国連発 縮小を続けるチャド湖が惨事を引き起こす
かつては世界でも最大級の水塊だったアフリカ中部のチャド湖が、20年後には消えるかもしれないとの警告を、国連食糧農業機関(FAO)が10月15日に発した。気候変動と人口増加が原因で、湖周辺の人々の暮らしに多大な被害がもたらされる懸念がある。
チャド湖は、カメルーンとチャド、ニジェール、ナイジェリアの4ヵ国に囲まれている。1963年には25000平方メートルあった面積が、2001年には1500平方キロメートル、90%も縮小した。チャド湖周辺に住む3000万の人々は、水をめぐって争わざるを得ない状況に追い込まれている。もし湖が干上がることになると、周辺住民の間で集団移住や衝突といった問題が起こる可能性があるとFAOは警告する。
漁獲量は60%減り、放牧地も減少していて、家畜のえさや家畜頭数、そして生物多様性までが損なわれているという。FAOのディレクター、Parvis Koohafkan氏は、「チャド湖の消滅を食い止める処置を講じ、広大な流域に住む何百万人の生活を守らなくてはならない」と言い、「生態系の破壊につながりかねない惨事に対しては、緊急介入が必要だ」と強調する。
チャド湖には、1964年に流域国が集まって設立した、水利用に関する規制と管理を協議する「チャド湖流域コミッション」(LCBC)が存在する。今後はFAOと協力して水量の減少を食い止めるために必要な、水管理技術の抜本的な改革に取り組んでいくことになる。チャド湖の危機的な状況に対する認識を高める目的で、FAOとLCBCは10月16日、ローマで開かれた世界食糧デーで「チャド湖を救え:危機に瀕する水系」と題する特別企画展を開いている。
つい先頃、カザフスタンとウズベキスタンにまたがるアラル海が灌漑など影響で急速に縮小しているというニュースも報道されていたが、水問題は今世紀の最大の困難な課題だということを改めて認識する必要がありそうだ。
文:温野 まき 翻訳サポート:中野 よしえ
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