神奈川県発 「ドングリ育てたい"いのち(水源)の森づくり"」教室開催
国産間伐材のポットに、子どもたちがドングリを埋めてつくったポット苗。
毎日飲んでいる「水」は森から供給されている----。
この大事なことを子どもたち、そして関わる大人たちにも知ってもらうために、10月24日(土)、神奈川県川崎市立古川小学校1学年(全3クラス)で、「ドングリ育てたい"いのち(水源)の森づくり"」(通称ドングリ教室)の授業が行なわれた。
主催は、同校の地域にあるNPO法人幸まちづくり研究会(代表理事:千葉美佐子氏)と第61回全国植樹祭神奈川県実行委員会。講師として、森びとプロジェクト委員会が参加した。
神奈川県立三ツ池公園でのドングリ拾い
生徒たちに、ドングリ拾いからドングリ育て、水源の森に植樹するまでの4年間のカリキュラムを提供することになっている。
この日行なわれたのは、ドングリのポット苗づくり。同校の授業参観日でもあり、1学年は、「生活科」の授業として、保護者も一緒にドングリ教室に参加した。ドングリは、今月20日に神奈川県立三ツ池公園で行なわれた自然観察授業で生徒たちが拾い集めたものだ。
森びとプロジェクト委員会のスタッフから、授業の趣旨や森の話などを聞いた後、土と腐葉土を混ぜる作業から始まり、各ポットに2つずつドングリを入れて苗づくりを行なった。使用したポットは、一般的な塩化ビニール製ではなく、NPO法人幸まちづくり研究会が独自に開発した国産間伐材を使用したもので、環境と森林経済の循環に配慮されている。
ドングリはやがて芽を出し、子どもたちと一緒に大きくなっていく
腐葉土と土を手で混ぜ、大切そうにドングリを一つひとつポットに入れて土をかぶせる生徒たちの顔は真剣そのもの。最後は、名前を書いた札を差して、冬を越させるために枯れ葉をかけて完成させた。
後日の振り返りの授業でも、生徒たちは、ドングリのどこから根と芽が出るのか、そのためにどのように埋めるといいのかなどをよく覚えていた。
「みんなが育てたドングリを森に植えて、4〜5年も経つと、先生の背よりも大きくなって、実もつけるんですよ。みんなが大人になるように、ドングリも大人になるんです」と担任が話すと、「えーっ!」と驚きの声が上がった。
同校の三ツ木純子校長は、ドングリ教室に、いままでの授業にはない可能性を感じている。
「単年度で、アサガオや野菜を育てる授業はありましたが、4年間かけて自分たちと一緒にドングリが育っていき、それを自分たちの水源となる森に植林して、森と水を守るということが素晴らしい。子どもたちにとっては、ひとつのことを継続することが大事で、相手がもの言わぬ植物だから、よけいにやってみたいと思いました。いますぐにはわからなくても、いずれ成長していく過程で何かにつながっていけばいいと思います」
とはいえ、こうした外部からの提案を受け入れるのは、ゆとり教育見直しで授業数確保に追われる学校の現実を思うと容易いことではない。しかし、三ツ木校長は、ドングリ教室は学校のカリキュラムに位置づけられると判断した。「1・2年では生活、3年では理科や総合学習になります。それに、私たちは、子どもは地域で育つものだと思っていますので、地域のNPOが学校に関わってくださるのは、とても魅力的です」
ドングリを越冬させるために枯れ葉をかぶせる
元々、NPO法人幸まちづくり研究会は、2004年より、JR労働組合、森林NPO等と協働し、「創ろう!ふるさとの森・守ろう!水源の森」をテーマに、ネイチャーフェスティバルを新鶴見操車場跡地を会場にして開催してきた団体。
2008年度には、「H20年度多様なテーマの森づくり企画立案支援事業」(国土緑化推進機構)の助成を受け、今回の「ドングリ育てたい"いのち(水源)の森づくり"」実施計画書を作成した。
今年度には、神奈川県(第61回全国植樹祭神奈川県実行委員会)との協働事業として取り組むことが確定し、なかなか実施先の小学校が決まらないなか、ようやく川崎市立古川小学校での開催が決まったという経緯がある。
同NPOでは、「大きな木になるドングリの命を植樹まで大切に育ててください」との思いを込めて、ドングリを育ててくれる子どもたちに、間伐材でつくった「ドングリ育てたい」登録カードを渡している。
一人ひとりに手渡された「ドングリ育てたい」登録カード
子どもたちの小さな手に乗ったドングリが、やがて大きな木になる。「ドングリ教室」は水源の森を守るための大きな役割りを担っていきそうだ。
取材:温野 まき
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