07/9/25

ヒデンゼーへの誘い――車のない楽園(その4)

意外に知られていませんが、バルト海や北海には、数多くの小島が浮かんでいます。大陸の国ドイツと言えども、実は、結構な数の島を所有しているんです。そんな島の中には、昔から伝統的に自家用車を入れないカーフリー政策を採用してきた島々があります。ユイスト島などの東フリースラント諸島にもいくつかありますし、北海のヘルゴラント島ではドイツで唯一の道交法によって自転車の通行さえも禁止されています。これらのカーフリー規制は、繊細な小島の生態系に大きな人からの圧力を加えないため、そして昔ながらの観光地の伝統を守るという2つの理由から多くの場合、成り立っています。つまり、不便を楽しむ余裕といったところでしょうか。

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では皆さん、車のない世界というとどのようなものを想像しますか? ディズニーランドなどのテーマパークを思い描くと分かりやすいかもしれません。それもテーマパークのメイン部分ではなく、人気が少ない一角です。テーマパークを訪れた方は、1日でかなりの距離を歩かれませんでしたか? そんなに歩いてくたくたになっても、なんだか快適な気持ちがしませんでしたか? そんな快適ですがすがしい思いを、ヒデンゼーでは堪能できます。この島での主力交通機関は、馬車と自転車です。南北に16キロと細長い形をしている島で、4つの村がそれぞれ分散していますから、島を全部回ろうとすると歩きでは少し遠いのです。

ですから観光客は定期的に村々を遊覧する馬車に乗るか、レンタサイクルで自転車を借りて移動するかのどちらかになります。島にいると車や機械の騒音が全く聞こえてきません。風の音、波の音、そして人びとの話し声だけが耳に入ってきます。

これは正直言って、気持ち好い。これだけのことを体験することで、休暇や旅行といったものの概念がガラッと変わってしまいます。

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さらに自転車を走らせると、こんなに小さな島だというのに数多くの表現を受け止めることができます。国定公園、鳥類の保護区、自然保護区に指定されている遊水地と葦原、牧草地と牛や羊たちがかもしだすのんびりとした田舎風景、切り立った崖とサントドルンの茂み、歴史ある灯台と海の風景、そして真っ白などこまでも続く砂浜・・・この島ではFKK文化、つまり裸で自由を堪能する文化が認められいますので、残念ながら砂浜の写真はありません。あしからず

・・・続く


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村上 敦(むらかみ あつし)

1971年生まれ。岐阜高専土木工学課を卒業後、ゼネコンに入社。東京湾埋立工事 などにおいての環境破壊の惨状に疑問を感じ、ドイツ・フライブルクへ留学。フライブルク大学独文科に在籍しつつ、ドイツの環境政治・行政を独学。...全文へ

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