07/9/13

ヒデンゼーへの誘い――車のない楽園(その3)

ヒデンゼーのクロースターに到着しました。港には観光地らしくツーリスト・インフォメーションが整備されていますが、その屋根は、なんと葦でできています。

合掌造りの故郷、飛騨高山市出身の私は感激です。北海やバルト海の沿岸地方では、塩分の少ない河口、海辺や入江に大量の葦が生い茂っている地域があります。人間の考えることはみな同じ。オランダやドイツでも、古くから人びとは葦を屋根ふき材として利用してきたのです。ヒデンゼーの伝統的な建築様式は、瓦ではなく、葦の屋根で、この伝統は現在に至っても大切に保存されており、新築であっても数多くの家が葦ぶきをしていました。

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さて、ようやく宿に到着。今日から5日間お世話になる「Haus Hiddensee」という民宿です。今回は少し奮発して民宿を予約しました。通常、ドイツの旅行では、一週間程度滞在するつもりなら民宿やホテルではなく、一般市民や農家が提供しているキッチンや洗濯施設のついた「休暇用住居(Ferienwohnung)」を利用するのですが、こうした休暇用住居は、自給が基本で、朝食がついていません。ですから休暇に来てまで買い物などはしたくないなあと考えた私は、民宿に居を落ち着けることにしたのです。でも皆さん、ここは要注意。民宿など宿泊施設の数を無制限に増大させていないヒデンゼーでは、かなり前から宿を予約しておく必要があります。特に夏場のシーズンは、半年前には宿を確保しておきたいところです。さもないと、野宿に・・・バルト海沿岸は真夏でも夜は冷え込みます。

さてさて、私がこのヒデンゼーに誘われた理由は、コラムのその1で紹介した歌詞にある「サントドルン」を見たいという他にいくつかあります。まず、ドイツで夕日が海に沈んでゆくのを見たかったから。北向きにしか海を持たないドイツでは、これはなかなか難しいのです。幸い、天候にすごく恵まれて、バルト海に沈む夕日は今回の旅行でばっちり堪能することができました。

そしてもう1つのハイライトが車のない楽園を堪能することです。ここでは、緊急車両やゴミの回収の車、一台ぽっきりのバスを除くと一切、車の通行が許されていません。その楽園の体験については、次回に。

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村上 敦(むらかみ あつし)

1971年生まれ。岐阜高専土木工学課を卒業後、ゼネコンに入社。東京湾埋立工事 などにおいての環境破壊の惨状に疑問を感じ、ドイツ・フライブルクへ留学。フライブルク大学独文科に在籍しつつ、ドイツの環境政治・行政を独学。...全文へ

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