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    <title>村上敦のフライブルク・エコレポート</title>
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    <updated>2010-02-24T01:32:52Z</updated>
    
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    <title>ラインを越えて、夢のトラム</title>
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    <published>2010-01-16T15:36:36Z</published>
    <updated>2010-02-24T01:32:52Z</updated>

    <summary>公共交通のルネッサンスといえば、近未来型のデザインのトラムでまちづくり「リデザイン」を行ったフランス・ストラスブールが有名です。このストラスブール市は、ライン川沿い、つまりドイツとの国境に位置しています。また、ストラスブール市は戦争によってもっとも翻弄された街の一つともいえるでしょう。神聖ローマ帝国から自由都市へ、フランス王国からドイツ帝国へ、そして2度の対戦で何度も国境が変っています。 路面電車が普及した20世紀初頭は、ストラスブールを含むアルザス地方はドイツの領土でした。最盛期にはストラスブ...</summary>
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        <name>村上 敦</name>
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        <![CDATA[<p>公共交通のルネッサンスといえば、近未来型のデザインのトラムでまちづくり「リデザイン」を行ったフランス・ストラスブールが有名です。このストラスブール市は、ライン川沿い、つまりドイツとの国境に位置しています。また、ストラスブール市は戦争によってもっとも翻弄された街の一つともいえるでしょう。神聖ローマ帝国から自由都市へ、フランス王国からドイツ帝国へ、そして2度の対戦で何度も国境が変っています。</p>

<p>路面電車が普及した20世紀初頭は、ストラスブールを含むアルザス地方はドイツの領土でした。最盛期にはストラスブール市を中心に路面電車のネットワークは、アルザス地方（現在のフランス）とバーデン地方（現在のドイツ）に網の目のように広がり、総延長230キロがあったといいます。1年間の延べ乗客数は1億人近く、その頃には、路面電車は当たり前のようにライン川を越えていたわけです。</p>

<p>ただし、大戦後の経済成長とともに路面電車は縮小・廃止の一途を辿ります。1964年にはストラスブール市の路面電車は完全に廃止され、車社会へと突入しました。美しい大聖堂を持つこの都市中心部も、車の渋滞と騒音、排気ガスにまみれ、魅力的な景観とは言いがたい状況であったようです。</p>

<p>そんな雲行きが変ったのが80年代です。各種の法律と、とりわけ1989年に社会党の女性市長が誕生すると、路面電車、いやトラムと呼ばれるこの公共交通の復活政策がはじまります。現在では5系統、路線総延長54キロのトラムが、世界からの注目を集めながら日夜、市民に親しまれ、市民の足として活躍しています。</p>

<p>成功したストラスブールのトラムは、90年代後半に「再び、ラインを越えて」という声に繋がってゆきます。ストラスブールのライン川を越えた対岸には、ケールというドイツの小都市があります。ケールは、完全にストラスブールの経済圏にある街で、ストラスブールで働く人びと（ドイツ人も、フランス人も）のベッドタウンにもなっており、また、ストラスブール市民にとっては、ドイツの安価で質実剛健な日用品の買物場所でもあります。通勤・通学時には大量の両国民がこの国境を越えているわけです。</p>

<p>現在はバス交通と近距離鉄道（Sバーン）がこの2つの都市を結んでいますが、車交通も多大で、渋滞が激しく、バスではこれ以上の公共交通としての機能を果たすのが難しいという状況です。ここにトラム路線が通れば、乗客はすぐに30％の上昇、時間は2／3に短縮されるといわれています。</p>

<p>市長が何度か入れ替わった結果、これまであまり進展のなかったこのフランス－ドイツのトラムプロジェクトでしたが、2008年の春に現市長のリス氏が就任すると、俄然、この計画は現実味を帯びてきました。総工費7,300万ユーロ（約100億円）を投入するといわれるトラム延長工事の具体的な計画策定のための予算（180万ユーロ：2.5億万円）が降りたのです（ドイツ側の負担分は7千万円）。フランス政府は2011年中に建設工事が開始するならばという条件で総工費のうち1,000万ユーロの助成金を約束しています。EUのInterregという国境間にまたがるプロジェクトのための補助金も認可される予定です。ドイツ政府も、州も、自治体も支援を約束しています。</p>

<p>いよいよ、トラムもライン川を越えて。美しいストラスブールのトラムの車体が5～10年後に両岸の街を行き来することがほぼ決まりました。その日を楽しみにしています。</p>

<p>環境ジャーナリスト　村上　敦<br />
<a href="http://murakamiatsushi.de/" target="_blank">http://murakamiatsushi.de/</a><br />
</p>]]>
        
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    <title>COP15を終えて、ドイツ社会の反応</title>
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    <published>2009-12-22T00:47:42Z</published>
    <updated>2009-12-22T00:52:57Z</updated>

    <summary>さて、大方の予定通りではありましたが、COP15は成果もなく終わりを告げました。人類の英知は、各国の経済的なエゴ、ひいては個人や企業の経済的なエゴよりも全く非力であったことが確認された会議でした。</summary>
    <author>
        <name>村上 敦</name>
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    <category term="cop15" label="COP15" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
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        <![CDATA[<p>さて、大方の予定通りではありましたが、COP15は成果もなく終わりを告げました。人類の英知は、各国の経済的なエゴ、ひいては個人や企業の経済的なエゴよりも全く非力であったことが確認された会議でした。</p>

<p>地球温暖化の場面では様々な美しいコメントが、とりわけ経済的なエゴが強い男性社会の具現のような人の口から吐き出されます。子どもを、森を、美しい自然を守ろうという聞き飽きたコメントです。デン・ハーグの国際刑事裁判所に送られてもおかしくない国家の責任者の口から、――紛争における人権侵害、殺略などを繰り返してきたエチオピア、スーダンなどがそれです――そのようなコメントが口にされ、そしてそうした国々がコペンハーゲンでは、人類を脅威から守ろうと呼びかけるおかしな主張が見受けられました。</p>

<p>今回のCOPでは、一つのことが確認されました。気候温暖化対策をリードしてきた、リードしてゆくと自認していたはずのEUには全く交渉力がなく、中国が最大の交渉をブロックする大国であったこと、そしてそれ以上に、アメリカ、ロシアでさえなすすべが見当たらないほど中国は、アフリカに対する絶大な影響力を誇っていたということです。そして中国を主体とし、南アフリカ、ブラジル、インドというスクラムに対し、アメリカやEUは何かの交渉を引き出すカードさえ準備できませんでした。</p>

<p>そうした中で、もちろん日本と同じようにドイツは非力でありました。『プランＢはない、オルタナティブはない、コペンハーゲンは失敗できない』と手持ちのカード（2020年までに90年比40％削減）を最初からオープンにして交渉に臨んだドイツの環境大臣レットゲン氏も、妥協を夢にも思わない交渉相手に最後は、失望の意を表すだけに留まっています。これは、WWFでも、グリーンピースでも、緑の党でも同じで、テレビ取材のコメントに対して、ただただ深い憤りと怒りを示すだけに留まりました。</p>

<p>ドイツのメディアはどのような評価だったのでしょうか？　COP15に関してネガティブなことは、日本の報道と同様です。では、ポジティブな何かは報道されたのでしょうか。</p>

<p>一つは日本が先進工業国の中で唯一、意欲的、かつ正当な目標値を立てていたという評価です。交渉はオープンカードではなかったにも関わらず、EU議会の委託調査による各国の適正削減目標値（90年比2020年目標：アメリカ－15％、ロシア－55％、EU－30％、日本－25％）やIPCCの推奨に従っているのは日本だけだったということが明らかにされています。これをもって、日本の産業界やメディアは、日本だけが不利になることをあたかも国益に反するように取り扱っていましたが、逆の見方では、EUと並んで、唯一交渉をリードする可能性を持っていた国であったとも解釈できます。</p>

<p>もう一つは、100を超える国々が、最小限の共通理解（地球の平均気温の上昇を2度以内、あるいはそれ以下に抑えるべき必要性があることと各国は温室効果ガスの排出削減に努めなければならないこと）を示したことです。これは、速度も距離も全く足りないとしても、前進している証です。</p>

<p>それ以上は、ほとんどポジティブな報道は見当たりません。</p>

<p>最後にドイツメディアに載せられたいくつかの数字をここで示しておきます：</p>

<ul>
	<li>中国の排出量増加の少なくとも3割以上は、西側社会向けの輸出であり、責任があること。この傾向は、家畜飼料の輸出元のブラジルも同じ。</li>
	<li>これまでのところ、歴史的に人類が排出した温室効果ガス排出量の80％以上は、先進工業国に責任があること。また、現在でも人口1人あたりの排出量では、先進工業国は中国、インド、アフリカなどの数倍、数十倍を排出していること。</li>
	<li>2020年までに先進工業国全体で40～45％の削減（90年比）と毎年350億ユーロの発展途上国への支援が、交渉の際に最低限必要であったこと。今回の交渉の失敗は、こうしたカードを準備できなかった先進工業国の責任であること。</li>
</ul>

<p>中国の交渉拒否を責める前に、国内情勢を鑑みて責め切れなかったアメリカとの交渉の失敗が、COP15の総括だといえるのではないでしょうか。この構図は、オバマ政権になっても代わり映えしていないというのが、メディアの伝えたところでした。さて、そういう日本は政権交代で本質が変ったのでしょうか？</p>

<p>環境ジャーナリスト　村上　敦<br />
<a href="http://murakamiatsushi.de/" target="_blank">http://murakamiatsushi.de/</a></p>]]>
        
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    <title>日本に一ヶ月滞在して</title>
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    <published>2009-12-01T03:46:49Z</published>
    <updated>2009-12-01T03:59:37Z</updated>

    <summary>10月末から11月末にかけて、日本に一ヶ月滞在していました。合計25回を超える講演活動をこなしてきたわけですが、その合間に面白い本をいくつか読むことができました。まずは、それらを紹介して今回のブログをはじめましょう。</summary>
    <author>
        <name>村上 敦</name>
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    <category term="カーポートフリー" label="カーポートフリー" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
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        <![CDATA[<p>10月末から11月末にかけて、日本に一ヶ月滞在していました。合計25回を超える講演活動をこなしてきたわけですが、その合間に面白い本をいくつか読むことができました。</p>

<p>まずは、それらを紹介して今回のブログをはじめましょう。</p>

<p>まず最も感嘆した本に森みわさん著の『世界基準の「いい家」を建てる（PHP出版）』があります。私も素人ながら、ドイツのパッシブハウスに関連する本を書いてきましたが、こちらはそれとは比較にならない仕上がりの良さです。これまで、常々、ドイツの新しい省エネ住宅の性能や考え方について、自分なりに苦労して日本の方々にお伝えしてきましたが、今後は、「この本を読め！」の一言で済みそうで、何より自分が喜んでいます：</p>

<p><iframe src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?lt1=_blank&bc1=FFFFFF&IS2=1&nou=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=ecologyonli02-22&o=9&p=8&l=as1&m=amazon&f=ifr&asins=456977010X" style="width:120px;height:240px;" scrolling="no" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0"></iframe></p>

<p><br />
そして私の知人でもある方々が編集・執筆した『子どもが道草できるまちづくり（学芸出版社）』も、好著でした。私はフライブルク市のヴォーバン住宅地で実現している「カーポートフリー・コンセプト」を日本に普及するべく活動をしていますが、その根本的な思想は、「ソーシャル・エコロジー」というものです。「道」とは人類が誕生してからモータリゼーションが興るまでの数千年、いや数万年間、常に社会福祉的機能を併せ持った公共のスペースでした。それが、たった10年間で破壊され、車が通行するだけの場所へと変貌しています。このポイントにおいて、本書は、多様な情報と提言を提供してくれています：</p>

<p><iframe src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?lt1=_blank&bc1=FFFFFF&IS2=1&nou=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=ecologyonli02-22&o=9&p=8&l=as1&m=amazon&f=ifr&asins=4761524634" style="width:120px;height:240px;" scrolling="no" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0"></iframe></p>

<p>そして、友人から聞き知ってこの先、読んでみたい本No.1が『$20 per Gallon』です。アメリカで現在、ガソリンは1ガロン4ドルほどですが、それが6ドルになると、8ドルになると、そして10ドルを超え20ドルになると何が起きるのか？そんな近未来の社会をシュミレーションした著作で、私は自分勝手に『人類が消えた世界（早川書房）』のようなスタイルを妄想しています。アメリカのジャーナリズムの良いところは、ここに（のみ？）ありという感じですね。</p>

<p>残念ながら未だに英語の原語バージョンしかないので、英語のそれほど得意でない私は、日本語か、ドイツ語に翻訳されてから読みたいと思います：<br />
<a href="http://www.amazon.co.jp/20-Per-Gallon-Inevitable-Gasoline/dp/0446549541/ref=sr_1_4?ie=UTF8&s=english-books&qid=1259494455&sr=1-4" target="_blank">http://www.amazon.co.jp/20-Per-Gallon-Inevitable-Gasoline/dp/0446549541/ref=sr_1_4?ie=UTF8&s=english-books&qid=1259494455&sr=1-4</a><br />
とまあ、私の好みの話でくだらないとお思いの方に、日本には届けられなかった大きなニュースを提供しましょう。</p>

<p><br />
11月の下旬、ドイツを大きく沸かせたニュースです。カタールにおいて、ドイツ鉄道（国営）が2.2兆円の巨大プロジェクトのパートナーになりました。ドーハーを中心に車交通の渋滞問題が生じ、この先の原油生産にも陰りが見え始めている、あるいは予想されるためか、かの石油大国のカタールでも、公共交通としての巨大鉄道プロジェクトを始動するそうです。</p>

<p>時速350キロのドイツ式新幹線（ICE）軌道を180キロメートル延長で敷設し、首都ドーハーの近郊を近距離鉄道網で結ぶプロジェクト、これは2012年～2016年には完成する見通しで、170億ユーロ（約2.2兆円）という巨額がプロジェクト費用として計上されているとのことです。</p>

<p>最近、産油国でも、Beyond Petroleumを見越しての活発な投資や活動、政策が見られていますが、カタールでも金融や技術大国のための知的資産の収集、そしてその他の環境技術への投資が加速しているようですね。</p>

<p>そうそう、この「石油を超えて＝Beyond Petroleum」は、現在、ドイツのBP社のイメージ社名（以前はBritisch Petroleum）として浸透しています。</p>

<p>なかなか面白くなってきた今日この頃ですが、皆さんの頭の中は、すでにBeyond Petroleum していますか？　この思考、早く始めないと手遅れになりますよ。</p>

<p><strong>環境ジャーナリスト　村上　敦</strong><br />
<a href="http://murakamiatsushi.de/" target="_blank">http://murakamiatsushi.de/</a></p>]]>
        
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    <title>ドイツのソーラー（PV）事情と新政権のエネルギー政策</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://www.eco-online.org/german-eco/20091019010.php" />
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    <published>2009-10-18T15:07:31Z</published>
    <updated>2009-10-18T16:37:48Z</updated>

    <summary>日本でも11月から中途半端な余剰電力の買取り制度がはじまりますが、今年からドイツでは太陽光発電（PV）を含むすべての再生可能エネルギーの固定買取り制度（フィードインタリフ：FIT）の大改正が行なわれています。このFIT改正の中でも一番注目されたのが、太陽光発電の買取り価格についてです。30kW出力までの小型のものについては、2008年度は46.75セント/kWh（約63円）で買取りされたいたのですが、より低価格化が可能だとして、買取り価格の下げ率をこれまでの毎年5％ではなく、8～10％に設定しました。今年は43.01セント（約58円）、来年度はおそらく39.14セント（約53円）になる予定です。</summary>
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        <name>村上 敦</name>
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        <![CDATA[<p>日本でも11月から中途半端な余剰電力の買取り制度がはじまりますが、今年からドイツでは太陽光発電（PV）を含むすべての再生可能エネルギーの固定買取り制度（フィードインタリフ：FIT）の大改正が行なわれています。</p>

