はじめまして、EOLのドイツ・フライブルク通信部担当(そんなのあったかな? ありましたよね、EOL代表・・・)の村上です。
このブログは、フライブルク・エコレポートという少しありふれたタイトルでもって、環境保護の分野で世界をリードしている自治体『フライブルク市』で行われているニュースをお伝えしていこうと思っています(これもありふれていますかねえ・・・)。
さらに! 思いきってドイツやEUで行われているニュースまで守備範囲を広げて、日本の皆様にお伝えできればとも私は思っているわけです。
とはいえ、今は夏休み。ブログの初回にもかかわらず、いきなり『夏休み特集!!』と銘打って、この夏、私が休暇で訪れた旅先のレポートを紹介しちゃいます。
ヒデンゼーへの誘い――車のない楽園(その1)
わたしの大好きな映画に「ゾンネンアレー(Sonnenalle:太陽通り、1999年)」があります。ベルリンの壁に遮られていた東ドイツの若者たちが、沸きあふれる生命力をもてあまし、青春を生き抜くほろ苦いコメディー映画の傑作です。今でも毎年、ドイツの統一記念日近くになるとドイツのテレビでは必ず放映される国民的な人気映画でもあります。このコラムではこの映画について詳しく触れないので、興味のある方は以下のサイトなどで検索お願いします。
http://www.oeff.jp/129_Sonnenallee.html
http://www.sonnenallee.de/
さて、このゾンネンアレーの話を持ち出したのは、とりわけこの映画の主題歌を気に入っているからです。というよりこの映画を映画館で見て以来、主題歌が頭から離れない。ドイツではこの現象を「耳の毛虫:Ohrenwurm」と呼びますが、とにかく気がついたらこの主題歌を口笛で吹き、ハミングをしている有様なのです。
そこでこの主題歌に関して少し説明しましょう。1974年に当時の東独でブームを巻き起こしたニーナ・ハーゲン(Nina Hagen)の『お前はカラーフイルムを忘れやがった(Du Hast Den Farbfilm Vergessen)』と過激なタイトルの曲です。まさに映画にうってつけのメランコリックなトーン、うーん一度聞いたら忘れられない歌なんです。この歌の歌手のハーゲンは、旧東独出身で、東ドイツを脱出したあと、世界の音楽シーンにも影響を与えていて、かなり興味深いウンチクが可能なのですが、とりあえず、ここではこの歌を聴かれることをお勧めするだけにしておきます。
http://www.youtube.com/watch?v=Psw7PZaMThg
『♪ヒデンゼーの砂浜にはサントドルンが小高く茂り・・・ミーシャ、あたいのミーシャよ、心が痛いんだ。野ウサギが砂浜の隠れ家から恐々と顔を出し・・・青い空にあたいの苦痛が爆発する・・・・・・もう一度こんなことをしてみろ、ミーシャ、あたいはあんたを捨ててやるから・・・お前はカラーフイルムを忘れやがった、(この意味分かってんのか)あたいのミヒャエルよ、そのお陰でここがこんなに美しいなんて誰一人信じてくれないよ、ハハハ・・・・・・すべてが青と白と緑の世界だなんて、後からじゃ誰もわかりゃしないよ・・・(村上による趣味の上での意訳ですから、正確には皆さん調べてみてね)』
映画ゾンネンアレーの主人公もミーシャという名前で、これは、この歌からきているのではないかと私はかんぐりたくなりますが、まあ、そんなことよりも、この歌詞の意味について少し。1974年当時、東ドイツにも写真のカラーフイルムが入ってきていた(でも完全に一般化はしていない)。ヒデンゼーというのは、当時の旧東ドイツ、東世界において最も憧れの目で見られていた保養地です。日本で言えばごく限定された人だけがお金を十分貯めてから行くことができるハワイみたいなものです。ヒンデンゼーへ来たことが一世一代のステータスシンボルであったのに、そんな大事なときに彼氏のミヒャエル(愛称でミーシャ)はカラー写真フイルムを忘れてきたのである。これで白黒でしか写真が撮れない。このメランコリックで押しの強い歌声、歌詞、そして当時の時代背景を思えば、『お前はカラーフイルムを忘れやがった(Du Hast Den Farbfilm Vergessen)』はこれ以上ない東ドイツ社会の象徴であったと私は思うのです。
さて、1990年10月3日のドイツ統一からはや17年。少し時間的な余裕(金銭的には余裕なし・・・)のできたわたしは、ようやく重い腰を上げて、この歌にある小島「ヒデンゼー」へと旅することに決めました。砂浜に小高く茂る「サントドルン」を目にするため。
http://en.wikipedia.org/wiki/Sea-buckthorn
環境ジャーナリスト 村上 敦
www.murakamiatsushi.de
