08/4/13

石炭火力発電のルネッサンスが到来する

2月12日(火)
最近ではドイツのメディアは興味深い記事を報道するようになってきています。
昨年までは、「石炭火力発電のルネッサンスが到来する」としきりに報道していたのですが、
今年に入ってからは、どうやらそんなことはありえないというトーンの報道です。

例えば、バーデン新聞の経済面を見てみましょう。
タイトルが強烈で、『石炭火力発電所の拡張計画は、すでにゴミ箱行き』というものです。
日本でも、原油価格の高騰、原子力発電の一連の運転停止などの理由から、
新しいクリーン・コールと呼ばれる石炭火力発電所を建設する動きが活性化していますよね。
日本のメディアなどでは、その際にドイツの事例なども引き合いに出しているようですから、
そのドイツの新しい真相をここで紹介してみましょう。

まずは、ドイツの発電事業者たちのここ数年間の動きです。
昨年のはじめまでの段階では、とりわけ規模の大きな発電事業者を中心に、
新型の石炭火力発電所の新設計画が39件(!)、
そして褐炭発電所の新設計画がなんと6件も計画として発表されています。これらを合計すると44,000MW出力にもなります。

しかし、この数字は大きく公表されることもないまま、
なんだか尻すぼみの状態のように縮小しているようです。
各電力発電事業者は、計画の見直し、凍結、中止を次々に決定しています。
一番の理由はといえば・・・原油価格の向上、
中国経済の成長を背景に鉄やセメントなどの材料価格が高騰しており、
計画時よりも発電所建設費用が50~60%割高になったからだそうです。

さらにこのブログでも少し前に紹介しましたが、
EUはより強力な気候温暖化対策、
そしてより厳格な温室効果ガスの排出権取引を政治的に行う模様です。
ですから、新設される石炭火力発電所は40年間で減価償却を見込みますが、
10年先に果たして石炭火力発電所を運転することができるかどうか
非常に怪しい雲行きになっているのです。
いくら石炭が安価で枯渇までの寿命が他の化石燃料より長くても、
燃焼する際に排出する二酸化炭素のために支払うコストが急増するのでは
発電事業者にとっては命取りになります。

ということで、石炭火力のルネッサンスはどうやら訪れないまま終わるようです・・・
ドイツでは原子力発電所もこの先15年間でほぼすべて閉鎖になります。
ということで、ドイツでは、益々再生可能な自然エネルギーからの発電に
期待がかかっているというわけです。
2004年から毎年、ドイツにおいては原子力発電1台分の出力の
自然エネルギー施設が新設されています。
それどころか2007年は140億キロワット時(およそ原発1.5基分)の
クリーンなエネルギーが追加で発電されています。
ですから現在の原発からの発電分、
1,400億キロワット時/年は10年もすれば完全に太陽の活動と地球の活動によって
得られるエネルギーで代替されるという明るい予測もドイツにはあるわけです。

ただし・・・こうした石炭火力発電ダメ、原発撤退、
石油・天然ガスの価格高騰という背景を受けて、
窮地に陥った電力事業者の業界からは新しいキャンペーンが大々的に張られるようになっています。
それについては、今後また紹介しますね。

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村上 敦(むらかみ あつし)

1971年生まれ。岐阜高専土木工学課を卒業後、ゼネコンに入社。東京湾埋立工事 などにおいての環境破壊の惨状に疑問を感じ、ドイツ・フライブルクへ留学。フライブルク大学独文科に在籍しつつ、ドイツの環境政治・行政を独学。...全文へ