<p>このFIT改正の中でも一番注目されたのが、太陽光発電の買取り価格についてです。30kW出力までの小型のものについては、2008年度は46.75セント/kWh（約63円）で買取りされていたのですが、より低価格化が可能だとして、買取り価格の下げ率をこれまでの毎年5％ではなく、8～10％に設定しました。今年は43.01セント（約58円）、来年度はおそらく39.14セント（約53円）になる予定です。</p>

<p>しかし、今年の上半期には、金融危機を受けて、かつ、スペインでのPVバブルがはじけたことによって、世界のPV生産量は少し過剰生産気味になりました。とりわけアメリカ、中国が生産量を伸ばす中、設置量には伸び悩みがあり、その結果、ドイツでは、今年に入ってからのPV価格は、取り付けも含めたシステム価格ですでに30％近く低下しています。</p>

<p>昨年までのPVメーカーの言い分、「毎年10％の価格低減は不可能である」は、すでに1年にして間違っていることが証明されたわけですね。というタイミングで、今年の9月末にはドイツ議会の総選挙が行なわれ、保守＋保守党が過半数を獲得、連立政権設立に向けて最後の調整を続けています。もともと、FITに反対し、今では一定範囲で容認という立場だった保守派は、これを機に、買取り価格の大幅な値下げを検討するようです。</p>

<p>このような理由から、今年の、今年限りのドイツでは、太陽光発電を設置すると史上最高の収益を上げることができるようになっています。利回り4％も夢ではありません（20年後には投資額の2.2倍のリターンが期待できます）！</p>

<p>ですから、今年に入ってからは、金融危機の影響で建物の着工件数が落ち込んでいたため、一時沈静化していたPVでしたが、下半期に入ってからは設置ブームが再来しています。今から、PVを設置しようと思っても今年中に取り付けするのはほぼ不可能な状況です。取り付け業者はもう一杯一杯。電気工事士であれば、就職先はいくらでも・・・という状態です。価格は、一度下がると上げにくいものです。これを機に、もう少し下げ幅を大きくしたらという意見がメディアなどでも出てきているのは当然の流れでしょう（一度に20％下げるか、15％の値下げを2年に渡って行なうか、など多数の論調があります）。</p>

<p>さて、気になる2009年度のドイツでのPV設置量ですが、2GW～4GWの間に収まるだろうというのがPV専門誌『Photon』の見方となっています。昨年の1.5GWを超えるのは確実な状況で、ドイツのソーラー世界No.1の面目を今年も保つものと思います（去年はスペインのバブルで2位に転落していましたが）。</p>

<p>翻って、もう一つのエネルギー政策についてです。日本からは環境保護、反原発に取り組む方々から私のところに問い合わせが入るようになっていますので、少し中間報告を。</p>

<p>10月末に発足する予定の保守・保守の連立政権では、選挙公約で脱・脱原発が謳われていました。もちろん、その政策そのものではなく、金融危機対策と経済活性化の政策を見込まれて保守政党が勝利したわけですが（ドイツ人の7割超は脱OR反原発です）、連立に向けての交渉では、ある程度の方針が示されました。</p>

<p>ドイツでは2002年に、緑の党が連立パートナーの中道左派政党と電力事業者との妥協の末、〈原子力法〉の大改正を行ないましたが、そこでは、ある一定量の発電をした原発には、事業の再認可を出さず、順次廃炉にすることが謳われています。予想では2020年～22年に脱原発は完了するというシナリオです。また、2005年からはMOX燃料のための核廃棄物の輸出の禁止、保険の代わりの積立金を25億ユーロに積み増し（世界中の原発は保険に入ってないので、というか保険に入れてもらえないので、独自に積み立てをしています）、安全性の向上とチェック機能の強化などが決められています。</p>

<p>さて、これを受けてこれまでに2基の原発は廃炉になりました。今年には本来、残り17基の原発のうち4基が廃炉になる予定でしたが・・・昨年から電力事業者は該当する原発の出力を下げ、運転時間を短縮し、発電量を調整することで、今年の総選挙までは「運転」という状態をもたせた状態にしていました。まあ、結構露骨な戦略ですね。で、気になる新政権の方針ですが：</p>

<ol>
	<li>故障が続く古いタイプの4基については延長を許さない（原子力法の規定よりも早い段階で廃炉にする）</li>
	<li>それ以外の原発ついては、飛行機を利用したテロにも耐えうる構造への改築、安全性の大幅な向上を条件に、これまでに発電した量や原発の稼動年数ではなく、安全性の観点で、事業の再延長の認可を出すことも考慮する</li>
	<li>ただし、それによって潤う原子力発電事業者の利益の50％は、国への上納金として収めることが条件で、それは再生可能エネルギー推進に利用する</li>
</ol>

<p>というような感じの内容が報道されています。20年前（！）から「原発はつなぎの技術である」と主張している保守党にとってみれば、国民感情を計算した上での妥当な内容といえるでしょう。ただし、このためには、先の〈原子力法〉を改正しなければなりません。その際に、メディアや国民がどのような反応を示すのか、また、保守党も一枚岩ではありませんから、どのような妥協案がなされるのか、注目してゆきたいところです。</p>

<p>さて、先週はフランスの核廃棄物の相当量が、ロシア、シベリアにある閉ざされた街「Sewersk市（Северск）」の緑地に野ざらしで放置されているというスキャンダルなニュースが飛び込んできました。すぐにフランスは、MOX燃料に加工するために正当に輸出されたものだと主張していますが、これに飛びついたメディアが調べてみると、フランス以上の量がドイツからシベリアには運ばれていたそうです。グーグルの航空写真で野ざらしの状態を見ることが出来ますから、興味のある方は以下をどうぞ。少し分かりにくいのですが：</p>

<p><iframe width="520" height="520" frameborder="0" scrolling="no" marginheight="0" marginwidth="0" src="http://maps.google.com/maps/ms?msa=0&amp;msid=111907638186652802635.00043f4a598f66fa160ac&amp;ie=UTF8&amp;t=h&amp;ll=56.617521,84.881401&amp;spn=0.075562,0.178528&amp;z=12&amp;output=embed"></iframe><br /><small>より大きな地図で <a href="http://maps.google.com/maps/ms?msa=0&amp;msid=111907638186652802635.00043f4a598f66fa160ac&amp;ie=UTF8&amp;t=h&amp;ll=56.617521,84.881401&amp;spn=0.075562,0.178528&amp;z=12&amp;source=embed" style="color:#0000FF;text-align:left">Sewersk</a> を表示</small></p>

<p><br />
<h4>【お知らせ】</h4></p>

<p>10月27日から11月21日にかけて、日本全国、各地で講演会、勉強会を行ないます。ご興味のある方は、詳しくは以下のサイトをご覧ください。</p>

<p><a href="http://murakamiatsushi.de/article_021.html#1" target="_blank">http://murakamiatsushi.de/article_021.html#1</a></p>

<p><strong>環境ジャーナリスト　村上　敦</strong><br />
<a href="http://murakamiatsushi.de/" target="_blank">http://murakamiatsushi.de/</a></p>]]>
        
    </content>
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    <title>EUのエコデザイン規制のアレコレ</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://www.eco-online.org/german-eco/2009091699.php" />
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    <published>2009-09-16T00:39:01Z</published>
    <updated>2009-09-16T00:44:48Z</updated>

    <summary>EU政令によって、一般照明における白熱電球の販売規制が9月1日からはじまっています。2012年までにすべての一般照明用の白熱電球の販売を禁止するための段階的な措置で、これは温室効果ガス削減のための一連のエコデザイン政令群の一環です。</summary>
    <author>
        <name>村上 敦</name>
        <uri>http://www.murakamiatsushi.de</uri>
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    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.eco-online.org/german-eco/">
        <![CDATA[<h4>9月15日（火）</h4>

<p>EU政令によって、一般照明における白熱電球の販売規制が9月1日からはじまっています。<br />
<a href="http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/environment/2636880/4520669" target="_blank">http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/environment/2636880/4520669</a></p>

<p>2012年までにすべての一般照明用の白熱電球の販売を禁止するための段階的な措置で、これは温室効果ガス削減のための一連のエコデザイン政令群の一環です。<br />
<a href="http://www.ndl.go.jp/jp/data/publication/legis/24001/02400104.pdf" target="_blank">http://www.ndl.go.jp/jp/data/publication/legis/24001/02400104.pdf</a></p>

<p>そこで、今回はEUで規制されることになるエコデザインのアレコレをQA方式でレポートしてみたいと思います。少しふざけていますので、表現については気にしないでくださいね：</p>

<p><strong>Q:</strong>　白熱電球が販売禁止になるとのことですが、冷蔵庫の電球を余分に買っておいたほうがよいでしょうか？<br />
<strong>A:</strong>　いいえ、買い漁る必要はありません。冷蔵庫は暗いぐらいが丁度良いので、切れたまま放置してください・・・どうしても冷蔵庫の明かりが必要な人のためには、EU政令の適用は一般照明用なので、そうした電気機器に組み込まれた豆電球、白熱電球などは、対象ではないことを指摘しておきましょう。</p>

<p><strong>Q:　</strong>ハムスターを飼っているのですが、冬は白熱電球がないと凍えてしまいます。<br />
<strong>A:</strong>　残念ながら、一般的な白熱電球を暖房代わりにしている方であれば、今のうちに在庫を買い漁っていただくことになります。しかし、白熱電球を使うよりも、サーモスタットのついたハムスター飼育用のヒーターなんかはいかがでしょうか？</p>

<p>と書き出しましたが、あまりにくだらないので、ここまでにしておきますね。その他、今後予想されているエコデザイン規制は次のようなものがあります。</p>

<p><strong>テレビ：</strong>　日本のトップランナー制度を真似することになりました。2010年8月から、現在のテレビの平均的な電力消費量（画面の大きさに応じて）を超える電力浪費型の製品の販売は禁止されます。つまり平均値の下半分の切り捨てです。さらに、その基準値は2012年にさらに20％厳格になります。</p>

<p><strong>冷蔵庫・冷凍庫：</strong>　2010年7月から、冷蔵・冷凍庫の電力消費量は、現在の白物家電用の省エネ性能表示（燃費表示）のA～Gランクまでは消え、A+とA++のみの販売だけが許されるようになります。2012年、2014年にも、さらにこの基準は厳しくなるため、2012年に販売される冷蔵・冷凍庫の燃費平均値は、現在の平均よりも20％は上昇すると見込まれています。</p>

<p><strong>アダプター：</strong>　小型電化製品（携帯、パソコン、任天堂DSなど）は、通常の家庭用電力である200Vを必要としませんし、交流ではなく、直流の電気が必要です。そのため、アダプターで電流と電圧を調整しているのですが、これが暖かくなる、もしくは熱くなることにお気づきの方はいますか？　それがロスです。2010年4月から段階的に、こうしたアダプターのロスについて、最終的には2020年までに現状の3分の1に減らしたもの以外は販売できないように規制されてゆきます。</p>

<p><strong>スタンバイモード：</strong>　2010年7月から家庭用・事務所用の電気機器のスタンバイモードに規制が入ります。最初は、スタンバイモードの消費電力（待機消費電力）が2W以下、2013年には0.5W以下となります。</p>

<p>その他にも、エアコンなどのヒートポンプ機器や洗濯機、給湯器、コンピューターなど、続々といわゆる燃費規制が入るようになってきます。お気づきの方もおられるでしょうが、こうした商品の低燃費性能の推進政策や商品開発技術の分野では、日本は世界最先端を走っています。EUももちろん、日本の政策をにらんでこうした規制を制定しているわけです。</p>

<p>公害の時代後が象徴的であったように、先進工業国においては、こうした規制は厳しい国のほうが、短期的には制定されるときには対応する業界は大変ですが、中期的にはその国のメーカーや経済立地を強化するという事実があります。私はこれをまさにグリーン・ニューディール経済の一大分野である省エネの世界であり、規制強化を乗り越えたつわものが中期的な勝者になる世界です。EUと日本とのこうした競争は、ますます見物になってゆくことでしょう。</p>

<p><strong>環境ジャーナリスト　村上　敦</strong><br />
<a href="http://murakamiatsushi.de/">http://murakamiatsushi.de/</a></p>]]>
        
    </content>
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    <title>ドイツにおけるバーチャル・ウォーター（仮想水）</title>
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    <id>tag:eol.sakura.ne.jp,2009:/eco-online/german-eco//4.1589</id>

    <published>2009-08-12T09:10:37Z</published>
    <updated>2009-09-13T09:23:16Z</updated>

    <summary>WWFがはじめて本格的なドイツのウォーター・フットプリントを調査し、この度公表されました。 http://www.wwf.de/fileadmin/fm-wwf/pdf_neu/wwf_studie_wasserfussabdruck.pdf 水道の蛇口から出てくる水の消費量は、家庭でも、産業用でも減少の一途を遂げている優等生のドイツですが、グローバル化、社会の嗜好の多様化でヴァーチャル・ウォーターと呼ばれる水のフットプリントは、膨大で、著しく増加しているため、緊急な対策が必要であると調査は警告...</summary>
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        <name>村上 敦</name>
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    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.eco-online.org/german-eco/">
        <![CDATA[<p>WWFがはじめて本格的なドイツのウォーター・フットプリントを調査し、この度公表されました。</p>

<p><a href="http://www.wwf.de/fileadmin/fm-wwf/pdf_neu/wwf_studie_wasserfussabdruck.pdf" target="_blank">http://www.wwf.de/fileadmin/fm-wwf/pdf_neu/wwf_studie_wasserfussabdruck.pdf</a></p>

<p>水道の蛇口から出てくる水の消費量は、家庭でも、産業用でも減少の一途を遂げている優等生のドイツですが、グローバル化、社会の嗜好の多様化でヴァーチャル・ウォーターと呼ばれる水のフットプリントは、膨大で、著しく増加しているため、緊急な対策が必要であると調査は警告を発しています。</p>

<p>具体的な数字を見てみましょう。ドイツ国民1人あたり・1日あたりの家庭用の上水道の消費量は、1991年の144リットルから2007年には 124リットルとかなりの減少傾向にあります。日本の場合、家庭用の生活用水としての上水道の消費量は305リットル／日・人（2006年度）とドイツの 2.5倍であり圧倒的です。シャワーーではなく、風呂に入るなど生活習慣の違いもあるのでしょうが、近年はそれほど大きな減少傾向になく、停滞に留まっているのが気にかかります。</p>

<p><a href="http://www.mlit.go.jp/tochimizushigen/mizsei/hakusyo/H21/index.html" target="_blank">http://www.mlit.go.jp/tochimizushigen/mizsei/hakusyo/H21/index.html</a></p>

<p>ただし、こうした家庭用の上水道の消費量は、全体の水資源の消費量から見ると、わずかな割合でしかありません。とりわけ私たちが口にしている食品を作り出すために必要な農業用の水の量は膨大です（全体の74％を占める）。WWFのこの調査によるとドイツ人が毎日消費しているコーヒー、紅茶、パン、木綿、大豆、肉など農作物の生産に必要な水は、1人およそ3,800リットルと、上水道の消費量124リットルを凌駕していることが分かります。このうち、ドイツ国内で生産され、国内の水でまかなわれているのは41.3％で、残りはブラジル、象牙海岸、ガーナ、トルコ、スペインといった農作物の生産国（であると同時に水資源問題が顕著な国々）からの輸入に頼っています。</p>

<p>WWFの調査では、ドイツ人のウォーター・フットプリントの総量は（工業製品用も含めて）、年間1,595億立方メートルであり、1人あたり毎日 5,288リットルの水資源を消費して生活している計算になります。ここまで精密な調査は、日本においては見当たらないので直接的な比較はできませんが、世界各国のウォーター・フットプリントを概略で計算している調査などによると、日本もドイツも、1人あたりの家庭用＋農作物用の水の消費量の総量ではそれほど差異がありません（工業製品用はドイツが日本のそれを上回っていますが、産業構造が異なるので、単純な比較は出来ません）。ですから、生活者レベルでは、日本でもほぼ同じ量の水消費が行われていると想定すれば、大きな間違いはないでしょう。</p>

