さわやかな晴天に恵まれた4日5日の両日、皇居・吹上御苑で一般の人を対象にした「自然観察会」が開かれた。「みどりの日」の4日は、400倍近い競争率のなか抽選で選ばれた95人が参加。翌5日の「こどもの日」は小学高学年の児童に引率者を含めた90人が参加し、都心とは思えないうっそうとした森の初散策を楽しんだ。
吹上御苑は大宮御所の東側約25ヘクタールの森で、宮内庁職員でも立ち入りが制限されている場所。多くの寺が建立されていた徳川家康のころから時を経て、火除け地、庭園、サツマイモ畑、馬場、ゴルフ場へとさまざまに姿を変えてきたが、昭和天皇の意向で、ほぼ人の手が入らない控えめな管理になって70年になる。そのため武蔵野の面影を残す唯一の森へと成長し、独特の豊かな生態系を育んできた。
苑内の動植物を調査・研究した国立科学博物館の調査結果によると、絶滅危惧(きぐ)種を含む3638種の動物や1366種の植物が確認され、樹齢300年以上にもなる樹木の数は都内にある巨木の2割を占めることがわかった。観察会の参加者も、オフィス街のなかに奇跡的に残った深い自然に驚きを隠せない様子で、研究員の説明を受けながら、渡り鳥のオオルリや黄色の小さな花をつけるヒキノカサ、都内ではほとんど見かけなくなったトンボのコサナエなど、稀少動植物の観賞・昆虫採集を楽しんだ。
今回の一般公開は今年から始まった「みどりの月間」を受けたもので、両陛下の意向もあり敷地の一部公開に至った。宮内庁は観察会の結果を踏まえ、今後同様な公開を継続するか検討するという。
都心に残された秘境「吹上御苑」は、動植物だけでなく都会人にとっても、足もとに自然を残せる可能性を示す大切な存在といえそうだ。
中島 まゆみ(Writer)

