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いつまでもきれいな海を残したい そのためにできること
エコサーファー 堀直也さんにお話を伺いました。
神奈川県、辻堂の駅に降り立つ。かすかな潮のにおいがする。ここは日本のサーフィン発祥の地とも言われている湘南だ。この場所を拠点としてエコサーファーの堀直也さんは活動している。長身で日焼けした笑顔が印象的だ。
「まずは海、行ってみましょうか」
あいにくの曇り空で肌寒い。ふと足下を見ると堀さんはいつのまにか裸足である。
「とにかく海が大好きで。小さなころから親父がよく海に連れて行ってくれまして。素潜りとかタコを素手で捕まえたりとかやってました。もう自然に体が海を欲しているというか」
中学生の頃は釣りにあけくれ、高校時代は水泳部、大学は海洋学科に進学、この頃からサーフィンを始める。生活の中に絶えず海の存在があった。
卒業後は一般企業に勤務、朝の出社前に一人で海のゴミ拾いをしたという。
「もうきりがないんですよ。ゴミがなくならない。声をかけて参加してもらっても続かない人が多くて。一人でやることの限界を感じましたねえ」
海を大事にする、かっこいいサーファーになりたい、と考える。サーフィンの盛んな場所のサーファーたちはどんな様子だろう、とカリフォルニア、ハワイ島に渡る。
「特にハワイでの半年間がよかった。地元のサーファーたちからいろいろ学びましたよ。向こうの子供は海で遊びます。だいたい3時から6時くらいまで遊ぶんですけど、その時間、大人たちはサーフィンはしない。他の所から来たサーファーにはローカルサーファーが教えるんです。今は子供たちの時間だから待ってって。彼らは海で遊ぶ楽しみを毎日続けているし、それを子供たちにも伝えている、ぼくがやりたい海の守り方だなあと。ゴミに関しても行政が海のビーチクリーンをしているんです。もう当たり前でしたね」
帰国後、フリーマガジン「ES(Eco Surfer)」を創刊、執筆や編集も担当する。現在では年三回、一万部発行しており湘南地区の約350店舗に設置されている。
「海やサーフィンのことを伝える使命感を感じます。子供たちやみんなに海のことを知って欲しい、だから表現していきたい。その手段ですね」
堀さんはいま第一、三土曜日の月二回、辻堂のサーファーたちが行うビーチクリーンに参加している。
「ただゴミひろいだけじゃつまらないなあ、みんなが楽しくなるアイデアはないかなと思ってたんです。砂浜にはガラスのかけらが結構落ちてる。これを何か価値あるものにして、使えないかなと」
勤務していたエコ商品メーカー「がんこ本舗」(茅ヶ崎市)の社長の協力を得て、地域通貨“ビーチマネー”の取り組みが始まる。砂浜のゴミ拾いの時にビーチグラス(角が取れ丸みを帯びたガラスのかけら)も集めてもらい、それが湘南の協力店舗で通貨として使えるような仕組みを作った。ビーチマネーとしての基準は大きさが3cm以上であること、角が丸くなっていて握っても痛くないことなどがある。一店舗につき1人1ヶ月一回まで、大きさや色によって最高300円程度の割引が受けられる。
「この辺の店のオーナーはみんな海が好き。はじまって一年半たった今、だいたい50店舗が参加してくれてます」
今年9月会社を辞めエコプランナーを目指し独立した。エコロジーをキーワードにした事業を企業や地域に提案する仕事だ。
「ぼくは海やサーフィンが好きで、きれいな海を残したいから環境に興味を持った。環境をよくしていくには地域の協力は欠かせない。これは地域の活性化にもつながります。企業や地域とうまく連携しながら行動していくためにプランナーとしてつなげていければと思うんです」
地域の小学校とも定期的に交流を持っている。初め3年生だった子がいま6年生、すでに3年間関わっている。
「総合の授業に参加してるんですけど、一緒に遊んでるって感じです。みんなとビーチクリーンにも行くんですけど、その子たちが“このゴミって全部大人が捨てたんだよね”って言うんですよ。ハッとします。何かを教えるという立場じゃない、むしろ一緒にやってください、という気持ちです。子供たちからはいつも教えてもらってばかりですよ」
「難しいことは専門の学者さんにやっていただいて、ぼくはいろんな人にもっと海を知って欲しい、海に来て欲しい。そのために動きたい」と堀さんはいう。原動力になるのは“海が好き”という気持ち。そんなシンプルな気持ちから広がっていく今後の活躍が楽しみである。
- エコサーファー
http://www.eco-surf.com/
( 取材:鞍作 トリ