<p>ドイツ人の場合、とりわけ農業作物用の部分で大量の水を消費しているのが、コーヒーとチョコレート（カカオ）です。その他、大勢を占めるものとして木綿、大豆、植物油や肉がありますが、これはおそらくどこの国も同じでしょう。</p>

<p>このドイツ特有の消費物質、カカオとコーヒー豆。これはこちらで生活していると、その消費の勢いを実感できます。私見で余談になりますが、ドイツ人の食生活は、それほど脂っこいわけでもなく、旅行者の方が圧倒される外食は別にして（外食を日常的には普通行いません）、通常の家庭での食事は質素です。しかし、体の大きな人が多いのは（とりわけ横に）、完全にケーキや甘いものの採り過ぎによるものだと感じています。</p>

<p>ブラジル、象牙海岸、ガーナ、ナイジェリアからのコーヒーとチョコレート、トルコからの木綿とナッツ類、そして輸入の豚肉製品、こんなところに少し気を使えば、かなりの水資源消費を抑えられそうです。コーヒーを飲みながらこのブログを書いている私も以後気をつけようと思います。</p>

<p>注：厳密には、「ヴァーチャル・ウォーター」と「ウォーター・フットプリント」は、同一の結果を示すものではありませんが、本記事中は、その差異は特に考慮していません。WWFの調査は、「ウォーター・フットプリント」です。</p>

<p><strong>環境ジャーナリスト　村上　敦</strong><br />
<a href="http://murakamiatsushi.de/" target="_blank">http://murakamiatsushi.de/</a></p>]]>
        
    </content>
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    <title>サハラ砂漠からのエネルギー供給『DESERTEC』プロジェクト</title>
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    <published>2009-07-09T13:10:20Z</published>
    <updated>2009-09-13T08:59:08Z</updated>

    <summary>私個人のブログで「サハラ砂漠からのソーラー電力」に関して記載したところ、そこそこの反響がありました。結構興味深い考察が可能な対象なので、EOLのブログで、少し腰を落ち着けた議論をしてみたいと思います。 http://blog.livedoor.jp/murakamiatsushi/archives/51285640.html まずは、この議論の対象となる『DESERTEC』と呼ばれるプロジェクトに関して概略を説明しましょう。というか私自身がここで説明しても繰り返しになるので、以下のアドレスでお調...</summary>
    <author>
        <name>村上 敦</name>
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    <category term="desertec" label="DESERTEC" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
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    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.eco-online.org/german-eco/">
        <![CDATA[<p>私個人のブログで「サハラ砂漠からのソーラー電力」に関して記載したところ、そこそこの反響がありました。結構興味深い考察が可能な対象なので、EOLのブログで、少し腰を落ち着けた議論をしてみたいと思います。<br />
<a href="http://blog.livedoor.jp/murakamiatsushi/archives/51285640.html">http://blog.livedoor.jp/murakamiatsushi/archives/51285640.html</a></p>

<p>まずは、この議論の対象となる『DESERTEC』と呼ばれるプロジェクトに関して概略を説明しましょう。というか私自身がここで説明しても繰り返しになるので、以下のアドレスでお調べください：<br />
<a href="http://www.desertec.org/en/">http://www.desertec.org/en/</a>　（英語）<br />
<a href="http://www.munichre.co.jp/public/PDF/Topics_DESERTEC_info.pdf">http://www.munichre.co.jp/public/PDF/Topics_DESERTEC_info.pdf</a>　（日本語）</p>

<p>簡単に説明すると、欧州と北アフリカ、そして近東をくまなく大容量の電力系統（直流高圧送電網）で結んで、この地域の電力供給を、将来的には自然エネルギーのみによるCO2フリーにしようというプロジェクトです。</p>

<p>私の目から見て、ポイントは３つあります。</p>

<p>１．使用する技術（その１：Concentrating Solar Thermal Power Plants, CSP）：サハラ砂漠など、無尽蔵に太陽エネルギーが照り付けているところで、「太陽熱発電所：CSP」を建設し、海沿いの風力発電、分散型の各種の再生可能エネルギー発電と連携で稼動させるというものです。</p>

<p>太陽熱発電とは、数多くのミラーで太陽熱を1箇所に集光し、特殊なオイルや液体などを触媒として、高温・高圧の蒸気を発生させ発電する方式（カリフォルニア、スペインなどですでに稼動しているガンダムのソーラーレイのような施設ですね）や、あるいはパラボラミラーでガラス管に集光し、スターリングエンジン、あるいは蒸気などで発電する（これもアメリカ、スペイン、オーストラリアなどですでに稼動しています）というタイプの発電です。<br />
<a href="http://www.youtube.com/watch?v=QXURvISjh2A&eurl=http%3A%2F%2Fwww%2Edesertec%2Eorg%2Fde%2Fstiftung%2F&feature=player_embedded">http://www.youtube.com/watch?v=QXURvISjh2A&eurl=http%3A%2F%2Fwww%2Edesertec%2Eorg%2Fde%2Fstiftung%2F&feature=player_embedded</a></p>

<p>その熱は、貯蔵しておくことができるのが特徴です。夜間・悪天候など欧州において日射がない時間帯に向けて、塩を触媒にして貯蔵し、任意の時間帯に発電することが可能となります。風車やソーラー（PV）で賄いきれない際に、それを補って供給するわけです。また、この施設では廃熱を利用して、電力と同時に、真水と冷房・冷蔵という能力を提供できるのも利点として挙げられます（いわゆるコージェネとして機能します）。近東や北アフリカでは、エネルギー、とりわけ電力の需要量の急騰傾向が観察されており、かつ、温暖化の影響で降水量が減少していますから、地域のための技術、プロジェクトでもあるのです。</p>

<p>２．使用する技術（その２：高圧直流送電）：欧州、北アフリカ、そして近東を直流の高圧送電線網で結ぶ必要があります。このプロジェクトのみそは、まさにこの点にあります。ドイツ企業・シーメンス社などは、この技術に進んでおり、中国、北海などではすでに一部、大掛かりなものが実用されていますし、世界中で技術革新と普及が続いています。<br />
<a href="http://www.tdupress.jp/book_da/ISBN4-501-10830-4.html">http://www.tdupress.jp/book_da/ISBN4-501-10830-4.html<br />
</a><br />
とりわけ、この送電網を完備した際には、運用の際に送電ロスを10～15％以下に抑えられるであろうというのが利点となります。系統の設置費用やこうしたロスなどを含めると、一昔前に案として浮上していた「サハラで水素を作り、それを欧州に運び、発電する」というものよりも経済性が比べ物にならないほど高いといわれています。</p>

<p>３．政治とお金：電力系統への投資も多大ですし、発電所の建設にもお金がかかります。プロジェクトの総額は今のところ4,000億ユーロ（≒50兆円超）と見積もられています。うち、送電網への投資が450億ユーロです。ただし、金融危機で各国が簡単に銀行や産業に投資した額と比べれば実現不可能であるとは一概に言えません。また、このプロジェクトは30カ国が10年間をかけて実現するものであるため、理論上は平均すると、各国の電力系統に対する負担は毎年1.5億ユーロ（≒200億円）となります。</p>

<p>お金の問題と同時に大きな障害となるのが、近東、および北アフリカの政治的な安定性、社会の安定性です。これだけの大掛かりでお金の絡むプロジェクトですから、ドイツが声をかけて、すぐに応答し、実現するというシナリオにはならないでしょう。また、実現したとしても、天然ガスパイプラインと同じように、関係諸国の政治的なカードとして使われたり、テロによる欧州のエネルギー安定供給のリスクが高まることは避けられないでしょう。技術的にできることと、政治的に確実なことは違うわけです。</p>

<p>さて、このプロジェクトが公表され以来、ドイツの産業界、政治家、研究者、そして環境保護者の中において多用な議論が噴出しています。自然保護者、環境保護者、温暖化対策推進者の中でも賛否が分かれているのです。ここでは、ProとContra（賛成／反対）という形で、それぞれの論点について取りまとめてみましょう。</p>

<p>１．<strong>Contra</strong>：分散型で自給型のエネルギー供給という点が再生可能エネルギーの最大の役割であり、利点・特徴であるのに、化石燃料の場合と同じく、北アフリカ、近東という政治的に不安定なところに依存する形態を目指すのは矛盾。<br />
<strong>Pro</strong>：DESERTECの太陽熱発電施設は、一国だけに設置するわけではなく、他国に設置する。送電網も30カ国で分散して、リスクを回避する。どこかの特定国にすべて依存するわけではないため、その懸念は必要なし。</p>

<p>２．<strong>Pro</strong>：既存する技術、とりわけドイツが今持っている技術で、論理上はこの大地域の100％再生可能エネルギー社会を構築できるため、直流送電網は少々高くとも推し進めるべきであり、このプロジェクトはグリーンニューディール政策の本筋である。欧州の雇用と経済のためにもなり、同時に北アフリカなどのインフラ整備や生活環境の改善にも役立つ。</p>

<p><strong>Contra</strong>：このような政治的な不安定な地域にモンスター事業を推し進めるためには、途方もない時間と費用が必要。もしこれについて本気で議論・検討してゆくと、現在成長中の分散型の再生可能エネルギー推進がおろそかになる可能性がある。今は、既存技術の効率の向上を図り、地域内で取れる再生可能エネルギーの推進という一点に視点を集中すべきで、輸入を前提とする形態を議論すべきではない。</p>

<p>３．<strong>Pro</strong>：今後5年間でPV電力は半額になる可能性が大きく、一般電力の消費者価格を下回る。したがって分散型のPV発電の推進がおろそかになることはない。その5年後の時点であっても、南ヨーロッパ、北アフリカ、近東での太陽熱発電は、PV発電の半額になる見通しなので、夜間のベースロードとか、PVで不足する分を補うには、海岸線上の風力と並んで（系統させて）、太陽熱発電は理想的。</p>

<p><strong>Contra</strong>：大手コンツェルン（ドイツ銀行、電力大手E・ONとRWE、シーメンスなど）の絡んだこのプロジェクトは、小さな分散型発電の一大普及を遅らせるのが目的のようにも見えてくる。再生可能エネルギーを推進することは、地域の中小企業を活性化し、地域で雇用を生み出すことにつながる。こうした配慮のない、巨大プロジェクトは地域経済のためにはならない。また、経済的な波及効果や社会におよぼす影響や価値などを考慮しない、単なる発電単価での議論は意味がない。いくらサハラの太陽電力が半額であっても、地域で生み出される分散型電力の価値とは直接的には比較できない。</p>

<p>３．<strong>Contra</strong>：政治的に不安定な地域で、この事業が完成するのはいつの時代になるのか。2020～2030年までにドイツ国内でもおよそ半分の電力は分散型の再生可能エネルギーで供給できる可能性がある。こちらのほうが優先順位は高い。また、こうした努力・推進をすばやく進め、ポテンシャルを有効に活用し、省エネを推し進めても、電力が足りないということであれば、その時点で、サハラ電力の輸入を検討し、すばやく実現するほうが得策。今の時点で議論の必要性はない。</p>

<p><strong>Pro</strong>：ドイツ国内の自然エネMIX、スマートグリッドなどを活用すれば、民生分野における電力需要は自然エネルギー分散型供給で賄える日が来るかもしれないが、産業におけるピーク時の電力供給をそれで行うことはほぼ不可能だ。DESERTECによって原発や化石燃料に頼らないインフラを整備するためには10～15年という時間もかかる。今のうちから議論し、積極的に推し進めておくことが必要。</p>

<p>というような感じで、同じソーラー推進者であっても、このプロジェクトに対しては、対立する構造となっています。</p>

<p>皆さんは、どう思われますか？　ちなみに私は、サハラでの太陽熱発電は、サハラ地区での電力供給に利用すべきで、欧州まで引っ張ってくる必要性を「今のところ」感じません。</p>

<p>ドイツがわずかこの１０年間で、すでに電力供給の再生可能エネルギー割合を３％から１６％まで上昇させて供給できるようになったのは（分母の電力消費量も急増しているにもかかわらず）、後のことは問題が出てきたときにすばやく対処するという方針で、フィードインタリフという強力な法律で「走りながら考える」という政策の恩恵です。</p>

<p>ここが日本の「もし進展・拡張した場合に、系統はどうするの？」「蓄電はどうするの？」というような経済産業省、エネ庁、電事連の思考法という「走り出す前に止まって考える」とは違う最も重要なポイントです。</p>

<p>DERSERTECプロジェクトは、近い将来に省エネを徹底させ、高度なスマートグリッドが導入され、再生可能エネルギー発電を60％前後まで上昇させたその時点で、すばやく検討すべきであり、今の時点でどうのこうの政治的な議論をするべきではないというのが私の考えでもあります。これに対する私見をいくつか述べておきましょう：</p>

<p>１．実現の見通しが10～15年後としているが、これは政治的な観点から、誇張に等しいと主観的に感じます。「50年後にイスラエルの原発電力をイランに送電できる」ということを予測できる人はいません。同じように、この場合、技術的に可能なことと、政治的に可能に「なる」ということは質的に意味が異なります。</p>

<p>２．ドイツでも（日本でも）、こうした際に出てくる「総工費見積もり」で収まった巨大プロジェクトを私は知りません。直接的な工事費ばかりか、政治的な間接費を含めて、金はほぼ無限に近くかかると主観的に感じます。</p>

<p>３．現在の再生可能エネルギーの進展状況（技術・政策・普及・コストダウン）を見ていると、それだけの莫大な金があるのであれば、その一部であってもドイツ国内にインフラ投資したほうが、ずっと早い時点で分散型の自然エネルギー供給が確立するだろうと主観的に感じます。またその際に、省エネを推進することが何よりも必要です。</p>

<p>４．巨大で独占の電力事業者2社、そして原発・兵器大手のシーメンス社が積極的に絡んでいるので、きな臭いと主観的に感じます。今年9月に行われるドイツ総選挙の結果次第で、ドイツの脱原発政策が延長・延期されるようなことがあると、このプロジェクトに対するトーンはもちろん下がると思います。</p>

<p>５．北アフリカ、近東でのエネルギー消費量は急増中であり、これを補うために、化石燃料で、あるいはフランスから技術輸出の原発で賄うことは避けたいと個人的には強く願います。ですから、このエネルギー需要は、DESERTECコンセプトにあるように太陽熱発電で賄うべきでしょう。とりわけ北アフリカに対しては、技術的にも、資金的にも、ドイツや欧州は支援する必要があります。海水の脱塩に関しても緊急になにか対策を行う必要があります。とりわけ温暖化による水不足の原因は、この場合、あくまで欧州であり、アフリカ諸国ではありません。もしDESERTECコンセプトに書いてある綺麗事が、綺麗事でないのであれば、欧州への電力供給という視点はとりあえず棚上げしておき、まず現地のための太陽熱発電所の普及を目指すべきでしょう。</p>

<p>ここにも挙げましたように今年の9月には総選挙があります。保守政党が大勝するならば、脱原発の期限を延長する可能性があります。またCOP15によって出てくるポスト京都での結果にもこのプロジェクトへの熱は変化すると考えられます。どちらにしても、このプロジェクトは、サハラ砂漠だけなく、中国、アメリカなどに応用可能なビジネスモデルとしてもコンセプトが練られています。</p>

<p>今後の進展にも耳を傾けてゆきたいですね。</p>

<p><strong>環境ジャーナリスト　村上　敦</strong><br />
<a href="http://murakamiatsushi.de/">http://murakamiatsushi.de/</a></p>]]>
        
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    <title>シェルの和解金、『石油を巡る戦争・太陽による平和』</title>
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    <published>2009-06-22T00:39:33Z</published>
    <updated>2009-09-13T10:38:22Z</updated>

    <summary>5月末から6月12日までは日本に滞在し、講演活動をしていました。で、ドイツに戻ってから、ようやく昨日までに、その間に溜まった新聞・雑誌の山に目を通していたわけです。6月7日には、EU議会選挙とフライブルク市議会選挙がありましたから、見逃せない情報も多数ありました。 じゃあ、まずは、ドイツの選挙結果の傾向について。国民政党と呼ばれる保守党（CDU党）と社会民主党（SPD党）の２大政党制が戦後から続けられてきたドイツですが、いよいよ、崩壊に達した感があります。とりわけ自由主義・中道右派のFDP党の躍...</summary>
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        <![CDATA[<p>5月末から6月12日までは日本に滞在し、講演活動をしていました。で、ドイツに戻ってから、ようやく昨日までに、その間に溜まった新聞・雑誌の山に目を通していたわけです。6月7日には、EU議会選挙とフライブルク市議会選挙がありましたから、見逃せない情報も多数ありました。</p>

