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身近にあふれる化学物質

いま、ダイオキシンや「環境ホルモン」が、大きな問題となっています。これらは新しい化学物質ではありません。私たちの身近にあった化学物質が、ゴミとして処理されたり、自然のなかにあふれ始めたとき、大きな問題を生じることがわかったのです。今回は、そんな身近にあふれる化学物質について考えてみましょう。

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illustration 自然界になかったものに囲まれた生活

科学の進歩は、私たちの生活を、とても便利なものにしました。服が汚れれば、合成洗剤を使って、真っ白に洗うことができますし、田畑に雑草が生えれば、農薬をまき、簡単に枯らすことだってできます。それとともに、身のまわりの生活用品も大きくかわりました。竹でできたものさしは、丈夫なプラスチック製になり、布でできた人形は、手ざわりのよいビニール製にかわりました。自然界にはなかったものが、私たちの衣食住の大部分を、支えるようになったのです。



illustration 化学物質はどのように環境を汚染するのか?

私たちには便利な生活を約束してくれた化学物質ですが、自然界に対しては、いったいどんな影響を与えているのでしょう?雑草を枯らしてくれる除草剤の成分の一部は、そのまま地下水や川に流れ込み、海や湖の生態系に影響を与えます。塩素を含んだプラスチック製品などは,完全に焼却しないと,焼却中にダイオキシン類などの有害物質が生成し,排煙とともに大気中に放出されます。それが、雨にとけ込み、土や川を汚染します。こうして、化学物質が自然界を回り始めるのです。


illustration 生物のホルモンのように作用する「環境ホルモン」

私たちはこうした環境で育った魚や農畜産物などを食べますが、その食べ物から「環境ホルモン」が発見されることがあります。人間の身体は、ひとつひとつの細胞で作られた、さまざまな器官から成り立ちます。それぞれの機能を細胞がはたし,ホルモン,神経,免疫系などによって、全体の調和がとられます。このような環境に、ホルモンのような働きをする「環境ホルモン」が入り込むと、身体の調節機能がおかしくなって、大変なことになってしまうのです。



illustration 「環境ホルモン」はほんのわずかで大きな影響

環境ホルモンという物質は、ほんのわずかな量で、生体に大きな影響を与えます。たとえば、環境ホルモンの一種、トリブチルスズという物質の濃度が1ppt(100万トンの水にわずか1ccの濃度)の海水で、巻き貝の一種であるイボニシを育てると、メスがオス化してしまった実験例さえあるのです。人間の男性の精子が減少していることも、世界各地で報告されています。環境ホルモンはすでに私たちの身体に、大きな影響を与え始めているのかもしれません。


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