【ドイツ】地産地消と温室効果ガス
日本では「フードマイレージ」、あるいは「CO2フットプリント」という言葉が氾濫し、環境のため、温暖化防止のため、地産地消を推進しようという動きが活発となっている。しかし、このほど、ドイツ・ハイデルベルク市にあるエネルギー・環境調査研究所(IFEU)が、食料品の多様なケースごとにLCA調査を実施し、この向きを否定する内容を含むセンセーショナルな研究結果を公表している。
http://www.ifeu.de/index.php?bereich=lan&seite=regiofood
「フードマイレージ」とは、食料の輸送距離に焦点をあてて、その量と距離を乗じたもの、つまり単位をトン・キロメートルで表示したもので、中にはそれをCO2換算値で表示したものもある。「CO2フットプリント(あるいはカーボンフットプリント)」とは、その食料の生産、加工、輸送、廃棄までを含めたエネルギー消費量をCO2換算したもので、通常はLCA調査法(ISO)に従って算出されている。
IFEUが公表したところによると、ドイツで通常販売されている「リンゴ(2キロ入り袋)」は、製品の製造から、流通、冷蔵保管、販売を通して、地域産、あるいはニュージーランド産のものとある一定量の差が生じるが(同時に販売時の季節により保管期間が大きく変動するため、いつでも地域産のものがニュージーランド産のものより優れているとは必ずしも言えない)、異なるケースで概ね0.2~0.8kgのCO2が発生していることを確認した。
ただし、これらの数字以上に影響力が大きいのは、消費者がどのような交通手段で、または距離で、その商品を購入するのかというポイントであった。例えば、自宅から5キロ離れた郊外の大型店に車で買い物に行き、通常の一般世帯が行なうような平均的な買物量を一回に購入したとしたら、そのリンゴ購入のための移動に1.5 kgのCO2が発生するという。つまり、一般に環境に優しいとされている「地産で、収穫時期に購入する持続可能な果樹園からのリンゴ」であっても、それを購入するために数キロの距離を車で走ってしまうと、購入のために排出されるCO2のスケールが多大で、いかなるリンゴであろうともほとんど意味がなくなることをこの調査は示している。
この他にも、レタスの場合では、温室栽培をするケースと購入のための移動手段が、同じようなスケールで温室効果ガスを排出している。つまり国産や外国産などにかかわらず、夏季以外にドイツの地物のレタスを購入する場合(温室栽培が必要)、あるいは数キロの距離を車で買物に行く場合、大きなスケールで温室効果ガスを排出している。
牛肉の場合では、大きなスケールで影響があるのは、買物の移動手段と距離に加えて、肉牛のための飼料をどのような土地利用で行なっているのかであり、地産地消はそれほど大きく関係がなかった。
ビールでは、飲食店で樽からの生を飲むのが一番温室効果ガスの削減に寄与することができ、ここでは地域産のビールであることも大きな要因となった。
パンや牛乳については、リンゴと同様、地産地消よりも、購入時の交通手段が大きく影響している。
以上のような研究成果により、地産地消にこだわりすぎるよりも、自転車や徒歩、公共交通手段で買物をし、収穫時期を見極めて買物をすることのほうが、より温暖化対策になることが示されている。
詳しくは、以下の研究報告書全文を参照:
http://www.ifeu.de/landwirtschaft/pdf/Langfassung_Lebensmittel_IFEU_2009.pdf
環境ジャーナリスト 村上 敦
http://murakamiatsushi.de/
文:村上 敦
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