<p>じゃあ、まずは、ドイツの選挙結果の傾向について。国民政党と呼ばれる保守党（CDU党）と社会民主党（SPD党）の２大政党制が戦後から続けられてきたドイツですが、いよいよ、崩壊に達した感があります。とりわけ自由主義・中道右派のFDP党の躍進は著しく、緑の党も局地的には大政党を凌ぐまでに成長しました。今回、EU議会選と同日に行われた大都市、シュトゥトガルト市の市議会選で、緑の党が第一政党にのし上がったのは、驚愕するべき事実でしょう。これに加えて、5％ハードルを常に超えるようになった左派党があいまって、ドイツの政治図は２大政党制とはいえなくなりました。今後は、各地で３党の連立を組まないと過半数が取れない事態が続出しそうです。</p>

<p>フライブルク市の市議会選挙でも、緑の党が第一政党。ただし、フライブルク市の場合、緑の党が支持率を上げているわけではなく、大政党の支持率低下によるもので、その他の小さな政党の躍進が著しいのが特徴です。</p>

<p>こうした事象は何を示しているのでしょうか？　まず考えられることは、多様化する社会情勢は、国民層を複雑化しており、それぞれの意見を代表するのには、２つの大政党では間に合わないことです。従来の「ブルーカラー」「ホワイトカラー」という区分けでは、今の社会は説明がつかなくなったということですね。そして同時に、政党自身も訴えかける政策に、明確なカラーがなくなりつつあることも進行しています。保守党は経済優先、社会民主党は社会福祉優先という単純化した枠では収まりきらないのが、今の世の中です。すべての政党は環境保護を訴えていますし、すべての政党は経済対策も強化し、社会福祉も強化する旨を訴えます。ただし、それに伴う財源がない。そんな実情は、日本も含めて、どの先進工業国でも同じで、難しい局面に来ていることを表しています。</p>

<p>と、選挙の情報をいろいろと読んでいましたが、気になるニュースが一つありました。アメリカで行われたシェルを訴えた裁判で、シェルはナイジェリアのオゴニ族の被害者遺族に和解金として15億円を支払ったというニュースです。</p>

<p><a href="http://www.afpbb.com/article/disaster-accidents-crime/crime/2610275/4249854 http://www.cnn.co.jp/business/CNN200906090009.html">http://www.afpbb.com/article/disaster-accidents-crime/crime/2610275/4249854<br />
http://www.cnn.co.jp/business/CNN200906090009.html</a></p>

<p>私が購読しているドイツの新聞では、裁判再開前と和解後など、何度にも分けて大きく取り上げていましたので、日本語で検索してみると・・・日本ではあまり大きく取り上げられなかったようですね。長年、この件に関して、ニュースを追っている私にとっては、非常に残念なことです。</p>

<p>これについて、私の尊敬するジャーナリスト、フランツ・アルト氏の著書『<strong>石油を巡る戦争――太陽による平和</strong>』から、一節を簡訳、引用してみましょう。<br />
直訳調で少し読みにくいですが、ご容赦を：<br />
<a href="http://www.amazon.co.jp/Krieg-oder-Frieden-durch-Sonne/dp/3570500322/ref=sr_1_44?ie=UTF8&s=english-books&qid=1245404415&sr=8-44">http://www.amazon.co.jp/Krieg-oder-Frieden-durch-Sonne/dp/3570500322/ref=sr_1_44?ie=UTF8&s=english-books&qid=1245404415&sr=8-44<br />
</a></p>

<p><br />
＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝</p>

<h4>アフリカの石油のために流れる血</h4>

<p>「人権をこれほど侵害している分野は、石油産業以外をおいてありえない。黒い黄金から得られる利益のためならば、いくつかの石油コンツェルンは戦争のために資金を提供し、殺人集団を雇い、ある地域一帯を人が住めないようにしている」。これはオーストリアのクラウス・ヴェルナーとハンス・ヴァイスによる共著、『有名企業の告発――多国籍企業の陰謀』という本からの引用である。</p>

<p>　紛争の大陸アフリカにおいては、「その国に地下資源が豊富にあればあるほど、その国民はより貧しくなっている」といった驚くべき社会的現象を観察することができる。石油産出からの金は、ほんの一握りの、すでに十分にたくさんの金を持っている人びとの懐へと流れる。ナイジェリアとシェルの例である。オランダとイギリスの多国籍企業ロイヤル・ダッチ・シェルは、ナイジェリアにおいてすでに45年間にわたって石油を採掘し続けている。過去30年間、世界で3位にランクする石油企業シェルは、西アフリカの独裁者と共に協力関係を築き、事を運んできた。1993年から98年にかけては最も残酷な独裁者アバチャ将軍による惨状の支配が続けられた。クラウス・ヴェルナーとハンス・ヴァイスの言葉である：</p>

<p>「ナイジェリア人1200万人のうちのほとんどが、食料への、健康への、そして教育への道を閉ざされている間に、数十億ドルといった金がアバチャとその家族の持つ合計19のスイス、フランスの銀行口座に投入された。独立を果たした年、1960年には30％の国民が貧困ラインで生活していたが、その数字は1999年には70％へと増加した」</p>

<p>シェルは明らかに独裁者とその一味と同様に、ナイジェリアにおける社会的な破局について責任がある。ナイジェリアでは「Shell to hell」というスローガンがどこでも通用する。</p>

<p>　1995年にシェルは、130トンの油泥と重金属、放射線物質を積載したオイル・プラットホーム「ブレント・スパー」をこっそりと北海に沈めようとしたため、ヨーロッパ中でのイメージが大きく傷つき、苦しむこととなる。グリーンピースはこの事件に反対する派手なアクションを組織した。ドイツでも74％の消費者が、シェルのガソリンスタンドで購入することをボイコットした。コンツェルンは80％以上の損失に苦しみ、降伏した。結局「ブレント・スパー」は合法的に廃船された。</p>

<p>　その少し後には、さらに大きなイメージの破壊がやってきた。ナイジェリアで有名な詩人ケン・サロウィワと8人のオゴニ族の者達は、世界中での抗議にも関わらず処刑されたのだ。アバチャ政権は、彼らが抗争相手の部族の長を殺害した罪を主張していた。</p>

<p>　実際のところ1993年にケン・サロウィワは、シェルのナイジェリアでの陰謀工作に対する1万人規模の抗議行動を組織していた。石器時代なみの産出方法と漏れ放題のパイプラインによって、オゴニ族の住む地区には農作物が育たなくなり、漁業と農業が破壊され、飲料水と大気を汚染されていたからだ。</p>

<p>　この抗議行動に対する独裁政権の反応は、2000人の命を奪うというものだった。作家ケン・サロウィワは、オルタナティブ・ノーベル賞の受賞者でもある。ニジェールデルタ全域においては、1人として彼を死刑執行するものが現れなかった。そこで、サロウィワの死刑執行人は、数千キロの彼方から空輸されねばならなかった。</p>

<p>　アメリカではケン・サロ・ヴィヴァの家族がシェルに対して訴訟している。訴訟の内容は以下のようなものである。</p>

<ul>
	<li>シェルはサロウィワを拷問し、殺害したナイジェリアの軍事政権に寄与した</li>
	<li>目撃者、証人を買収した</li>
	<li>大気と水源を汚染することによってオゴニ族の生活圏を奪った</li>
	<li>土地の住民に対する警察や軍隊を投入した</li>
	<li>環境破壊に抗議した国民を排除するため、軍に資金と兵器を与えた</li>
</ul>

<p>「シェルはナイジェリア国内60箇所以上の石油産出所で、産出時に発生するガスを単に（特別な装置なしで）燃やしている」とグリーンピースは抗議している。それによって世界で最大規模の気候破壊ガスを排出しているのだ。グリーピースの調査は次のような報告をしている。「天然ガスの不完全燃焼によって年間1200万トンのメタンガスが大気に放出されている。これはオランダ全土のメタンガス放出量の11倍にあたる」</p>

<p>　シェルにとってはアメリカにおける訴訟での数百万ドルにおよぶ「慰謝料」など問題としていない――この石油コンツェルンは世界中でのイメージの方が重要なのである。</p>

<p>　石油を巡る戦争はアンゴラでも行われている。南西アフリカのこの国の予算の90％が石油輸出から得られているのだ。この収入のうち年間20億から30億ドルの費用をアンゴラ政府は、25年間続いている市民戦争のために出費している。今日のアンゴラでは、対人地雷の被害により10万人以上の人びとが四肢を切断されている。アンゴラは地下資源の豊富な国である。しかし10人の子供のうち3人までが5歳を迎える前に死亡している。1200万のアンゴラ国民のうち80％は貧困層である。250万の人びとが市民戦争による難民となっている。この国の貧窮の原因は、石油メジャーに直結する。この国のエリート達はオイルダラーによって戦いの資金を得ているからだ。</p>

<p>　アメリカとフランスは抗争し合っている市民戦争の両陣営をそれぞれ支持し、兵器の供給により荒稼ぎしている。シェヴロン、トータル・フィーナ・エルフ、ＢＰアムコ、テキサコ、シェル、アジップ、そしてエクソン・モービルといった石油を産出しているコンツェルンは市民戦争の両陣営に資金を供給し、国民の困窮に寄与している。</p>

<p>　フランスの石油メジャー、トータル・フィーナ・エルフは世界で4番目に巨大なエネルギーコンツェルンである。この企業のモットーは「日頃の生活のパートナー」というものだ。クラウス・ヴェルナーとハンス・ヴァイスからの引用である：</p>

<p>「石油コンツェルンのトータル・フィーナ・エルフは、人権の侵害と石油産出という2つのポイントが重なる至るところで活発に活動している。ミャンマーやスーダン（アフリカ北東部にある共和国、1956年に独立）、ナイジェリアなどがそれにあたる」</p>

<p>　石油のための血はスーダンでも流されている。チャドやカメルーンでも2003年から計画されている石油プロジェクトによって、アンゴラやナイジェリアなどと同様の事態の発生が懸念されている。エッソ、シェヴロン、ペトロナスといった石油コンツェルンが、そこで汚れたビジネスを展開するからである。</p>

<p>　アフリカ諸国のほとんどは、石油メジャーが当地で利益をどんどん増やしている一方、借金の泥沼に沈もうとしている。ロイヤル・ダッチ・シェルのモットーは次のようなものである：「誠実と潔白、そして人権の尊重」・・・</p>

<p>＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝</p>

<p><br />
石油でも、レアメタルでも、限られた土地でしか入手できない天然資源には、常に争いを引き起こす危険性が内包されています。オーストラリアなどを除く南側の天然資源に豊富な諸国は、ほとんどのケースで、皮肉なことに紛争や貧困の割合も高いのです。</p>

<p>自然エネルギー、つまり「太陽による平和」を、先進工業国に住み、平和を享受している私たちこそが率先して全力で世界に普及させるべきではないでしょうか。また、だからこそ、こうしたニュースは取り上げる価値のあるものでしょう。首相の毎日のコメントの掲載以上に重要な問題だと私は思うのです。</p>

<p><br />
<strong>環境ジャーナリスト　村上　敦</strong><br />
<a href="http://murakamiatsushi.de/">http://murakamiatsushi.de/</a></p>]]>
        
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    <title>ドイツの未来の都市交通（その3）</title>
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    <published>2009-06-20T02:32:22Z</published>
    <updated>2009-09-13T10:37:28Z</updated>

    <summary>皆さんは道路がどのように予算を確保して造られてゆくのか知っていますか？　道路を新設したり、拡張する場合、ほとんど例外なく費用便益比（B/C）という数字のマジックで、その計画の妥当性が検証されます。検証されるというと聞えがよいですが、ようは「税金を投入した金額以上に社会的な見返りがありまっせ」という後ろ盾を作って、国交省などの建設関連のお役所は道路建設の予算を確保してゆくわけです。</summary>
    <author>
        <name>村上 敦</name>
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    <category term="道路" label="道路" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.eco-online.org/german-eco/">
        <![CDATA[<p>さてさて、今回は『国家自転車会議2009』で報告がなされた自転車交通の費用便益比（B/C）に関するお話です。</p>

<p>皆さんは道路がどのように予算を確保して造られてゆくのか知っていますか？　道路を新設したり、拡張する場合、ほとんど例外なく費用便益比（B/C）という数字のマジックで、その計画の妥当性が検証されます。検証されるというと聞えがよいですが、ようは「税金を投入した金額以上に社会的な見返りがありまっせ」という後ろ盾を作って、国交省などの建設関連のお役所は道路建設の予算を確保してゆくわけです。</p>

<p>さて、なぜ私がここで数字のマジックと呼ぶのかについては、2つ理由があります。一つはこの費用便益比（B/C）は数字を任意に操作しやすいこと、そもそもこうした計算にいれるパラメーターが非常にあいまいで、さじ加減次第である程度は融通が利いてしまうことです。でも、まあ、このテーマは少し熱いので、このブログでは詳しく論じません。土木出身のものならたいがい誰でも知っている内部事情については、飲み会などのときにネタとして取っておきましょう</p>

<p>もう一つの大きなポイントですが、それは車交通のインフラに関する費用便益比（B/C）の思想自体、誤っている可能性が非常に高いことです。私自身は誤っていると断言します。</p>

<p>費用と便益を比較するわけですが、分母の費用とは何か、皆さん分かりますよね？　文字通り、投入する税金の金額です。これには毎年発生するランニングコストも含まれます。それでは、分子にあたる便益とはこの場合、何か知っている人はいますか？　それは、驚くべきことに「時間」なんですよ。Time is Money。便益は、「走行時間の短縮」「走行経費の減少」「交通事故の減少」という3項目を金額に換算したものが用いられていますが、どれも、その道路ができたことによってルートを通過する時間が短縮される前提で計算されています。</p>

<p>皆さん、この話直感的に正しいものだと感じますか？　これは日本だけでなく、世界中で使われている交通計画の手法です。この理論の落とし穴は、道路を作り、区間のスピードを増大させることによって、人の移動行動が変化してしまうことを考慮していない点にあります。というか、そこまでを考慮すると時間の節約がゼロになってしまうので、便益もゼロ。つまり、あえてそれを無視しているといえばよいでしょうか。</p>

<p>ドイツの場合、高規格の道路建設の際の費用便益比（B/C）は、3以上が好ましいと言われています。ですから、この費用便益比があるお陰で、道路はますます高速化する傾向に拍車がかかるわけですね。アウトバーンの時速制限はこれでは導入するわけには行きません。とまあ、なんだか矛盾している話です。</p>

<p>ここ数十年、私たち人類は、生活の中で移動に費やす時間をほぼ変化させていないという事実があります。これは世界中の交通に関する統計調査から明らかだそうです。つまり過去は徒歩での移動でしたから、速度が遅い分、移動範囲は狭かったので、移動に費やしていた時間は今と変らないというわけです。今現在でも、車を持っていない人と持っている人の交通手段はもちろん異なり、スピードも違いますが、一日のうち、移動に費やす時間にはそれほど変化がないことが分かっています。</p>

<p>つまり、道路を作り、もしある区間の移動速度を上げることが可能になると、人は、その分得られた時間を余暇に使うことは考えないで、その浮いた時間を利用してより遠くへ移動するとことを考えます。高速道路やインターが開通したり、例えば最近では「つくばエクスプレス」が開通したりすると、それまでは通勤できなかった人が、通勤が可能となるため、都心部からより外にでてくることは皆さんも理解できるでしょう。新しい道路を作ると、通常は交通の総量が増加することで、その高速化の部分を相殺してしまうのです。</p>

