(地上から1メートルの高さで幹周り80センチという基準)、市の環境局の許可なしに切り倒すこともできません。つまり一定以上の大きさになるとともに木は私物ではなく、公共のものになるのです。家の改築などで大樹を切り倒す必要がある場合も、環境局の指示に従い代替の木を自分の敷地内に植えなければなりません。私有地にも公共性があり、その公共性は条例や法律によって厳しく規制されているのもドイツの特徴です。「おらが土地」という考えで、自分の土地であればなんでもありという傾向の日本とはこの点が違います(注1)。
それではどのようにしてこういった緑を守る条例、景観を守る規制はできたのでしょうか?
ドイツの自然保護は「1969年」という象徴的な時代に転機を迎えます。世界規模で広まった反戦・反核・自然保護運動は、当初は「若気のいたり」「永遠の野党」などと呼ばれるように体制に対して反対を叫ぶばかりのものでしたが、時代が進むにつれて成熟してゆきます。ドイツではその動きは1980年代に政治・行政の場面で実を結ぶようになりました。市民の意見が行政・政治に反映され、役人や議員が提案を作り、市議会が議論し、最終的に決議される。そういった流れの中に経済や教育、インフラ整備、社会福祉だけではなく、環境保護が入るようになったのです。1982年に決議されたフライブルク市の「緑を守る条例」もその環境保護路線の一つの産物と言えるかもしれません。

そして、緑と共に景観を守るというのも、ドイツの公共性のあらわれです。「緑の条例」の他に、洗濯物を通りに面した場所(ベランダなど)に干してはいけないという規制もここにはあります。この規制のお陰で、フライブルクは住宅地ですら観光地のような雰囲気をかもしだしています。緑にしても、景観にしても、人々が気持ち良く過ごせる都市をつくるというのは、大切なことなのです。
ドイツ人にとって憧れの街であり続けるフライブルク市。次回もそんな街の魅力を、自然保護と合わせながらご紹介しましょう。

注1:もちろんドイツでは、「プライバシー保護」が徹底されており、公共性という場面に限ってのみ規制されているという意味で、管理型の社会を目指している訳ではありません。
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村上 敦
(ムラカミ アツシ)
1971年生まれ。岐阜高専土木工学課を卒業後、ゼネコンに入社。東京湾埋立工事 などにおいての環境破壊の惨状に疑問を感じ、ドイツ・フライブルクへ留学。フライブルク大学独文科に在籍しつつ、ドイツの環境政治・行政を学ぶ。途中ドイツ人女性と結婚し、休学。その後、フライブルク地方市役所・建設局に勤務し、
現在は日本の環境機器メーカーのアドバイザー、兼主夫。HP(www.geocities.jp/freiburg2004report/)でフライブルクの行政についての分析を行う。」 |
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