エコニュース

08/9/23

英政府が全家庭を対象にした断熱費補助を実施

こうしたイギリスの住宅はすべて高断熱化が図られる予定

こうしたイギリスの住宅はすべて高断熱化が図られる予定

英国のブラウン首相が11日、国内全世帯の断熱効率をアップするために、エネルギー関連企業に約1.7兆円を出資させる法案を提出すると発表。年金生活者や低所得者に暖房費を直接補助するだけでなく、家庭のエネルギー効率そのものを向上するための施策に踏み切る。

「今回の補助の目的は、週、月単位ではなく、住宅のエネルギー効率そのものを良くするという長期的な視野を持ったものだ」と語る英環境大臣のヒラリー・ベン氏。この施策が導入されれば一世帯あたり年間約56,000円の光熱費の節約が可能になる。

英国では今年4月、エネルギー関連企業が今後3年間に約5.2兆円を投入し、約200万世帯の断熱性能を改善することを義務付ける法律「CERT(炭素削減目標)」が施行された。今回の1.7兆円のうち、約1兆円はその「CERT」に追加され、国内の全世帯が「CERT」の対象となった。その結果、屋根裏や壁に断熱材を施すなどの工事にかかる費用は低所得、および高齢者世帯では無料。そして一般家庭では半額補助となった。

残りの約0.7兆円は、国や、地方自治体、ボランティア団体、エネルギー企業が協力して、低所得世帯の寒さ対策を支援する、新しいプログラムに費やす。

一方、低所得者の権利保護団体などからは「そんなのんきなことでは、今、暖房が必要な人は救えない」との批判もある。だが、エネルギーロスの大きい住宅のままで、化石燃料を燃やし続けるのは、地球温暖化に対しても、原油の枯渇に対しても、正しい選択とも思えない。日本もまさに、原油高によって疲弊する第一次産業を抱え、その舵取り次第では同様の批判を受けることになる。

地球益と個人益のバランスをいかにとるのか。現代の政治家に課せられた大きな難問の一つだ。

(翻訳:中野よしえ)

上岡 裕(Writer)