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森林保全・再生イベント

小説 『神去なあなあ日常』が描く林業の魅力


トークセッションを行う三浦しをんさん(中)と毎日新聞社 山本悟さん(右)

国土の約7割を森林に覆われている日本。以前は定期的に森の整備が行われていたが、安価な外国産木材が輸入されるようになったことで林業は衰退、間伐のされない森林が増えている。11月17日に開催された「間伐材活用シンポジウム ~豊かな森林を次世代に引き継ぐために~」では、その間伐の重要性にスポットを当て、間伐材を取り巻く状況や、活用の具体策が紹介された。

基調講演を行った東京大学生産技術研究所の山本良一教授は、森林・バイオマス資源が気候変動防止に果たす可能性を語った。後半は、日本林業経営者協会会長の速水亨さんら、林業や間伐材・国産材市場の中心で活躍されている方々をパネリストに招き、日本の林業の課題や展望について議論が交わされた。

そんななか、専門化や現場で働く人たちとは違った視点で林業の魅力を話してくれたのは、トークセッションに登場した作家の三浦しをんさん。三浦さんは今年5月、『神去(かみさり)なあなあ日常』という作品を刊行。横浜生まれ、横浜育ちの主人公・平野勇気が、高校卒業後、三重県中西部の「神去村」に移り住み、研修生として林業の仕事に従事するというストーリーだ。

「もともと祖父が三重県中西部の村で林業をやっていて、子どもの頃はよく遊びに行きました。すごく身近にあったはずの仕事なんですが、作業の様子は見たことがなかった。また、当時から林業は斜陽産業だと教えられてきていたんで、改めて、今の林業ってどうなっているのかを知りたくなったんです」
ところが、実際に林業の盛んな三重県の尾鷲と松坂に赴き、地元の林業家の人に話を聞いたところ、現場は全く"斜陽"なんかではなかったという。
「非常に活気がありますし、ビジネスという意味でも、木を活用してもらおうといろいろな工夫をしている。愛情を持って山の手入れをしている人々のプライドをすごく感じました。そして、作品の登場人物に負けず劣らず、魅力的で面白い人が多かったですね」

斜面の苗木の周囲に生えた草を取り除く「下刈り」や、密集した木々を伐採して間隔を開ける「間伐」、不要な枝を切り落とす「枝打ち」を自然破壊だと思っていたくらい、何も知らずに林業の世界に飛び込んだ主人公の勇気。同じように多くの読者の方が、ほとんど馴染みのない世界である林業の魅力を、この小説から味わっていただければと三浦さんは語る。一見、都市での暮らしと無関係に見えるが、きれいな水や木材などさまざまな恩恵もたらしてくれる山と林業は、国土の7割を森林に囲まれて住む我々にとって、非常に身近で重要な存在であると気付かせてくれる作品かもしれない。

取材・文:加藤 聡

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