文字サイズ:

経済危機と持続可能であるための明るいビジョン

11月には全国各地、およそ20箇所で講演を行いました。来場頂いた皆さま、大変ありがとうございます。私自身もいろいろな方と交流、貴重な情報を頂きまして、大変ためになった1ヶ月でもありました。

それにしても、金融危機以降、日本の閉塞感(と大手メディアは呼んでいますね)はすごいですね。講演会場でも、会う人、会う人が未来への危機感を募らせていらっしゃっいました。ただし、「明るい未来を想像する」というか「持続可能であるためのビジョン」を持つこと自体が、環境保護の場面では重要となってきます。ですから、暗いニュースばかりの新聞紙面というご時世ではありますが、私自身も何か信じられるビジョンを持ち続けて行きたいとも考えさせられました。

そこで、いくつか明るい未来を探してみると、結構面白いニュースがあるものです。例えば:
1.講演会の時にもお話しましたように自動車メーカーのオペルの買収に、ドイツのソーラー大手「SolarWarld」が名乗りを上げています。ドイツの自動車産業に蓄積されている技術を活性化させ、電気自動車をはじめとするグリーンカーの一大メーカーに変革するという構想付きです。現実には実現する可能性は限りなく低いのですが(GMの小会社であるオペルは、GM企業体の一部門として機能していることから、単体での車製造メーカーとしては今のところ機能する見込みがありません)、ソーラー企業が自動車メーカーを支配下に置くという発想自体、1年前までは考えられないことでしたから、時代は確実に変わっているのなだあと考えさせられます。

http://www.afpbb.com/article/economy/2540833/3541573
http://www.solarworld.de/Presse.30.0.html
http://www.zeit.de/online/2008/47/opel-buergschaft

2.オバマ次期大統領の組閣がはじまりましたが、当選後からにわかに「グリーン・ニューディール」という概念が大手メディアにも登場するようになりました。日本の民主党もこうした時代の流暢を受けて、新産業構想を取りまとめています。数年前の時点では、日本でもアメリカでも新エネが次世代の雇用の場となるとは、あまり本気で考えられていなかったようですが、これも時代が確実に変わりつつある徴候だと思います。そうそう、私とEOLは、2003年に経済を救うのは環境だけであるという信念のもとに、ドイツのジャーナリスト、フランツ・アルト博士の著書『エコロジーだけが経済を救う(洋泉社)』を出版しています。
当時それなりに反響はあったものの、こうした取り組みが経済や政治の世界で本当に取り挙げられるまでに5年という月日がかかったという訳ですねえ。今思い起こすと感慨深いものがありますね。

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4896917081/qid=1054625534/sr=1-3/ref=sr_1_2_3/249-1071324-2434731

http://www.asahi.com/politics/update/1206/TKY200812060092.html
http://nwj-web.jp/cover/contents/20081126.html

3.そして、もう一つのニュースは、ずばり温暖化対策。先日、詳細な統計情報が出てきましたが、ドイツは2007年末の段階で、京都議定書の目標値(-21%)を上回る22.4%マイナスという成果を上げたことが判明しました! その内の10%強は、確かに旧東独の非効率なエネルギー・システムが、西側社会のスタンダードなモデルに変換されたことによる数字だと想定されていますが、どちらにしても削減への道へまっしぐらに突き進んでいる状態であることが判明しています。

とりわけ、この削減を推進したのは以下の2つの理由です:
A)省エネリフォーム(助成制度)、新築の省エネハウスの義務化(法制化)という取り組みによって、民生部門での暖房用エネルギーの消費量が大幅に減少しました。
B)農業と廃棄物の部門で、大幅に削減が達成されています。これは、これまでメタンを放出する単なるゴミが、バイオマス燃料として活用されるようになったからです。

残念ながらすでに電力総需要の15%までを担うようになった再生可能エネルギーからの電力供給ですが、90年代の電力需要そのもの急増によって、電力部門全体では温室効果ガスは逆に増加しています。ドイツ政府は2020年までに再生可能エネルギーからの電力を30%と倍増に、高効率のコージェネからの分散型発電の割合を現状の12%から25%へと引き上げるような法整備をフィードインタリフを柱に行っています。2020年の時点で、上述のBの部分には、再生可能なエネルギーが入ることは間違いないでしょう。

そうそう、このように優れた温暖化対策をしたことで、これまで言われてきたように、ドイツ経済は傾斜してしまったのでしょうか? ろくな温暖化対策をしてこなかったアメリカや日本は、このお陰で経済力を強めたのでしょうか?
この答えは皆さんがそれぞれお考え下さいね。
http://www.bmu.de/pressemitteilungen/aktuelle_pressemitteilungen/pm/42674.php

環境ジャーナリスト 村上 敦
www.murakamiatsushi.de

コメントする

(スタイル用のHTMLタグを使えます)

環境先進国ドイツから最新のエコ情報を発信!

村上 敦
村上 敦
むらかみ あつし

ドイツ在住の日本人環境コンサルタント。理系出身
日本でゼネコン勤務を経て、環境問題を意識し、ドイツ・フライブルクへ留学
フライブルク地方市役所・建設局に勤務の後、フリーライターとしてドイツの環境施策を日本に紹介
南ドイツの自治体や環境関連の専門家、研究所、NPOなどとのネットワークも厚い

2002年からは、記事やコラム、本の執筆、環境視察のコーディネート、環境関連の調査・報告書の作成、通訳・翻訳、講演活動を続ける

専門分野:
1.環境に配慮した自治体の土地利用計画、交通計画、住宅地開発計画
2.自治体レベルのエネルギー政策、気候温暖化対策

http://www.murakamiatsushi.net

オフィシャルサイト

www.murakamiatsushi.net

フライブルクから地球環境を考える
〜村上 敦のエコ・エッセイ〜

http://blog.livedoor.jp/murakamiatsushi/


村上 敦の書籍

murakami_greennewdeal.jpg日本版グリーン・ニューディールへの提言
〜「フィードインタリフ思想」が
経済を活性化する〜

murakami_passivehouse_report.jpgパッシブハウスレポート
~豊かな暮らしと子供たちの
世代のための低炭素住宅~

murakami_frieburg_energy_report.jpgフライブルク市のエネルギー政策レポート

murakami_frieburg_machidukuri.jpgフライブルクのまちづくり

村上敦のフライブルク・エコレポート
最近の記事

    follow me on Twitter
    • ei_bn160-140.gif
    • satoyama_bn_160.gif
    • bn_docollabo160.jpg
    • bn_musicgogreen160still.gif
    • bn_minwa_160.gif
    • bn_satoyamadonguri160.gif
    • bn_clubvauban160.gif
    • bn_ohisama160.gif
    • bn_eolways160.gif