<p>もちろん個人では時間的に得をする人が出てきますが、こうした動きによって、社会的な視点では移動に使われる時間は変化しないというわけです。そればかりか、先進工業国では核家族化が進んだことで、例えば家族の買い物は誰か一人がまとめて行うというような家族間での合理的なロジスティックが機能しなくなったため、生活の中で移動に用いられる時間の割合は年々、微増していると言われています。</p>

<p>時間を節約することが前提で予算を獲得し、道路が造られてゆくのに、移動の時間の総量は増加している・・・とまあ、自動車交通の費用便益計算にはいろいろと問題があるものの、指標としてはあると非常に便利で、政治的には説得力あるものなのです。</p>

<p>そこで、自転車交通の場合も、そうした「あると便利な」指標を作ることができないかということが長年模索され、ようやくドイツ交通省がお金を投入して、研究プロジェクトを行っています。これについては、詳しくは述べませんが、自転車交通にもB/C計算が世界中で適用され、自動車交通のその値と比較できるようになれば、自治体や国も税金を自転車交通のインフラに使いやすくなるというわけですから、今後ともこのテーマに私は注目してゆきます。ちなみにベルリンの自転車レーン新設とハンブルクの駐輪場の新設の事例で行われた自転車交通の費用便益比（B/C）は、2.5～3.5という優れたものでした。ますます、この先のこの分野の研究に期待が持てますね。</p>

<p>さて、この『国家自転車会議2009』の2日目を途中で抜け出し、今度は、ドイツ・カーシェアリング連盟主催の新事例報告会議への参加のためにヴュルツブルク市へ移動しました。ここでは、とりわけウルム市ではじめられた、ダイムラー社（ベンツですね）による新しいカーシェアリング事業の報告を聞いてきました。これは、「Car2Go：カー・トゥー・ゴー」と名付けられたもので、カーシェアリングというよりは、シティカーと定義されるプロジェクトです。乗り捨て可能で、市内にたくさんのハイテク共有車が配置され、新しいアーバンモビリティの柱として将来性が期待されています。これについてのレポートは、EOLニュースの記事で報告していますので、ご参考に。</p>

<p>とまあ、次世代の交通に関してたくさん勉強させていただいた5月のある1週の報告でした。</p>

<p><strong>環境ジャーナリスト　村上　敦</strong><br />
<a href="http://murakamiatsushi.de/">http://murakamiatsushi.de/</a></p>]]>
        
    </content>
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    <title>ドイツの未来の都市交通（その2）</title>
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    <id>tag:eol.sakura.ne.jp,2009:/eco-online/german-eco//4.597</id>

    <published>2009-05-20T00:13:55Z</published>
    <updated>2009-09-13T10:36:47Z</updated>

    <summary>さて、シェアドスペース（Shared Space）に関して前回の続きを書きましょう。 ドイツ北部に位置するボーンテ市（ボームテ市）には、州道のクラス3という道路が自治体を貫いています。ボーンテ市は人口1.3万という小さな自治体ですが、住民の数と同じ数の車がその州道には毎日通過しています。また、近隣の自治体が工業団地を強化したため、この1.3万台／日の交通量のうち、トラックなど貨物車の割合は年々増加してゆき、またトラック自体の大きさも大型化してゆきました。現在のトラックの割合は全体の交通量の1割と...</summary>
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        <name>村上 敦</name>
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    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.eco-online.org/german-eco/">
        <![CDATA[<p>さて、シェアドスペース（Shared Space）に関して前回の続きを書きましょう。</p>

<p>ドイツ北部に位置するボーンテ市（ボームテ市）には、州道のクラス3という道路が自治体を貫いています。ボーンテ市は人口1.3万という小さな自治体ですが、住民の数と同じ数の車がその州道には毎日通過しています。また、近隣の自治体が工業団地を強化したため、この1.3万台／日の交通量のうち、トラックなど貨物車の割合は年々増加してゆき、またトラック自体の大きさも大型化してゆきました。現在のトラックの割合は全体の交通量の1割となっています。平日の通勤時間と木曜日と金曜日の午後には、市内中心部の交差点の信号を基点に車が数珠繋ぎになるのが通例でした。</p>

<p>通常であれば、ボーンテ市の周りは農地や森林、炭鉱の跡地ですから州道を付け替えて、郊外にバイパスを通し、市内中心部の交通負荷を削減して終わりになるケースです。そして実際にもバイパスを1本建設していますが、主に5方向から集まる車の多くは少し遠回りとなる新設したバイパスを通らず、従来の市内中心部を通り抜ける状態が続きました。このバイパスに完全に交通負荷を移すのには、さらなる付け替え工事が必要ですし、バイパスを強化することでその郊外地域と近隣自治体への悪影響についても懸念が残ります。単に負を外に押し付けるということでは、本当の解決とはいえません。ですから、道路の付け替えに関する計画は、合計8案も出てきており議論されましたが、どれも決め手にはなりませんでした。</p>

<p>そして2002年、市長選が行われ、これまで交通問題の解決に消極的だった市長が入れ替わりました。若手の改革意欲溢れるギョーデヨハン氏が市長に当選したのです。彼は、EUが支援するパイロット・プロジェクト「シェアドスペース」という事業があると聞きつけると、これがボーンテ市の交通問題の解決の決め手になるとすぐに直感し、議会や市民の説得にかかります。交通工学者で「シェアドスペース」の生みの親であるハンス・モンダマン氏をオランダから招聘してシンポジウムを開催し、市民がこの解決策に対して関心を高めるように務めます。同時にEUにパイロット・プロジェクト参加を申請し、認められました。ボーンテ市は2004年から拡大住民参加を行い、住民のこの州道を「シェアド・スペース」にする際の市民意見を募ります。</p>

<p>拡大住民参加には、この地域外から中立でプロのモデレーターを招聘して4度のワークショップを行ったり、そのワークショップや数多く重ねられた住民会議に対して、行政は白紙の計画で挑むなど、基本的に守らなければならないことを忠実に守りました。拡大住民参加が成功するかどうかのポイントは、行政が市民意見を計画に反映させる意思が本気であることを市民が感じる雰囲気を作り出すところにあります。その結果、「これこそが私たちが計画し、私たちが利用する空間だ」というボーンテ市民の意見の一致を見た計画が完成します。拡大住民参加を行うと、コストや時間がそれなりにかかりますが、計画が確定した際に、圧倒的に市民の支持を得られ、市が一丸となる、まちづくりとしての効果が多大であるというメリットが得られます。</p>

<p>さて、こうしてできあがった計画は、EUにも認められましたが、問題が一つでてきました。州道を管轄している州出先機関の道路担当局長が、このプロジェクトをボーンテ市からではなく、先にメディアの報道で知ったことで、へそを曲げてしまっていたのです。世界中、どこでもありがちなパターンで、根回しが足らなかったわけですが、このことにより州は、ボーンテ市にかなり厳しい条件を突きつけています。それは、もしこのシェアド・スペースが失敗したときは、信号や標識などすべての交通インフラの復旧作業を自治体単独の財源で行わなければならないというもの、さらに州道であるにもかかわらず、この区間は、冬季の除雪や道路清掃などは州ではなく、自治体の財源で行わなければならないというものです。</p>

<p>しかし、ボーンテ市民はこの条件を了承し、州との覚書に市長は署名します。そのようにして、ようやく建設許可が下りると、2007年5月から1年間をかけて、述べ全長およそ500mの州道の改修工事を行いました。延長自体は短いのですが、交差点（三叉路）で信号があり、もっとも交通負荷が大きい部分を改修したことに意義があります。シェアドスペースは2008年5月に完成を迎え、すでに1年間が経過しています。</p>

<p><span class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img alt="20090519sansaro.jpg" src="http://eol.sakura.ne.jp/eco-online/german-eco/img/20090519sansaro.jpg" width="400" height="299" class="mt-image-center" style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 5px;" /></span><span class="enimg-ct">シェアドスペースの三叉路の様子。誰がどこを通過しても構わないが、前方右方からの交通が優先という道交法のルールは存在する。</span></p>

<p>この1年の経験で注目すべきことは、驚くべきことは、これまで年間30～40件あった交通事故の数が、ほとんどゼロになったこと（シェアドスペースとは関係のない事故はこの州道部分で7件）、そして信号がなくなり、交差点にはルールが存在しなくなったにもかかわらず、渋滞が解消され、交通の流れがスムーズになったことで、周辺の住民の居住環境の改善が図られたことです。また、この州道は時速制限50キロの道路ですが、ほとんどの車はこの制限を大幅に下回る速度で通過するようになりました。それゆえ、自転車と歩行者による通行は快適なものとなり、道路は出会いの社会的な空間へと変化しています。標識や信号がないのに、これらのことが実現されたのはなぜでしょうか？</p>

<p>それは、この道を利用する自動車交通に対して、シェアドスペースは「狙い定めた不安感」を与えたからです。このシェアドスペース区間に入る車には、何一つ特別な情報は与えられません。シェアドスペースに突入する手前の部分に唯一設置された小さな交通標識には、『優先順位変更』の印があるだけです。普通の人には、何のことか良く分からないまま、交差点近くに来ると、突然その交差点はこれまで私たちが経験したことのない空間だと気づきます。つまり、どのようなルールでここが運営されているのか、よく分からず、不安になるのです。不安は注意力を増大させ、他者への配慮を生み出します。ドイツの道交法の第一条の一項は、『道路交通への参加者には、間断なき注意と相互の配慮を要求する』、<br />
第二項は『すべての交通参加者は、他者に危険を加えない、危機感を与えない、障害を与えない、そして負荷を与えないように行動するものとする』という文面ですが、それが普通のケースでは忘れられてしまっている車交通に対して自動的に強要されるわけです。</p>

<p>もちろん、この道を何度か通るうちに、あるいは地元の住民は、どのようなルールでこの州道区間が運営されているのかを知ることになります。ただし、そのルールは唯一つであり、道交法で規定されている通りの「前方右方からの交通の優先」というものだけです。歩行者であっても、自転車であっても、車椅子であっても、車であっても、右方からの交通を優先させれば、このスペースはどのように使ってもよいこととされています（他者への障害にならないのであれば、駐停車も許されています）。</p>

<p>通例の車交通は、社会が車交通優先であるからこそ、信号や歩道など大まかな配慮のみを行えば、相互配慮だとか、間断なき注意などは行っていないのが実情です。それどころか、車交通は往々にして他者に危機感や負荷を与えています。それが、このシェアドスペースでは、車優先の考えに不安を与えるインフラ整備がなされたわけです。およそのこの取り組みの思想は理解されたでしょうか？　詳しい話はこれ以上追求しませんが、非常にユニークな取り組みですので、皆さんも「シェアドスペース」という言葉に今後注目してみてくださいね。</p>

<p>そうそう、最後にもう一つ。このシェアドスペースは、交通量を緩和するための措置ではありません。そのためには、他の対策を行うことが必要です。ですから、今現在も工事前と同じ量の交通がこの州道には通過しています（詳しい交通量調査は現在実施中ですから、もう少しすると、工事前と後の比較が正確に行えます）。実際に私はこのシェアドスペースに面したところに部屋を取り、1日半滞在したのですが、夜中になっても車は減りませんでしたし、早朝から激しい交通量には少し驚かされました。また、人通りが少なくなると、車交通のスピードがかなり増加するのも実感しました。</p>

<p>しかし、同じ交通負荷の激しいこの道路が、シェアドスペースによって、住民にとって少しは愛着のあり、誇りに感じ取れる区間に変ったのは確かなようです。アンケート調査では市民の90％がポジティブにこのプロジェクトを捕らえているという説明も市役所で聞きました。2008年の真夏、サッカーの欧州選手権が行われたときのことです。ドイツ代表の試合は、州道を締め切って（迂回措置を取って）、なんとこのシェアドスペース上で市民が観戦（パブリックヴューイング）しています。今年のクリスマス市は州道で行う予定だそうです。すごいですよね。</p>

<p>さらに、毎週世界各地から視察が絶えず、市役所では対応しきらなくなってしまったため（私も建設局長のペトカーさんを半日拘束してしまいました。すみません・・・）、「シェアドスペース・センター」を市民参加型の組織で設立する予定だそうです。全国でまったく無名であった小さな自治体が、非常に有名な自治体へと変化し、それによって新しい雇用が生まれるのであれば、まさに市民のための空間だったといえるのではないでしょうか。</p>

<p>残念ながら、その他の自治体は視察は行ってもまだ導入には躊躇している段階ですが、ハンブルク市では緑の党が連立政権に入ったため、すべての住宅地区に最低一箇所は「シェアドスペース」を設置することを連立の条件に盛り込みました。この取り組みは、ここ数年で一気に全国区となることでしょう。</p>

<p>さてさて、視察を1日半行うとベルリンにとんぼ返りして、交通省が開催した『国家自転車会議2009』に参加しました。この会議は5月7、8日に2日間にわたって行われ、参加者は500人程度の大きな催しです。前回報告した会議と同じように地方自治体の行政や交通工学者、交通関連のコンサルやシンクタンクも参加していましたが、それ以上にこちらは自転車関連団体――ドイツにはJAFの自転車版のADFCとオルタナティブ交通版のVCDがかなり大きな組織力でロビー活動をしています――、そして最近ブームとなった自転車観光に関連する人たちの出席がありました。</p>

<p><span class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img alt="2009051902.jpg" src="http://eol.sakura.ne.jp/eco-online/german-eco/img/2009051902.jpg" width="400" height="299" class="mt-image-center" style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 5px;" /></span><span class="enimg-ct">（写真：国家自転車会議2009におけるティーフェンゼー大臣の開会の挨拶）</span></p>

<p>こちらの会議には力が入っていて、交通大臣が開会の挨拶にやってきました。テレビメディアもかなり来ていましたから、この秋に行われる総選挙のイメージ戦略とも勘ぐりたくなります。さて、この会議に私が参加した理由は、自転車交通の費用便益比（B/C）に関する研究報告が行われたからです。それがどうしても聞きたかった。理由は・・・次回に話しましょう。</p>

<p><strong>環境ジャーナリスト　村上　敦</strong><br />
<a href="http://murakamiatsushi.de/">http://murakamiatsushi.de/</a></p>]]>
        
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    <title>ドイツの未来の都市交通（その1）</title>
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    <published>2009-05-15T06:45:09Z</published>
    <updated>2009-09-13T10:31:37Z</updated>

    <summary>さて、5月のドイツは通年も今年も、環境にやさしい交通関連の会議が目白押しです。先週は、ベルリンとヴュルツブルクに出かけて、3つの会議に参加してきましたので、その報告をしたいと思います。また視察も1件行いましたので、その内容も少し報告しましょう。新情報を仕入れすぎて、頭が少しパンクしている状態ですが・・・、整理して報告できるかな？ ドイツの交通・建設・都市発展省（いわゆる国交省です）は、5月4、5日にかけて『アーバンモビリティ研究会議――政と学のダイアローグ（対話）』と題した大掛かりな会議を行いま...</summary>
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        <name>村上 敦</name>
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        <![CDATA[<p>さて、5月のドイツは通年も今年も、環境にやさしい交通関連の会議が目白押しです。先週は、ベルリンとヴュルツブルクに出かけて、3つの会議に参加してきましたので、その報告をしたいと思います。また視察も1件行いましたので、その内容も少し報告しましょう。新情報を仕入れすぎて、頭が少しパンクしている状態ですが・・・、整理して報告できるかな？</p>

<p>ドイツの交通・建設・都市発展省（いわゆる国交省です）は、5月4、5日にかけて『アーバンモビリティ研究会議――政と学のダイアローグ（対話）』と題した大掛かりな会議を行いました。これは、現在の大臣の強い希望でもあるこの省のタイトルのうち「都市発展」の部分を強化するために行われたもので、次官による開会のスピーチでもこのことが強調されました。ドイツではこの省のことを通常は「交通省」と呼んでいますんで、そのイメージを少し変えたいということですね。</p>

<p>この会議にはドイツ中の地方自治体の交通計画者などの行政、大学やシンクタンクなど学術関連者、一部の政治家、交通関連企業などが参加しました。総勢250名ほどでしたかね。かなり著名な交通工学者も数多く来ていたので、コーヒーブレイクなどの隙に質問し放題で私は嬉しかったりしたのですが、それはそれとして。</p>

