4月3日(木)
昨日、環境省大臣であるジクマー・ガブリエル(SPD党)は、レギュラーガソリン/ハイオクガソリンへのバイオエタノールの混合割合をさらに増加させる予定の凍結を、検討していることが報道されました。
現在のドイツでは、レギュラーガソリンにはバイオ・エタノールが5%混入されています。これを通常はE5と表現します。EUは2020年までに、動力用の燃料市場において、販売ボリュームの10%をバイオマス由来の燃料にすることを参加国に義務付けていますので、ドイツでは今年、来年とこのバイオエタノールの混合量を段階的に引き上げ、最終的にはE10(バイオエタノール10%混合)を実現する予定でした。
ドイツ国内の自動車メーカーへの調査でも、E10はほぼ問題ないとされていました(予測では37万台がE10を利用すると問題が発生するため、スーパー・ハイオク・プラスの利用に転換しなければならないという調査による)。しかし、突然、ADACなどの自動車のユーザーサイドの調査結果が明らかになるにつれ、型が古くE10に対応できない車は、すでにドイツ国内に百万台規模で存在することが判明しました。これを受けて、環境省も再び調査を行い、その結果が出るまでは、エタノールの混合率をE5の現状に押えるという発表があったわけです。ガブリエル環境大臣は、もし最終的な調査の結果、そうした車が100万台を超えるのであれば、この計画は見直さなければならないと発言しました。
ドイツのバイオエタノールは、国内産の菜種油と輸入物の大豆油を精製して生産していますが、現在の食糧危機問題ともからめて、バイオマス由来燃料を推進することが、果たしてどこまで気候温暖化やその他の環境問題を改善することができるのか、あるいはそもそも改善ではなく、逆に悪化させているのではないか、などという議論も盛んです(バイオディーゼル、バイオエタノール、バイオ油といった燃料は、植物の実の部分だけしか利用することができず、カスケード利用がより究極的に進まないことには気候温暖化対策にならないというのが、大方の専門家の見方です。ですから、最終的には全部を使え、エネルギー効率が高いバイオガス・トゥー・リキッド(BtL)がものにならないことには、バイオ燃料は環境保護とは関係がないというのが、ドイツや欧州での環境保護側の主張です。もちろん、その資源がどこから来るのか、そのようにして作られるのかも重要なポイントです)。
ですから、このE10問題と合わせて、さらに軽油中に混合されているバイオマス由来のディーゼル油B5をB7にする計画なども含めて、EUやドイツでは再度目標値の設定について、あるいは推進の是非について議論が続けられるようです。ブラジル、アメリカがバイオエタノールを推進したために、穀物類の価格も高騰していますからね。これも大問題です。
ちなみに日本とは異なりEUの食糧自給率は域内でカロリーベースでおおよそ110%あります。この過剰生産の10%分をエネルギー作物にして(菜種ととうもろこしがメイン)、EU域内の動力用の燃料の10%前後をカバーしてやろうというのが、大まかなEUのバイオマス政策の枠組みです。食料の自給率が100%に満たない国、日本においては、こうした議論はできるはずもなく、動力用の燃料にバイオマス由来の燃料を(輸入に頼って)導入した時点で、それは環境保護のためではなく、食料過剰生産国アメリカの利権や日本が誇る巨大商社の利権のためであることは明確でしょう。
ここの部分では欧州の事例を見たり、聞いたりしても何もはじまりません。日本独自の立場と第三世界の飢えや環境破壊などの現状をしっかりと考慮したモラルある議論を期待したいと思います。結局は、温暖化対策という大儀を得たバイオ燃料でしたが、日本では「市場の失敗」という負の遺産だけが目だっていますね(何だか再生紙のケースも、こんな感じの議論でしたよね)。このテーマでは、「環境省!」をはじめ、政府の動向にも注意してゆきたいです。
