08/5/09

ハンブルク市/州で議会選挙

2月25日(月)
昨日はハンブルク市/州で議会選挙がありました。
得票率は、保守政党(CDU)は42.6%、中道左派(SPD)が34.1%、緑の党が9.6%、左党が6.4%、
そして自由民主党(FDP)が4.7%でした。
ここ最近のドイツの政治の傾向なのですが、
議会の過半数を取るための連立会派の組み立て方が非常に難しくなってきています。
これまでのドイツでは、保守政党(CDU/CSU)と自由民主党(FDP)で過半数を取るか、
あるいは中道左派(SPD)と緑の党で過半数を取るかという2つのうちの
選択肢でしかありませんでした。
この両方の連立の組み合わせは、
お互いの政策にそれほどぶれがないので、
選挙の後は同時に連立政権が簡単に決まっていたのです。

しかし、2006年からはこうした連立・方程式が成り立たないようになってきています。
CDU/CSUが30~40%、SPDが30~35%、
緑の党とFDPが同程度で6~9%、
そして左党が必ず5~7%程度の支持率を得るようになってきたからです。
つまりこれまでの連立・方程式では、いずれも過半数を得ることができなくなっています。


話はそれますが、ドイツでは各政党を色で表現することが多く、
保守のCDU/CSUは「黒」、中道左派のSPDが「赤」、緑の党が「緑」、
リベラルのFDPが「黄」、そしてこれまで5%ハードルを超えられなかった左党が同じく「赤」です。
5%ハードルとは、小議席の政党が乱立するのを嫌って、
ドイツの法律では議会に議席を得ることのできる政党は支持率が5%を超えているものだけに
限定されています(歴史的に失敗した理由からで、これが該当するのは比例代表制のみ)。


こうしたことから、現在のドイツでは「信号連立政権(赤・緑・黄)」、
あるいは「ジャマイカ連立政権(黒・黄・緑)」が模索されるようになっています。
ジャマイカ連立政権とは、
その参加する政党の色がジャマイカの国旗と同じことからこう名付けられています。
しかし、左党とはどこも組むことはできません。
左党はどちらかというと、以前の共産主義の流れを汲む政党で、
ベルリンや旧東独などの特別な場所を除いては、
ポピュリズムであると各政党が揃って拒絶しているからです。
このような状況で、他に手だてがなかったため現在のドイツの国政では、
メルケル首相率いる保守党の「黒」が、
同率の支持率であった中道左派の「赤」との大連立という政権を形作っています。


さてさて、冒頭のハンブルクでの選挙結果ですが、
ややこしいことに「緑」と「黄」は、
絶対に同じ連立には入らないと言い切っていますので、
唯一の過半数の可能性である「黒」と「緑」という連立政権案が模索されるようです。
ただし、こうした不慣れな連立政権の構築には時間がかかると言われています。
私は、緑の党が州政府において、
はじめてキリスト教民主同盟(CDU:保守政党)と連立を組むことができるのかどうか、
組むとしたらその条件はどのようなものになるのかどうか注目してゆきたいと思います。


そうそう、長い間欧州ではいわゆる保守と中道左派の2大政党制が続いてきましたが、
北欧をはじめとするいわゆる目覚めた市民の存在する小国では、
こうしたシステムはすでに機能しなくなっています。
つまり国民の意見を代表する政党が右と左という区分だけではなく、
多様化しているためです。
さらに目覚めた市民によるフライブルク市の市議会には、
もはや与党・野党という体制そのものがなく、
保守党・中道左派・緑の党の3大会派のうちで2つの会派の支持を集めた決議が
可決されるスタイルになっています。
いわゆる三つ巴の戦いです。こうした議会での議論では、もう、
手に汗握るスリリングな熱気がムンムンしています。


いよいよドイツの国政・州レベルでも2大政党制が本格的に崩れはじめました。
今後は過半数に満たない政権(マイノリティ・ガヴァメント)や
大連立などケース毎に最善と考えられる選択肢が多様化されてゆくでしょう。
間接代表制議会制度(いわゆるデモクラシー)の醍醐味がより一層楽しめるようになったわけです。
政治家の皆さんは大変でしょうが、私は非常に楽しみにこの現象を観察してゆきたいと思います。

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村上 敦(むらかみ あつし)

1971年生まれ。岐阜高専土木工学課を卒業後、ゼネコンに入社。東京湾埋立工事 などにおいての環境破壊の惨状に疑問を感じ、ドイツ・フライブルクへ留学。フライブルク大学独文科に在籍しつつ、ドイツの環境政治・行政を独学。...全文へ