<p>会議も趣旨は、2日間どっかりと腰をすえて将来の都市交通について、最新の研究成果の報告を受けながら、議論してゆこうというものです。そうそう、最近は「都市交通」という言葉は範囲が狭くなるので交通工学や交通行政、交通政策の場面では使われなくなっています。この会議でも広義の「アーバン・モビリティ≒都市における移動）」という言葉が使われていますが、定義に結構大きな違いがあります。</p>

<p>「アーバンモビリティ会議」は、全部で5つの柱で構成されていました。報告や議論された内容を並べ立てるとおそらく皆さん退屈になるので割愛しますが、増加する都市化傾向と加速する少子高齢化、さらに環境への対応を踏まえて、最新技術（主に民）と交通政策（行政と政治）を融合させ、どのように将来を組織してゆこうかというのが話し合いのテーマです。技術に関しては相変わらずのITSによる交通誘導や電気自動車など次世代交通機関、そして次世代の携帯機器を利用した公共交通のEチケット関連の話や利用者への情報提供の話もありました。そうした技術をいかに有効に活用し、技術があるだけではなく、自治体の交通政策にいかに反映させてゆくのかが議論の焦点です。</p>

<p>この会議に参加して最も収穫だったと感じたのは、参加者の意識の高さが反応に見られたことでした。それは、電気自動車に関する最新報告が終わったときの参加者からの質問にも良く表れていました。例えば、ハイデルベルク市の交通計画担当者が主催者の国に浴びせた質問は鋭かったので、少しさわりをここで紹介しましょう：</p>

<p>『私は、この会議に参加することで、将来のアーバンモビリティ問題の解決に関する新たな知識を吸収できるものと考えていました。しかし、ITSや電気自動車などに関する技術ばかりの報告では、まったく益するところがありません。ITSや電気自動車では、現在私たちが抱えている都市交通の問題を解決することありえないからです。電気自動車によって渋滞は解消されません。電気自動車でも都市空間の問題、とりわけ駐車場問題は解決されません。電気自動車でも住居環境を高めることが叶いません。電気自動車を推進しても地方自治体は活性化されません。電気自動車では社会的な経済格差によるモビリティ格差問題の解決に役立たないばかりか、それを一層先鋭化する恐れがあります。</p>

<p>主催者に伺いますが、なぜ、この会議の主題を将来のアーバンモビリティとしているのにもかかわらず、自転車交通や徒歩交通に関する最新の研究成果報告がプログラムに入れられていないのでしょうか？　プログラムにあるような自動車交通と公共交通だけでは、現在の都市が抱えているアーバンモビリティの問題解決は図られないと私は認識しています」</p>

<p>イカス質問だと思いませんか？　会場の前方に陣取った交通省の高級官僚相手に、補助金でお世話になっている地方自治体の交通担当者が、このような発言をするわけです。もちろん、会場からは拍手喝采です。というか、ドイツの大学などでは学識レベルの発言に対しては拍手は失礼であり（拍手は芸人や芸術家のためのものです）、同意や賛意を表すときは、机をコンコンと叩く伝統があるのですが、それがこのような趣旨の会場からの質問や意見のときには、数多く聞かれました。交通省の回答は、まあどこの国でもおなじみの、のらりくらりとしたものでしたので、ここでは割愛します。</p>

<p>こうした雰囲気と議論は、会議2日間を通して続けられ、主催者の国＋自動車産業やIT産業など大企業＋それに群がるコンサルに対して、行政や学識者とシンクタンクは対峙しているという構図が明確に感じられました。こうした雰囲気は10年前にはなかったと参加者は話していました。ドイツはいうまでもなく日本と同じ自動車王国であり、これから先もこの産業が強いことは変らないのでしょうが、地方や知識層からはすでに数多くの別の選択肢が推進されそうなことを予感させた会議になりました。</p>

<p>さて、この会議の後は、すぐに鉄道に飛び乗り、ボーンテ市というところで実施されている「シェアドスペース（Shared Space）」というプロジェクトを視察し、市役所に話を伺ってきました。完成して1年というプロジェクトです。シェアドスペースとはEU主導で行われているパイロットプロジェクトで、道路から標識、信号、横断歩道、歩道、自転車レーン、中央線などのすべての交通インフラを取り除き、まったく平坦な境界の明示のないただの空間（スペース）を造り、交通ルールは譲り合いと各自の注意だけというものにする交通手法です。つまり自動車と自転車、徒歩、車椅子など道路を利用するすべての人が平等にスペースをシェアして道路を利用しようというもので、オランダの交通工学者ハンス・モンダマンが提唱しています。ボーンテ市では、市内中心部を貫く毎日車が1.3万台通過するという結構交通量の多い州道をシェアドスペースに改良しました。これで交通事故を激減させ、交通をスムーズにし、周辺住民の生活環境が向上するというと、信じられますか？　詳しくは次回にレポートしますね。</p>

<p><strong>環境ジャーナリスト　村上　敦</strong><br />
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    <title>ドイツのこれは真似をしてはいけない！</title>
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    <published>2009-04-10T13:00:10Z</published>
    <updated>2009-09-13T12:08:26Z</updated>

    <summary>昨日の新聞報道を見て驚きました。「あちゃー」という感想が第一です。　新聞各社の報道によると、経済産業省は、エコカーの買い替え奨励金（補助金）を総額3700億円、省エネ家電のエコポイント還元金（補助金）として総額2700億円を09年度の補正予算案に新経済対策として盛り込むそうです。補正予算の総額は15兆円規模という想像もつかない「とてつもない金額」ですから、上述の数千億円の話でガタガタ言っても仕方がないのでしょうが、まあそれにもめげず、今回のレポートでは、この補助金の話をしてみたいと思います。</summary>
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        <name>村上 敦</name>
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        <![CDATA[<p>　昨日の新聞報道を見て驚きました。「あちゃー」という感想が第一です。</p>

<p>　新聞各社の報道によると、経済産業省は、エコカーの買い替え奨励金（補助金）を総額3700億円、省エネ家電のエコポイント還元金（補助金）として総額2700億円を09年度の補正予算案に新経済対策として盛り込むそうです。補正予算の総額は15兆円規模という想像もつかない「とてつもない金額」ですから、上述の数千億円の話でガタガタ言っても仕方がないのでしょうが、まあそれにもめげず、今回のレポートでは、この補助金の話をしてみたいと思います。</p>

<p>　まずはエコカーへの買い替え奨励金について。経済産業省、政府、与党は、新車登録から13年以上経過した車を廃車にして、10年度の燃費基準のエコカーを購入するケースで、軽自動車では12.5万円、普通自動車で25万円、トラックなどでは20～180万円が助成されるとのことです。登録から13年経過していない車であっても、10年度燃費基準より15％以上の低燃費のケースでは、軽で5万円、普通で10万円がもらえるという話です（朝日新聞の報道より）。加えて、省エネのエコカーには、4月から税の減免措置が拡大して与えられるとのことですから、エコカーへの買い替え需要が活性化することが期待されています。これによる経済効果は雇用換算で9万人だそうです。こうした将来の需要を先食いする性格の事業で、どうやって全体を見通して雇用発生数を計算するのでしょうかねえ。短期的に9万人という話でないことを祈ります。</p>

<p>こうしたいわゆる「エコ・スクラップ・プレミアム」という助成制度は、すでに欧州各国では実施されています。そこですでに数ヶ月の実績があるドイツの経験から、これは経済政策として有効かどうかを議論してみましょう。まずは、ドイツの制度を紹介します。</p>

<p>　ドイツでは1月末に景気対策の一環で（500億ユーロ≒6.5兆円規模）、この助成金制度を閣議決定し、2月初旬から「エコ・スクラップ・プレミアム」を開始しています。ドイツでは：<br />
<ul><br />
	<li>9年以上前から登録されている個人向けの乗用車で、</li><br />
	<li>2009年中に公的に認定された方式でスクラップし、</li><br />
	<li>スクラップ日より1年以上にわたって助成金申請者がその車を登録していた場合で、</li><br />
	<li>排ガス規制EURO4以上の新車購入、および新車リース契約を結ぶ際に、</li><br />
	<li>2,500ユーロ≒32万円の「エコ・スクラップ・プレミアム」が支払われることになりました。</li><br />
</ul></p>

<p>　この助成措置は、総額15億ユーロ≒2,000億円でしたから、計算の上ではおよそ58万台分の助成申請が受けられる予定でした。しかし、制度が導入されるとドイツでは小型車への買い替えブームが到来し、3月中盤には40万台を超える申請が行われ、駆け込み的な申請もあって、4月9日現在で、保留分も含めて120万台を超える申請が提出されています。</p>

<p>　これを受けて、3月後半から自動車関連の産業などからの要望もあり、3月末には申請期間の延長と総額の積み増しを政府は決定し、最終的には4月8日に総額を35億ユーロ≒4,500億円に積み増しし、両方を合わせた総額50億ユーロ≒6,500億円が尽きるか、遅くとも2009年の年末までこの制度を継続することに決まりました。</p>

<p>　この制度に対する評価には以下のようなものがあります：<br />
賛成意見（pro）：<br />
<ul><br />
	<li>2008年2月と比較して、2009年2月は小型車では21％増の新車登録が記録された。経済危機で最も打撃を受けている産業のひとつである自動車関連産業に対して、この助成措置が発揮する経済効果は明らかである。</li><br />
	<li>燃費・排ガスの悪い乗用車が一掃され、環境性能の高い車が普及した。</li><br />
	<li>古い車を所有し、通常であれば新車を購入しないと思われる低収入層に主にこの助成措置は行き届いた。</li><br />
</ul></p>

<p>反対意見（contra）：<br />
<ul><br />
	<li>貴重な財源を使って、需要を先食いしている。この制度のみで景気回復は起こりえず、助成制度が尽きたときに、新車販売が落ち込むのは目に見えている。</li><br />
	<li>景気と見合わない新車販売の急増で、中古車市場は崩壊を引き起こしている。自動車産業と引き換えに中古車産業を破壊してもよいのか。</li><br />
	<li>この現象は、中古車の価格破壊へと連鎖しはじめている。</li><br />
	<li>高級車や大型車に乗る人は、適度な高さに保たれた下取り価格があってはじめて、新車への買い替えを行うことができる。短絡的な新車小型車需要の影響で、中古車業者が痛み、その痛みが下取り価格へ影響し、めぐり巡って、新車高級車市場に波及する。</li><br />
	<li>スクラップ業者、リサイクル業界は、人為的に作り出された大量の車の廃棄によって、価格が暴落している。</li><br />
	<li>まだ使えるはずの乗用車が一掃され、燃費など環境性能が高いとはいえ、使用よりも製造に多大な資源とエネルギーを費やす新車製造を推進している。</li><br />
	<li>この総額分を減税措置に回したほうが、社会的に公平であり、自由取引市場に強引に関与しないため、副作用のない景気向上効果が得られる。</li><br />
</ul></p>

<p>と、いろいろ並べてみましたが、こんな感じである程度はカバーできていると思います。</p>

<p>　私は環境保護の原理主義者ではありますが、社会状況に応じた一定のルールのある資本主義経済をも信仰しています。ですから、基本的にはこうした工業製品・工業活動を対象としたあらゆる補助金には反対の立場です。</p>

<p>　しかし、補助金には大別して、</p>

<p>１．その助成措置により、社会に必要だと思われる新技術が普及拡大することで低価格化、技術革新が進展する（フォーカスが必要技術の普及）。</p>

<p>２．その助成措置によって、その産業分野が利益を享受する（フォーカスが産業保護）。</p>

<p>という2つのパターンがあると考えています。１のケースは、代表的なところでは太陽光発電などが挙げられるでしょう。この１のケースであれば、条件などがよく考えられて制度設計されているのであれば、私は賛成できます。でも、２のケースではまったく賛成できません。</p>

<p>　もちろん、原則的なことを述べるのであれば、例えば太陽光発電に助成措置などはまったく必要ないと考えています。単に、既存の発電施設（原発や化石燃料による火力発電、ダム式水力）が受けている恩恵を完全になくし、内部コストだけではなく、外部コストまで勘考して価格設定をするならば、太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーほど安価な電源は他に見当たりません。それを行うのが無理なのであれば、せめて、補助金で価格の不公正分を調整してという程度なのです。</p>

<p>　同じような理由で、下記の省エネ家電へのエコポイント制度も馬鹿げていると思います。</p>

<p>　経済産業省案（朝日新聞など新聞記事を参考）：<br />
テレビ・エアコン・冷蔵庫のそれぞれに設けられた一定の環境基準を満たす製品を購入した場合、販売価格の5％を「エコポイント」として購入者に渡し、別の買い物に使えるようにする助成制度。地デジ対応のテレビでは、ポイントを10％にする。</p>

<p>　なんだかビックカメラのようで呆れてしまいますが、これも期限が区切られている以上、将来需要の先食いであり（白物家電を毎年買い換える人はいないでしょう）、期限が切れたときの反動が気になります。私の記憶では、ビックカメラは期限を区切っていないですから、それはそれで正解なのだと思います（というか、最初からその分、価格を下げて提示・販売しろという私の頭の中に反響している声はどうなりもしませんが・・・価格っていったいなんだろう？）。そうそう、省エネ家電を推進するのであれば、外部コストを精密に負担したエネルギー価格を適正化することがまず第一だと思います。そうなれば、多少の初期投資増大なんて、気にもなりませんし、どのメーカーも最高の省エネ性能のモノ以外は売らなくなるでしょう。</p>

<p>　とにかく、ドイツで大方の認識ある新聞・メディアなどでは失敗したという評の高いこうした制度を、日本がいまさら真似するべきではないと思うのです。小型車に特化していた自動車メーカーは、世界中でそれほど苦戦していないのですから。日本車としては必要のない高級・大型・過剰設備路線に走って失敗したのだから、その結果は自身で責任を取るべきです。</p>

<p>　そうそう、情報をもう一つ。今年の秋には、ドイツで総選挙があります。大連立の両党ともが、国民受けを同じように狙ってできたこの制度と積み増しの決議、選挙前にはお金をばら撒くというどこの国も政治も同じような状況であったことを付け加えておきましょう。</p>

<p><strong>環境ジャーナリスト　村上　敦</strong><br />
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    <title>民主主義を大きくしよう――投票権を16歳からにする理由</title>
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    <published>2009-01-13T08:52:20Z</published>
    <updated>2009-09-13T12:54:52Z</updated>

    <summary>ドイツではこの年末から新年にかけて、既視感（デジャヴュ）でないかと錯覚するほど、すでに見たことがあるような同じ内容の新聞報道が繰り返されています。ロシアの天然ガス、イスラエルの侵攻、そして金融危機関連がそれで、数字や表現は違えど、同じところの堂々巡りです。人間の本質って懲りないところにあるんでしょうね。これに輪をかけて、もう1つ繰り返しの報道が今週から激しくなってきました。今週の日曜日、1月18日にフランクフルトのあるヘッセン州の州議会選挙を控えての選挙報道です。</summary>
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        <name>村上 敦</name>
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    </author>
    
    <category term="イプシランティ女史" label="イプシランティ女史" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="グリーン・ニューディール" label="グリーン・ニューディール" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
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        <![CDATA[<p>ドイツではこの年末から新年にかけて、既視感（デジャヴュ）でないかと錯覚するほど、すでに見たことがあるような同じ内容の新聞報道が繰り返されています。ロシアの天然ガス、イスラエルの侵攻、そして金融危機関連がそれで、数字や表現は違えど、同じところの堂々巡りです。人間の本質って懲りないところにあるんでしょうね。これに輪をかけて、もう1つ繰り返しの報道が今週から激しくなってきました。今週の日曜日、1月18日にフランクフルトのあるヘッセン州の州議会選挙を控えての選挙報道です。<br />
<a href="http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%98%E3%83%83%E3%82%BB%E3%83%B3%E5%B7%9E" target="_blank">http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%98%E3%83%83%E3%82%BB%E3%83%B3%E5%B7%9E</a></p>

