【インド発】ヒマラヤの氷河後退の原因が温暖化だという証拠はない

*写真はイメージです。
インドの環境省は11月9日、ヒマラヤの氷河が気候変動のために溶けているという決定的な証拠はない、とする討議資料を公表した。しかし、Jairam Ramesh環境大臣は、インド地質調査所の元事務局長のRaina博士による今回の資料内容は、連邦政府の見解ではなく、討議を促す目的だと明言している。
ヒマラヤの殆どの氷河は後退しているが、シアチェン氷河のように前進している氷河や、ガンゴトリ氷河のように以前よりゆっくりしたペースで後退しているものもあるという。大臣は、氷河の健康状態は良くない上に、状況は危機的だと認めるが、温暖化や黒色炭素と関連が有るという証拠は殆んどないとも念を押した。Raina博士も「モニター中の氷河で異常な後退を記録しているものはない」とする。
一方で、博士は長期データが20〜30の氷河に関してしかない事と、ヒマラヤ全域で自動気象観測所が1箇所しかないことをあげ、温暖化との関連を示す決定的な証拠を出すには不十分だとしている。資料によると、「ヒマラヤの氷河は、前線が継続的に後退しており、体積も減少しているが、特に近年はアラスカやグリーンランドのような特記すべき異常な後退は一切見られない」という。北極圏の氷河は海面レベルにあるのに対して、ヒマラヤの氷河はずっと標高が高いため、温暖化が影響する条件が違う、と指摘している。
一般的には、このまま温暖化の勢いが衰えないと、ヒマラヤ氷河の解氷は北部インドの水循環と地域経済への脅威だとみられている。
国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の最新のレポートでは、ヒマラヤの氷河の後退は世界の他のどこよりも速く進んでおり、このまま地球の気温が上昇し続けた場合、2035年かそれ以前に消滅する危険性が非常に高いとしている。IPCC代表のパチャウリ博士は現在進行中のIPCCによる科学的レビューに今回の資料が考慮されるかとの質問に対して、「IPCCは専門家による評価プロセスを経た研究しか考慮に入れない。信用できる適当な出版物にデータが掲載されない限りは、IPCCがそれを受入れることはないだろう」と答えた。
私たちが、地球温暖化の解決策を探るときの拠り所となっているのが、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)のレポートだ。しかし、どんな権威ある機関の発表であっても常に討議を促し、実情を見極めていくことは大事なことだと思える。
文:温野 まき 翻訳サポート:中野 よしえ
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