08/4/28

『建築・エネルギー・技術(GET Messe)』

2月18日(月)
今週末は、フライブルク市のメッセ会場を覗いてみました。
『建築・エネルギー・技術(GET Messe)』と名づけられた建物とエネルギーに関するメッセで、
今年が第1回目の開催です。
昨年まではフライブルク市では『インターソーラー』と呼ばれる
欧州最大のソーラーメッセが行われていたのですが、
ここ数年来にはじまったソーラーバブルともいえる
ソーラー市場(とりわけPV発電)の拡大で、
人口22万都市の小さなメッセ会場では手狭になってしまい、
残念ながら会場が大都市のミュンヘンに移されることになってしまいました。
そこで、フライブルク市は方向性を「地元密着型」、
かつ「住まい」に限定したメッセを行うことにしたのです。

その結果は、大成功といえるものでした。
ここ数年のインターソーラーは、完全にビジネス化、
グローバル化してしまい、市民が気軽に立ち寄っても得るべきところが少なかった
ソーラーメッセですが、この『GET Messe』では、
市民が地域の工務店や建築家、エネルギーの専門家に気軽に自宅の
エネルギーリフォームについて、あるいは新しい実用化されている技術や商品について情報が得られ、また、新築を考える人の参考になるような多様な展示、相談窓口が設けられていました。

第1回目のローカルメッセということで5,000人の来場者しか見込んでいなかったメッセ主催者は、
2倍の1万人の来場者を迎えることになりました。
来場者の感想や地元の新聞などでも、最大限の賛辞を送られる催しとなったのです。
私も個人的には、最近のドイツで投入されている家屋の断熱材の動向や価格、
あるいは小型のコージェネからソーラー温水器まで沢山の情報が得られて
楽しいひと時を過ごすことができました。

昨年のソーラーメッセの際には、
駐車場にEU諸国ナンバーのメルセデスやBMWなどが並んでいて違和感を覚えたのですが、
今回はFR、VS、OG、EMなどと書かれた地域のナンバーの普通の車が止っていて、
なんだか安心できました(まあ、それがよいとか、悪いとかという話ではないのですが・・・)。

何と言っても今回の目玉は、ソーラー建築家、
専門家とじっくりと個別にコンサルティングを無料で受けられる16箇所の窓口の開設で、
午前中に私は行ったのですが5時間待ちということで残念ながら断念。
この相談窓口は来年にはより規模を拡大して行われることになりそうです。

こうした市民レベルで、家屋の省エネ、自然エネルギーの活用に関心が高まったのは、
何も環境保護の意識が高いからだけではありません。
世界の傾向と同じようにドイツでも原油価格の高騰がエネルギー価格すべてを押し上げていて、
こうした新しい分野への投資が、経済的に非常に魅力的になっているからです。
省エネや自然エネルギーに投資することで、
定期預金以上の経済的な見返りが期待できる世の中がドイツでは本格的に到来しています。

このブログを書いている時点では、日本ではガソリン税などの暫定税率が切れ、
エネルギーの小売価格が一時的にでも低下する可能性が強くなっています。
もちろん、税金の使い道はじっくりと国民的議論を行わなければならないことは当たり前ですが、
エネルギー価格が国際的に見ても安い状況は、
省エネの努力や経済的な効果を薄める方向に働きます。
ドイツのレギュラーガソリンの小売価格は1リットル当たり1.45ユーロ(約230円!)、
ディーゼルは1.35ユーロ(約210円!)。

日本も環境税などを導入し、
価格をうまく誘導しないと世界の徴候に乗り遅れることにならないでしょうか。
オイルショック(=エネルギー価格の高騰)の後からはじまった日本の自動車産業、
家電産業、重工業などを代表とする省エネ商品の開発、
エネルギー効率の世界でのNo.1の地位という事象、
アメリカ(=世界の先進国の中では最もエネルギー価格が安い国のうちの一つ)の
自動車産業などが壊滅的となったしまったのには密接な関連があると考えているのは
私だけではないでしょう。

GET Messe:http://www.get-freiburg.de/

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村上 敦(むらかみ あつし)

1971年生まれ。岐阜高専土木工学課を卒業後、ゼネコンに入社。東京湾埋立工事 などにおいての環境破壊の惨状に疑問を感じ、ドイツ・フライブルクへ留学。フライブルク大学独文科に在籍しつつ、ドイツの環境政治・行政を独学。...全文へ