<p>昨年のはじめにこのブログでも紹介しましたが、昨年1月にヘッセン州では州議会選挙が行われ、政権を担っていた保守政党のコッホ氏が大敗し、社会民主党の新星イプシランティ女史が躍進しました。<br />
<a href="http://eol.sakura.ne.jp/eco-online/german-eco/20080223182.php">http://eol.sakura.ne.jp/eco-online/german-eco/20080223182.php</a></p>

<p>！！！ここからは、ドイツの政治情勢を知らない人には退屈な話しとなりますが、後半から面白くなりますから、少し我慢して読み進んでくださいね！！！</p>

<p>ただし、この選挙結果は最近のドイツの傾向と同じように、どちらの2大政党とも、常連の連立のパートナー相手（CDUはFDP、SPDは緑の党）と組んでも、議会の過半数が取れません。ですから、Linksという左党（日本でいうところの共産党で、旧東ドイツからの流れです）と組むのか、大連立か、あるいは綱渡りで少数派政府を形作るのかのどれかでしか、議会を運営することができませんでした。当面はすべての連立工作も失敗し、州知事になるための過半数を誰一人取ることができなかったため、規定通り前知事のコッホ氏が暫定政権を形作り、議会を運営してゆきました。しかし、政党間の事前取り決めというルールのない過半数割れ政権は、うまくゆくはずがありません。選挙が終わった後も、ヘッセン州の政治は停滞していました。</p>

<p>そこで、社会民主党のイプシランティ女史は、Linksとの共同という禁じ手に手を伸ばします。Linksは、「ポピュリズムであるため、旧東ドイツやベルリンなど歴史的な背景のある特別な州以外では相手にしない」というのがその他4つの国民政党（CDU, SPD, 緑の党, FDP）の主張です。ですから、正式な連立ではなく、州知事選挙の際は、Linksはイプシランティに投票するものの、その後は連立を組まない。社会民主党と緑の党という少数派政権を作り、決議の内容に応じて、左よりの内容であればLinksと協調し、保守的な内容であればCDUと協調するという方針です。この他には政治的な手段がなかったわけですから、まあ妥当な妥協案のように私には思えました。昨年の11月に再度、州知事を選ぶ投票を行い、ヘッセン州はようやく選挙という民意をへて活動を開始するかのように見えました。それが、投票の直前にLinksとの協調路線を嫌った社会民主党の3名の造反が出で、この投票は撤回となります。イプシランティ女史は党首から退き、結局、混乱のまま再選挙が行われることとなりました。</p>

<p>アメリカの大統領選挙では、もし8年前にゴアが当選していれば・・・、あるいは少なくとも4年前にブッシュが再選さえしなければ・・・、というのは環境保護を推進する人びとの間でよく聞かれる話しです。ドイツの場合のこの「IF」は、この11月の投票です。もし、イプシランティ女史が予定通り11月に州知事に選ばれていれば、新エネルギーの分野で画期的な政治が行われていたことでしょう。私も活動の拠点をフランクフルト市か州都のヴィースバーデン市に移すため、引越ししていたかもしれません。それぐらいインパクトがあったはずなのです。理由は、彼女は再生可能エネルギーの推進に積極的で、選挙戦もヘルマン・シェーア氏を経済大臣などの主要ポストに任命する予定を公表するなど画期的な政策提言を展開していたからです。つまり、日本では金融危機を受けて、さらにオバマが当選してからようやく口にしはじめた「グリーン・ニューディール」を1年以上も前に具体的な案を含めて公言していたのです。</p>

<p>ヘルマン・シェーア氏とは、社会民主党の政治家で、自身は1988年からユーロソーラーというNGOを主催しています。世界中で導入されはじめている新エネ促進法「フィードインタリフ」をドイツに導入したという偉業もあります。彼は再生可能エネルギー推進にかかわる講演を世界中で年間200箇所ほどこなし、世界中に翻訳されている本も多数執筆していますが、同時に「オルタナティブ・ノーベル賞」を1999年に受賞し、2002年にはTIME誌が「Hero for the Green Century」に評しています。世界中で信頼されている再生可能エネルギー分野の実力者ですが、政治家として党内では浮いている人物です。</p>

<p>ただし選挙戦から11月の造反劇までの間に、彼女が政治をこうした新しい体質に変革することを、社会民主党自身が望まなかったという面が暴露されました。社会民主党は、炭鉱の労働者が支持基盤で拡大した政党です。とりわけヘッセン州ではこの傾向が強く、現在も巨大な石炭発電所の計画が進行中です。このエネルギー供給体制を一気に変更しようとするとき、その改革者はいとも簡単に足元をすくわれることになります。ドイツといえども、奇麗事で政治は動いているわけではありませんし、民意と政治は常に相関関係にあるわけではないのです。既得権益サイドによる抵抗というのは、世界中どこにでもある普遍的な事象ですね。</p>

<p>日本でも世論調査から分かるように、もはや定額給付金は民意ではありません。しかし、政治はそのまま淡々と進むようですね。こうした状況で、個人的にはドイツの新聞も、日本の新聞にも目を通すのにうんざりしていましたが、フライブルクの地方紙、バーデン新聞には興味深い記事が掲載されていました。お隣の自治体、スイス・バーゼル市についての記事です。</p>

<p>スイスのバーゼル市は、行政区分でいうと隣接した2つの小さな自治体を含めて、バーゼル・シティ準州を形作っています。この州政府の政治家、緑の連合のロレッタ・ミュラー女史は、2007年初頭から政治参加の年齢を、現行の成人である18歳から、投票権だけは16歳に下げようとの提案を行いました。この意見は政府や議会で議論され、過半数の支持が得られています。そして、ここからが直接民主主義という政治体制を取るスイスのすごいところです。こうした州法の改正、一定額以上の予算項目、大きな政治的な対立、などなどについては、常に住民投票で最終的な決議が行われるのです。ですから、バーゼル市民は2月8日に、被選挙権のない選挙権を16歳以上からにするかどうかの住民投票に駆り出されることになります。</p>

<p>こうした投票はスイス人にとっては日常で、ちなみに2008年のバーゼル市民は合計6回の選挙＋住民投票に駆り出されています。そして、その度に、その投票の趣旨が説明されたパンフレットを読み、各政党の意見を調べ、自身の意見を築いて、投票に臨むというわけです。ちなみに、この選挙権16歳の住民投票のために準備されたパンフレットは、以下のサイトでダウンロードできます。ここには、PROとContra（その趣旨に対する賛成と反対意見の説明）が必ず記載されます。<br />
http://www.regierungsrat.bs.ch/w-a-09-02-08-erlaeuterungen.pdf</p>

<p>このパンフレットのPROである賛成には以下のような理由が記載されていました。反対意見はそれほど内容がないので関心しませんが、この賛成意見は非常に爽やかなので、それを取りまとめて紹介して、今回のブログ記事は締めとしたいと思います。誰かこれに真っ向から反対できる人はいますか？</p>

<p><strong>なぜ投票権を16歳からにするのか？</strong></p>

<p>賛成意見としての理由：<br />
・スイスでは少子高齢化が進んでいます。これは有権者の平均年齢を押し上げることを意味しています。2010年以降、スイスでは50歳以上の有権者数が、全体の50％を超えることになります。高齢の有権者と、青年層では志向も異なりますので、投票する傾向も当然異なります。私たちの国では、できるかぎり公平なバランスの取れた民主主義を実現したいと考えていますので、できるかぎり多くの若い年齢の国民が投票権利を行使することが必要だと考えます。</p>

<p>・16歳は、政治的な判断をすることができる成熟した年齢でしょうか？　政治的な成熟とは、その自身の判断が及ぼす影響を推し量ることができるかどうかです。18歳という成人年齢と、この推し量る能力があるとされる年齢とは同一ではありません。スイスのこれまでの判例では、結果を推し量る能力（責任能力）は、成人年齢よりも先に来ることを示しています。選挙権は、従って成人を基準とするのではなく、この推し量る能力を得た年齢を基準にするべきです。</p>

<p>・16歳とは、スイスでは一般的な教育（義務教育）を終了し、職業を選択したり、さらなる専門的な学業分野を選択する年齢です。自身のこの先の生涯を決定することを16歳に任せているのに、自身の置かれる政治的、社会的な状況を自身で決定する権利を与えない、あるいは与えて行使できることを信じてやれないのはおかしくはありませんか？</p>

<p>・16歳までには学校教育で一定の政治的な知識を与える政治教育を行っています。この選挙権年齢を下げることで、政治教育に実質的な効力をより持たせることができ、若者の政治的な関心を増大することが期待されます。政治教育にとってチャンスとなるとは考えられないでしょうか？</p>

<p>・政治的な決定能力とは、決定権を与えてはじめて芽生えるものです。権利のないものに自動的に能力は発生しません。さらに若者には、選挙権を与えても行使しないため意味がないという反対意見もありますが、行使するかしないかも個人の判断で、それと、権利を与えることは関係がありません。統計では70歳を大きく上回ると投票率が低下する傾向がありますが、だからといってそうした高齢者の投票権を剥奪しようという議論にはなりえないのもこのためです。</p>

<p>・若者は他者に左右され易いという意見もありますが、我われの中で他者に全く左右されない者がいるでしょうか？　それならば、なぜ選挙戦を戦い、選挙ポスターを貼るのでしょうか？　民主主義の政治とは、他者に理解を図る過程です。他者に左右されるという問題はその質や程度の問題であり、民主主義の仕組みと制度の問題です。16、17歳という年齢の問題ではありません。</p>

<p>直接民主主義。もちろん、現実は理想郷ではありませんが、しびれちゃいますね。ちなみに、この投票権を16歳にというキャンペーンのポスターは非常にカッコいいので、ダウンロードして見てみてくださいね。子供服がキツキツになった若者の写真です。中央のドイツ語で書かれたキャンペーンの台詞は『民主主義を大きくしよう』です。</p>

<p><a href="http://www.waehlenab16.ch/Stimmen16_F4_screen.pdf" target="_blank">http://www.waehlenab16.ch/Stimmen16_F4_screen.pdf</a></p>

<p><br />
<strong>環境ジャーナリスト　村上　敦</strong><br />
<a href="http://www.murakamiatsushi.de" target="_blank">www.murakamiatsushi.de</a></p>]]>
        
    </content>
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    <title>省エネ電球は環境に悪い？</title>
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    <published>2009-01-01T05:43:26Z</published>
    <updated>2009-09-13T12:57:47Z</updated>

    <summary>皆さま、明けましておめでとうございます。当初、このブログをはじめたときから少し意図が変わってきていますが・・・今年も環境保護の難しい点を、できるかぎりドイツでのトピックスを交えながら整理してお伝えしてゆきたいと思います。 さて、前回告知しましたように、今回はドイツで12月に巻き上がりました「白熱電球VS省エネ電球（電球型蛍光灯）」に関する議論です。なかなか質が高くて面白い議論ですから、皆さん新年早々ではありますが、頭をフル回転させて一緒に考察してみましょうね。 ことの発端は2つの出来事からはじま...</summary>
    <author>
        <name>村上 敦</name>
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        <![CDATA[<p>皆さま、明けましておめでとうございます。当初、このブログをはじめたときから少し意図が変わってきていますが・・・今年も環境保護の難しい点を、できるかぎりドイツでのトピックスを交えながら整理してお伝えしてゆきたいと思います。</p>

<p>さて、前回告知しましたように、今回はドイツで12月に巻き上がりました「白熱電球VS省エネ電球（電球型蛍光灯）」に関する議論です。なかなか質が高くて面白い議論ですから、皆さん新年早々ではありますが、頭をフル回転させて一緒に考察してみましょうね。</p>

<p>ことの発端は2つの出来事からはじまります。<br />
　まず1つ目：EUは、今後4年間で段階的に白熱電球を市場から取り除くことを決議しました。これは2008年1月までに行われたEUの「エコデザイン政令」のための学術的な調査でLCA調査を行った結果、白熱電球と省エネ電球を比較した場合、省エネ電球を使用した方がエネルギー消費量が4分の1となることを受けての決議でした。具体的には2009年からEUでは100W以上の白熱電球の販売が禁止され、2010年からは禁止措置は40W以上となります。そして2012年に全廃へという流れです。<br />
　そして2つ目：ドイツで権威があり信頼性も高い雑誌「エコテスト （<a href="#oekotest"><strong>*1</strong></a>）」は、自社独自に省エネ電球を調査、比較した結果、各製造メーカーが述べているほど「明るくなく」「省エネ効果も見られず」、そして廃棄時の不適切な市民の行動からマクロでは環境や健康に害があるとして、白熱電球より優れているとの一元的な見解を否定した。</p>

<p><a href="http://www.oekotest.de/cgi/nm/nm.cgi?doc=lamp-uebersicht" target="_blank">http://www.oekotest.de/cgi/nm/nm.cgi?doc=lamp-uebersicht</a></p>

<p>この2つの事象を受けて、スキャンダル好きな大衆各誌や多くの新聞、テレビなどのマスメディアは、揃ってこの問題を取り上げました。大方のマスコミは、ただ面白おかしく、これまでの常識（＝省エネ電球は良い、正義）が覆されたとしか報道しませんでしたが、新聞への投書やインターネット上などの議論を見ると、それぞれ両方の立場から様々な意見が噴出していることが分かりました。まずは前述のエコテストも含めて、白熱電球擁護派の意見を取りまとめてみると以下のようなものがあげられます：</p>

<ol>
	<li>省エネ電球は同じソケットに収まるタイプのものを取り付けても、明るさが大きく減少する（例：60Wの白熱電球であれば、通常11Wの省エネ電球を取り付けることで代替されると一般的に言われており、省エネ電球のパッケージから読み取れるが、表示されている明るさの単位＝ルーメンは必ずしも同じではない。さらに、安価な省エネ電球はルーメン数が大きく減少している例がある）。もちろん商品のパッケージにはルーメンを表示しなければならないため印刷されてはいるものの、その表示はとても小さく消費者を混乱させる原因となっている。</li>
	<li>『エコテスト誌』の独自調査では、省エネ電球の多くは表示されたルーメンの数値の明るさを発揮していない。あるいはその明るさに達するまでに、点灯開始から非常に長い時間が必要とされる（省エネ電球の欠点は、明るくなるまである程度の点灯時間がかかることである）。とりわけ低温時の照度が低い。</li>
	<li>上述のことから通常言われているような75～80％の省エネ効果は期待できず、同じ明るさで比較した場合、省エネ効果は50～70％に留まる。とりわけ安価な省エネ電球ほどその省エネ効果は薄い。</li>
	<li>省エネ電球のパッケージに表示されている連続点灯時間は、現実の使用では達成できないことが多い（省エネ電球はどれだけ連続で点灯したかではなく、何度点けたり消したりしたかによって寿命が決まる傾向が強い）。一般には白熱電球の10～15倍の寿命があると言われているが、それは最も高性能で高価な省エネ電球に限ってのことであり、現在市場で売られている省エネ電球のほとんどは白熱電球の数倍しか長持ちしない。</li>
	<li>従って、白熱電球よりも省エネ電球のほうが一般的に数倍高価なため、一般に考えられているほどコスト削減効果は期待できない。</li>
	<li>白熱電球ほど形状が多様ではなく、用途が限られる。</li>
	<li>省エネ電球（蛍光灯）の光は、白熱電球とは異なり、点滅を繰り返すため、それが人間に認識される、されないにかかわらず、健康への影響が懸念されている。さらに白熱電球以上に「e-Smog：電気スモッグ」による健康への影響が懸念される。</li>
	<li>省エネ電球は製造に水銀が利用されている。最近ではEUは厳しい水銀量の上限措置（5mg／個）を設けているが、古いタイプのものはこれ以上使用されており、同時に新しい商品でもこの上限値ギリギリで製造しているのが普通である。従って、家庭内で省エネ電球が破損した時の健康被害、および廃棄時の適正な処理を行わないことから環境中に廃棄される水銀の量は社会全体ではおびただしいものとなる。とりわけドイツでは一般市民の認識不足から、危険ゴミとして特別な回収に寿命を終えた省エネ電球がうまく回収されておらず、販売量のおよそ9割は一般廃棄物に混入しており、通常の焼却炉でその他の廃棄物と同様に焼却処分されている。その際に環境中に飛散する水銀量は無視できないものとなってきており、とりわけ白熱電球を廃止することでこの傾向は加速化する。</li>
	<li></li>
</ol>

