ダイムラーとポルシェの街が電動自転車の街に転身!?
6月3日(火)
私の住んでいるフライブルク市は、バーデン・ビュルテムベルク州に存在します。その州都といえばシュトゥットガルト(カタカナ表記は難しいですね)。ダイムラーとポルシェの街です。
EUにおいては都市空間の浮遊性粒子状物質の規制ができており、それに順じた国内法をドイツでも採用していますが、それが大都市ではなかなか達成できない。シュトゥットガルト市は、ドイツで最も成績の悪い街(いわゆるディーゼルなどの煤塵が多い、空気の汚い街)とも言われています。その理由は、もちろん自動車交通の多さにあるのですが、それだけではありません。街がすっぽりと丘に囲まれている地形であるため、大気の入れ替えがなかなか順調になされていないのです。
そんなダイムラーとポルシェと煤の街シュトゥットガルト市では、新たに大気汚染を防止する取り組みが行われています。例えば、ディーゼル車の進入抑制制度。ドイツの他の都市でも採用が始まっていますが、街をいくつかのブロックに分けて、ディーゼル車の排気ガスのクリーン度に応じて、進入を抑制するという制度です。つまり、大気汚染がひどければひどいブロックほど、クリーンな車しか通行できません。
ただし、これだけでは現状が改善されていません。そこで、2008年からはシュトゥットガルトは「自転車の街に!」という意欲高い目標を市長をはじめ市役所は示し、取り組んでいます。今のシュトゥットガルト市内の人の移動の交通手段を表すモーダルスプリット(交通分担率)では、自転車交通は7%しかありません。これを短期間で20%まで上昇させるのを目標としています。
しかし、先述したように丘にすっぽりと囲まれている地形は、つまり坂道が多いことを意味します。市内中心部近くで高低差が最大300M。うーん、あんまり通勤とかに自転車は使いたくないですよね。行きはよいよい、帰りは怖い・・・
そこで、日本ではお馴染みのハイテク自転車の登場です。これまでのドイツでは、電動アシスト付きの自転車はほとんど出回っておらず、フライブルクあたりでそのような自転車を見つけると、つい、「軟弱者!」と感じてしまうわけですが(それでもフライブルク市も黒い森に覆われており、かなりの高低差はあるのです)、大都市ならではの発想なのでしょう。
具体的には今年の秋から、電動アシスト付きの自転車〈こちらではPedelecsと呼ばれています:Pedal Electric Cycle〉の大掛かりなフィールドテストが計画されています。これには、電動アシストの自転車メーカーであるUltra Motorsが百万ユーロ単位の投資を行う準備があるそうです(ただし最終的な提携メーカーは一般公募の入札によるため未定)。数千台の用意された電動アシスト付きの自転車を、市民は月々10ユーロの料金で借りることができます。通勤に利用する人は、自宅で通常のコンセントからバッテリー充電し、市は近距離公共交通の停留所に電動アシスト自転車専用の駐輪場を設置することで、駐輪中にも充電ができるように配慮がなされるそうです。
秋から議会で議論と決議が行われて、それから実践という段階ですが、これが大々的に広がるのであれば、面白いプロジェクトですよね。それにこのUltra MotorsのPedelecsはかっこいい! そう思いませんか?
環境先進国ドイツから最新のエコ情報を発信!
むらかみ あつし
ドイツ在住の日本人環境コンサルタント。理系出身
日本でゼネコン勤務を経て、環境問題を意識し、ドイツ・フライブルクへ留学
フライブルク地方市役所・建設局に勤務の後、フリーライターとしてドイツの環境施策を日本に紹介
南ドイツの自治体や環境関連の専門家、研究所、NPOなどとのネットワークも厚い
2002年からは、記事やコラム、本の執筆、環境視察のコーディネート、環境関連の調査・報告書の作成、通訳・翻訳、講演活動を続ける
専門分野:
1.環境に配慮した自治体の土地利用計画、交通計画、住宅地開発計画
2.自治体レベルのエネルギー政策、気候温暖化対策
オフィシャルサイト
フライブルクから地球環境を考える
〜村上 敦のエコ・エッセイ〜
http://blog.livedoor.jp/murakamiatsushi/
村上 敦の書籍
日本版グリーン・ニューディールへの提言
〜「フィードインタリフ思想」が
経済を活性化する〜
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