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小笠原は東京から1,000kmも離れた南の島。大陸と陸続きになったことがないことから、固有の動植物の宝庫で、「東洋のガラパゴス」と称される。天然記念物に指定されているオガサワラオオコウモリ、オカヤドカリ、アカガシラカラスバト、ハハジマメグロといった動物たちが生息し、ハハジマノボタン、ムニンツツジなど固有種の植物が全体の40%にものぼる。

メインランドの父島の主な産業は観光であることから、他にはない豊かな自然をいかに守り、どのように活用していくかが最大の課題だ。エコーリズムで村おこしを、それが小笠原のテーマとなっている。

「エコツーリズムの推進を村の観光振興のリーディングプロジェクトとして掲げたのは、平成12年のことです。でも、その前からエコツーリズム的なさまざまな取り組みはなされていました。例えば、商業的なホエールウォッチングは平成元年から。行政主導ではなく、地元でそうしたツアーが実践されてきたんです」と、小笠原村役場産業観光課・課長補佐の杉本重治さんは語る。

村では、平成14年6月にエコツーリズム推進委員会を設置。小笠原村、小笠原村商工会、小笠原村観光協会、小笠原母島観光協会、小笠原ホエールウォッチング協会の5者がこの構成メンバーとなった。

同委員会はエコツーリズムを推進していくための基本的な方向性を協議し、16年9月に「小笠原エコツーリズムマスタープラン」を策定している。その基本理念は、「かけがえのない小笠原の自然を将来にわたって残していきながら、旅行者がその自然と自然に育まれた歴史・文化に親しむことで、小笠原の島民が豊に暮らせる島づくり」。エコツーリズムを観光に留めず、農業や漁業、その他の要素をも含む幅広い枠組みとして捉えている。

小笠原村では平成16年3月、総合計画の中で「持続可能な島づくり」を最上位項目として据えた。

「観光バブルの頃に日本全国で土地を大規模に開発して、リゾートホテルを建て、一時はにぎわったけれども、あとは何も残らない。自然も壊されてしまう。そういう島にはしたくない。一時的な観光の収入だけに目を奪われて、自分たちの住んでいる島がどんどん荒れ果てていって、資源という部分では枯渇してしまうことがないように、という考え方ですね」と産業観光課の杉本さん。

いつ来ても変わらない島。それが、観光客に与える安心感は大きい。

「持続可能」というテーマは、小さいコミュニティだからこそ、実現しやすいというのも、友永さんの持論だ。

「東京で持続可能ということを実現しようとすると、いろんな限界があるんですね。この島だったら、あっという間ですよ。ここは地域が小さいから、理想的なことがやりやすい。合意形成を取るのも、人口が多い土地より難しくない。マーケットが小さくてマス的にやるメリットがないから、しがらみもない。

車だって、排気量の少ない車に乗ればいいだけ。逆に排気量の大きい車に乗る人は環境に負荷をかけるんだから、村例を作って税金を高くするとか、排気量の少ない車を買う時は村も補助してあげるとか」

エコロジーな経済のフックは他にもある。「風力発電所を一棟建てれば、それを管理をするのに会社ができる。電気を供給するのに地下ケーブルを掘らなきゃいけないですから、工事が発生する。そのケーブルのメンテナンスも延々とある。それだけで相当な事業が発生して、雇用が生まれるわけです」

環境ビジネスの資金に関しては、ファンドという手もある。

「座間味だとか、ニセコでは、生き残りをかけて民間からファンドを集めていますよ。魅力あるプランを出せば、小笠原はステータスの高い島だから、僕はあっというい間にお金は集まるんじゃないかと思っています」と友永さん。世界一の環境先進の地も夢ではないというのだ。小笠原はその恵まれた自然を命に、動き始めている。


九冨 真理子 (クトミ マリコ)

1959年、千葉生まれ。量販店、マーケティング会社での勤務を経て、フリーのライターに。環境、福祉、医療、教育の4分野を中心に著作活動を行って十数年。ぐーたら虫の主婦(?)ゆえに、息をするように無理のないエコロジーがモットー。今春、夫がガンで亡くなったことをきっかけにメディカル・ソーシャル・ワーカーになることを決意。真に患者がいきいきと自分らしく過ごせるためのサポーターになるのが目下の夢



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