<p>以上のとおり数多くの省エネ電球のデメリットがエコテスト誌やその他のメディアで報道されました。これまで環境保護の推進者は（ある部分では盲目的に）省エネ電球の推進を訴えてきたのですが、上述の諸問題に対して、どのような学術的に公平な回答が行えるのでしょうか？　省エネ電球擁護側の意見で私の目から見て納得のできるものを取りまとめてみましょう：</p>

<p>　①～⑤の問題に対して：安価な価格帯の省エネ電球では、取り上げられたような問題は事実として発生しています。この場合は、消費者が賢明になり、信頼できるメーカーの信頼できる性能の省エネ電球を取り付ける以外に対策はありません。ただし、すでに市場に出ているもので高価な価格帯の高品質・高技術製品では、①～⑤で示されている問題はすべて解決しています。初期投資は割高になりますが、LCAで見てみると環境のためにも、そして総額コストの面からもそうした商品は割りに合うのです。</p>

<p>　⑥に対して：白熱電球が段階的に廃止になるに連れて、とりわけ低出力の省エネ電球の分野においても多様な形状や性能の商品が開発され、市場一般に広がることでしょう。</p>

<p>　⑦に対して：省エネ電球が健康上に与える影響に関しては、学術的に証明されたものがまだありません。したがって、より安全側を配慮したい場合は、卓上ランプなどは省エネ型のハゲロンランプ、LED灯などを利用するのがよいでしょう。一般的には、体から50センチ以内で長時間、省エネ電球を点灯させなければ、健康への被害が現れる可能性はほとんどないと思われます。ただし、電磁波過敏症などの特別な体質をもたれる方、あるいは恐れのある方は、ハゲロンランプで代替するのがよいでしょう。</p>

<p>　⑧に対して：社会がすべて安価で低性能な省エネ電球を選ばない限り、白熱電球が廃止されることによって得られる電力の省エネ量は莫大です。忘れてはならないのは、私たちの社会の電力の大きな割合は、石炭と褐炭で発電されている点です。石炭発電では、その燃焼時に多量の水銀を含む重金属が環境中へと飛散しています。それに加えて、石炭などの化石燃料資源を採掘したり、精製したりする際には多大な汚染物質が発生しているという事実があります。電力という高価で貴重なエネルギーを、省エネ電球によって節約することで得られるこうした汚染負荷の軽減量は、省エネ電球自体に含まれる水銀が環境や健康に負荷を与える量をはるかに上回ることでしょう。もちろん、啓発などを通じて、一般家庭から使用済みの省エネ電球を危険ゴミとして別回収することは徹底して行われるべきですし、家庭内で省エネ電球が破損した場合の取り扱いについても同様に教育されるべきです。さらに将来的には水銀を使用しない代替タイプの商品の開発も視野に入れるべきでしょう。</p>

<p>皆さん、どうでしょうか？　納得できましたか？　①～⑤に関しては、『安かろう悪かろう』というこの世の中ほとんどに関して当てはまる事柄だと思います。食品から衣類、工業製品までおよそ商品と呼ばれるものにはこの傾向がありますから市民としては非常に気をつけたいところですね。</p>

<p>また、私はジャーナリストという仕事柄、とりわけ⑧について関心があります。この上述の回答はバーデン新聞に掲載されたブッパータール研究所のエネルギー専門家ヴォルフガンク・イレック氏からのコメントを引用していますが、こうした大掛かりな社会的な研究が行われたわけではありません。専門家の感覚＋常識によるコメントというわけです。もちろん社会というマクロに対して、どのような効果があるのかを精密に調べるためには時間と多大な費用、そして優秀で中立的な研究機関や研究者を必要とします。ただし現在の地球や人間の経済活動は多様化しているため、何が良いのかを見極めることは素人にはできない状況になっているのも事実です。ですから、複数の専門機関が調査を行い、それを市民に公開するというのは、ぜひとも必要な事柄だと思います。</p>

<p>「環境のため」「環境に優しい」というモノ、サービスが、本当に意味のあることかどうかは、すべての分野において単純に一口に言えない世の中であることを再認識させられたドイツの年の暮れでしたねえ。皆さんもこうした「省エネ電球＝環境に優しい」というような対象をナイーブに信用しないで、いろいろ考えてみましょうね。きっと意味のあることだと思いますし、こうした考える力が次のステップを作ってゆくのだと思います。それでは、今年１年もよろしくお願いいたします。</p>

<p><br />
<strong>環境ジャーナリスト　村上　敦</strong><br />
<a href="http://www.murakamiatsushi.de" target="_blank">www.murakamiatsushi.de</a></p>

<p><a name="oekotest"><strong>*1</strong></a>　「エコテスト 」<br />
  <a href="http://www.oekotest.de/index.html" target="_blank">http://www.oekotest.de/index.html</a><br />
「Oekotest誌」。ドイツで最も中立で権威があると言われているTest財団による生活者のための雑誌「Test誌」は、性能や利便性、価格重視で、環境や健康への影響を十分に評価していないと主張し、そのオルタナティブとして民間企業が設立した生活者雑誌。こちらも「Test」にも劣らないほど企業や政治に左右されない中立性があるとして、市民からの支持を集めている。</p>]]>
        
    </content>
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    <title>ヒートポンプ議論の決着！？</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://www.eco-online.org/german-eco/200812291212.php" />
    <id>tag:eol.sakura.ne.jp,2008:/eco-online/german-eco//4.592</id>

    <published>2008-12-29T03:06:35Z</published>
    <updated>2009-09-13T12:34:49Z</updated>

    <summary>今回はドイツでのヒートポンプに関する話題の続きです。12月4日に、欧州で最大のソーラーエネルギーと次世代エネルギーの研究施設「フラウンフォーファー研究所ソーラーエネルギーシステム」がヒートポンプのフィールドテストの結果が取りまとまったとプレス記事が出ました。このフィールドテストでは、7つのヒートポンプのメーカーのもの合計70箇所で計測した結果を取りまとめたものです。</summary>
    <author>
        <name>村上 敦</name>
        <uri>http://www.murakamiatsushi.de</uri>
    </author>
    
    <category term="cop" label="COP" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="lca" label="LCA" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="エコキュート" label="エコキュート" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="ヒートポンプ" label="ヒートポンプ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.eco-online.org/german-eco/">
        <![CDATA[<p>今回はドイツでのヒートポンプに関する話題の続きです（前回のお話は下記のアドレスで）。<br />
<a href="http://eol.sakura.ne.jp/eco-online/german-eco/20080323153.php">http://www.eco-online.org/german-eco/2008/03/23-155421.php</a></p>

<p>12月4日に、欧州で最大のソーラーエネルギーと次世代エネルギーの研究施設「フラウンフォーファー研究所ソーラーエネルギーシステム」がヒートポンプのフィールドテストの結果が取りまとまったとプレス記事が出ました。詳細はドイツ語ですが、下記のサイトでご覧下さい。</p>

<p><a href="http://wp-effizienz.ise.fraunhofer.de/german/index/index.html" target="_blank">http://wp-effizienz.ise.fraunhofer.de/german/index/index.html</a></p>

<p>このフィールドテストでは、7つのヒートポンプのメーカーのもの合計70箇所で計測した結果を取りまとめたものです（来年初頭までに40ヶ所のデータが追加されます）。プロジェクトの目的は、とりわけ最近の新築建築は高断熱・高気密の省エネ住宅となっていますので、そうした熱エネルギーのそれほど必要でない建物においても小型のヒートポンプが有効かどうか、有効であるならばどのような形で設置や運転の最適化ができるのかを調べるというものでした。データは2006年の夏からはじまり、評価は2007年11月から08年10月までの1年間で行っています。</p>

<p>まずは結果について。庭などの地下に不凍液が循環するパイプを張り巡らし、冬場の地熱をヒートポンプ利用するというタイプでは、平均的なCOPは3.7でした。また地下水の熱を利用するヒートポンプはCOPで3.5が平均値です。どちらも日本では全く普及していないタイプなので、比較が難しいのですが、ドイツでは全室暖房と給湯の両方のエネルギーをヒートポンプから獲得するので、日本のエコキュートなどより大掛かりな施設となります。ドイツの現状の電力事情ではCOPが2.5～2.7以上あるヒートポンプであれば、CO2の排出量を削減し、温暖化対策になるといわれています。ということで、ほとんどのドイツにおけるヒートポンプは、まあ合格点が与えられたわけです。</p>

<p>ただし、データの数は少ないのですが空気の環境熱で稼動するタイプのヒートポンプのCOPの平均値は3.0とそれほど優れないことも分かっています（データは6件の平均値）。多少の温暖化対策にはなるものの、劇的に現状を変えるものではないというレベルでしょうか。エネルギー消費量で変換すると、1割程度は省エネになるものの、日本のテレビコマーシャルでいうほど環境にクリーンではないということですね。</p>

<p>さて、ヒートポンプに限ってはドイツと日本の現状について直接比較することができません。前述したように日本では給湯だけに利用しているのに対し、ドイツでは暖房でも利用されている大掛かりなタイプのものですし、日本人はドイツ人よりもおよそ3倍も水を利用しています。また、平均してドイツの冬は日本のそれよりも格段と寒く、長いからです。ただ、最近日本でも面白いニュース（朝日新聞12月26日）が流れました：</p>

<p><a href="http://www.asahi.com/national/update/1225/TKY200812250293.html" target="_blank">http://www.asahi.com/national/update/1225/TKY200812250293.html</a><br />
詳細は財団法人建築環境・省エネルギー機構のガイドライン：<br />
<a href="http://www.jjj-design.org/guidelines/data/080501p177v2.pdf" target="_blank">http://www.jjj-design.org/guidelines/data/080501p177v2.pdf</a></p>

<p>エコキュートを利用しても、出荷時の設定のままであるとエネルギー消費量はガス式の湯沸かし器と変わらないという話しです（一次エネルギー投入量で）。つまりお湯の消費量や生活パターンに応じて、こまめに設定を変更しないことには、省エネ効果が得られないということでした。もちろん、そうした状況では、いくら安価な深夜電力を使おうとも100万円単位の投資が回収できるのは、かなり先になってしまいます。</p>

<p>さて、私の個人的なヒートポンプに関する認識ですが、まあ、トヨタのプリウスと同じレベルだというところでしょうか。トヨタのプリウス並みの燃費は、最近の軽自動車でも十分に期待できますし、プリウスで省エネできるエネルギー量は、それよりも燃費の悪い車であっても、車との付き合い方次第で簡単に達成することができます。つまり必要でないときに車に乗らないという行動ほどは、環境に対して効果がないというわけです。さらにプリウスなどのハイブリット車やこれから先に普及するであろう電気自動車には、大量のレアメタルという貴重な資源が使われていますし、そうした資源など製造過程、廃棄過程を含めたLCAで評価すると、プリウスで省エネできるとはっきりいえるようになるには、かなりの走行距離を乗らなければならないからです。</p>

<p>エコキュートなどのヒートポンプも全くそれと同じで、そうした高価な施設を導入しても、それに対して得られる省エネ効果は、普段の生活の少しの配慮で（お湯をあまり贅沢に、無駄に使わない）、得ることができるわけです。さらに、マクロで考えたとき、日本という社会で消費される電力量は、できるかぎり下げるべきです。ますます多くの原発や化石燃料の発電所、あるいはダム式の水力発電を増やしても、環境や将来の世代にとってよいことは何もないからです。</p>

<p>ただし、同じヒートポンプ技術でもエアコン、冷蔵庫となると、あるいはある程度大きな割合で電力を消費しているテレビなどの家電となると話しは変わってきます。もし、自宅に設置してあるものが古く、買い替えを検討しているようなものがあったら、必ず最新式の少し高価でも省エネ性能に優れているものを購入すると、3～6割の省エネがそれだけ実現されます。テレビを観る時間を5割減らすことは、もちろんよいことではあるのでお勧めしますが、それが長続きするかどうかは疑問ですし、生活の豊かさを落とすことにも繋がりかねません。冷房も利用時間を半減させることはなかなか難しいですよね。冷蔵庫なども中身を沢山詰め込まないこと、開け閉めはできるかぎり短く、回数も少なくすることは大切な事ですが、それだけで電気の消費量を半減させることは大変な努力を伴います。ですから、こうした同じ仕事をしても省エネ効果に大幅に優れているものについては、買い替えの時期には積極的に取り入れることが肝要です。</p>

<p>それでは、白熱電球の代わりに省エネ電球は、どうなんでしょうか？　日本でも多くのメーカーが白熱電球の生産から撤退することを決めていますし、オーストラリアやEUでは、白熱電球の販売が禁止されることに決まっています。これについては、次回詳しく紹介しましょう。今年の12月にはドイツで興味深い大きな議論が巻き起こったからです。</p>

<p>さて、最後の取りまとめの部分ですが、ここからが現代の環境保護を難しくしているところです。混乱するでしょうが、皆さんもよく考えてみてください。太陽光発電のパネルが市場で販売されはじめたときには、発電効率は非常に低く、パネル製造のためにも大きなエネルギーがかかっていました。20年稼動しても、LCAで評価すると発電したエネルギー量と製造や設置、廃棄に必要であるエネルギー量は同じ程度にしかならないと言われていました。ただし、現在はそうしたエネルギー回収バランスは飛躍的に向上し、3年前後稼動すれば環境のために効果があがると言われています。つまりこれを可能にしたのは、太陽光発電の製造において技術革新が行われたからです。今後もより優れたソーラーパネルが作られてゆくことでしょう。これが実現された理由は、技術開発や研究に投資が行われたからです。その投資とは、もちろん普及の度合いと関係があります。もし、25年前の段階で太陽光発電を人工衛星などに搭載する以外は意味のないものと誰もが考え、誰一人設置しなかったら、現状はないことになります。</p>

<p>この話しは、エコキュートやプリウスの場合でも同じです。プリウスが世界中で好調に販売され、エコキュートが日本ではすでに150万台（市場占有率5％）販売されているために、こうした技術をさらに良い物にするための投資が行われ、各社は競争し、その結果、技術革新が推進されているのは事実です。ですから、私たちはこうしたものを現状のエコバランスが格段に優れないからといって、すぐに切り捨ててしまうことは得策ではありません。ですが、すべてのこうした技術を推進するために購入したり、普及することをよしとするのでは際限がなくなってしまうのも事実です。</p>

<p>ですから、そのための判断基準というものが必要になります。その基準を議論するために私たちが一番必要としているものは、この先の私たちの社会におけるエネルギー供給戦略です。市場原理だけで電力消費の絶対量を増加に任せるまま放置することは避けなければなりません。どの段階までガソリン車に乗ることができるのか？　いつから電気自動車やバイオマスの自動車に乗るべきなのか？　いつから、どの程度ガス湯沸かし器ではなくヒートポンプ湯沸し器に、あるいはソーラー温水器に依存するれば良いのか？　今の段階でエコキュートを推進するべきなのか、それほど推進する必要はないのか？　この回答は、いつの段階で、どの程度の一次エネルギー資源を、どこから、どれだけ輸入し、どのようなエネルギー供給を日本は行うべきなのかが示されない限り、答えが見つからないことでしょう。もちろん、ここには温暖化対策の議論も含まれます。これが国民的に議論され、そして国の単位で未来を示してはじめて、このヒートポンプ、ハイブリッド車を巡る議論を進展させることが可能となるのです。</p>

<p>はあ、残念ながらこのエネルギー供給戦略は、日本では少しも提示されていません。ですから、いくらこの分野を詳細に調べようとも、いくらフィールド調査を行おうとも、「よい」のか「悪い」のかの評価は出てこないわけです。</p>

<p>「いやー、環境って非常に難しいですね」</p>

<p><strong>環境ジャーナリスト　村上　敦</strong><br />
<a href="http://www.murakamiatsushi.de" target="_blank">www.murakamiatsushi.de</a></p>]]>
        
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