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ハンブルクで緑の党の連立政権が。。。


さて、ドイツ・フライブルク・ニュースの続きです。

このニュースの説明:EUやドイツ、フライブルク地方において、新聞や雑誌、テレビなどで報道されて市民の口に上ったニュースの中から、環境に関連するような出来事を抜粋して、感想文的なものを日本の皆さまに紹介しようと思います。

でも、このために特別に取材をする暇もなく・・・まあ、ドイツの環境にまつわる四方山話のつもりで、気楽に読んでいただければ幸いです。

それから、この記事の日付けは、ドイツで実際にこのテーマが報道された日です。実際には私は当時のメモを見ながら1ヶ月~1.5ヶ月遅れで記事を書いています。

4月17日(木)

ハンブルク市/州において、連立政権の調印がなされました。以前にもお知らせしたように、州レベルでははじめての黒と緑(保守のキリスト教民主同盟CDUと緑の党GAL)の連立政権の誕生です。
http://eol.sakura.ne.jp/eco-online/german-eco/20080509165.php

ハンブルク議会の121議席中、今回の政権は、保守政党(CDU)56議席、緑の党(GAL)12議席で、合わせて68議席、なんとか過半数という形は作られました。しかし本来、緑の党は今回45議席を確保した社会民主党と連立を組むことを望んでいましたし(しかし過半数には届かず)、Linkeと呼ばれる左党はポピュラリズムという問題があるため、旧東独の一部以外では、シリアスな政党として扱われないため、どの連立政権にも入れません。保守党にしてみれば、本来はFDPなどの保守よりの政党と組みたかったのですが、その他の右に寄っている政党はCDUを除いてすべて5%ハードルを超えられず、議席がもらえませんでした。

注:5%ハードルとは、小政党の乱立を防ぐために定められた条項で、5%の支持率のない政党には議席は配分されません。

ということで、難産での連立誕生と相成ったのですが、ここで少し、こうした主張の全く異なる政党が連立を組むということについて、考察してみたいと思います。まず、今回の選挙戦では、これまで野党であった緑の党(ハンブルクではGALと呼ばれる、以下はGALと省略)のCDU批判は激しいものがありました。ですから、いくら議席数で4分1を下回るといっても、GALにしてみれば、マニフェストで訴えた政策のポイントをある程度の割合でCDUに飲んでもらえなければ、連立を組む意味がありません。ポストや権力につられたというイメージを市民に与えられないわけです。CDUとしては、GALとの連立が失敗すれば、社会民主党(SPD)との大連立を組むしかありません。ハンブルクでは伝統的にこの両党は協力関係にありませんから、これはどうしても避けたいところ、つまり立場が少々弱い。そしてLinkeという政党を利用する可能性はゼロです。

このような背景から、黒と緑の連立政権の調停までには、120時間を超える連立のための密室協議が続けられ、それぞれの政党、支持者の顔色を伺いながら、それぞれの政党の主張とポストを駆け引きしたわけです。具体的な内容をここで紹介しても余り意味がないので省きますが、今回の連立での大きなテーマは『石炭発電所モアブルク』の建設中止をするかどうかにかかっていたともいえるでしょう。

2006年の秋には、この石炭火力発電所のプロジェクト建設GOを大手電力事業者Vattenfallが決めましたが、2007年の春に環境局は難色を示し(水利権に係わる許可)、2007年10月には建設中止を求める市民が1万を超える署名を集めました。これが有効署名数を超えたため正式な請願として認可、ハンブルク議会は再度このテーマを議論する必要に駆られています。

もちろん選挙戦でGALはこの石炭発電所建設中止を訴えましたし、その恩恵もあって議席を伸ばしました。ですから、この建設中止を引き出すことができれば、次回の選挙も安泰、数多くのその他の主張は諦められるというわけです。しかし、最終的には連立の調印からは、この発電所にかかわる記述は抜け落ちることとなりました(というか中止か推進かに触れられず、担当の行政部署が検討し、しかるべき認可・判断を下すという表現に落ち着きました。いわゆる決定の先延ばしです)。CDUが威信をかけているこのプロジェクトをそうやすやすと中止するわけにはいかないのです。結局、これを議題から外さないことには、連立政権への道が閉じるため、CDUは大きな政治力を消費して石炭発電所を議題から外し、4分の1の勢力とは考えられないほどGALの数多くの要求を呑んでいます(幼稚園の料金の廃止、青少年刑務所の閉鎖、路面電車計画の推進、州立大学学費の値下げ、などなど、CDUははなから反対していたお金のかかりそうなものばかりを飲んだわけです・・・)。

もちろん連立の話し合いでは、ポストを巡る駆け引きもありました。しかし、それがメインではなく(GALはポストを取っても次の選挙で勝てるわけではないのですから・・・)、異なる基本理念や主張がある2つの政党が、がっぷりと組んで連立で妥協点を探るという駆け引きが繰り広げられました。それを取り巻く報道は、いつ見ても面白く、緊迫したものです。さて、この黒と緑の連立を成立させた政治家、CDU州知事のフォン・ボイスト、そしてとりわけGALの女傑ゲーチュは全国区でそれぞれの政治力を誇示し、政治力の増大が図られることになりました。これから先の州政策運営の場面で、数々の問題が発生することでしょうが、今のハンブルクは全国からの注目を集め、非常に面白い模様となりました。

興味のある方は是非、この連立政権の契約書を読んで見てください。ドイツ語しかわけなのですが・・・
http://www.cduhamburg.de/27002/Uploaded/2008_koalitionsvertrag.pdf

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村上 敦
村上 敦
むらかみ あつし

ドイツ在住の日本人環境コンサルタント。理系出身
日本でゼネコン勤務を経て、環境問題を意識し、ドイツ・フライブルクへ留学
フライブルク地方市役所・建設局に勤務の後、フリーライターとしてドイツの環境施策を日本に紹介
南ドイツの自治体や環境関連の専門家、研究所、NPOなどとのネットワークも厚い

2002年からは、記事やコラム、本の執筆、環境視察のコーディネート、環境関連の調査・報告書の作成、通訳・翻訳、講演活動を続ける

専門分野:
1.環境に配慮した自治体の土地利用計画、交通計画、住宅地開発計画
2.自治体レベルのエネルギー政策、気候温暖化対策

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