07/12/16

小学校での環境教育

 現在私は、シリアの首都ダマスカスにある「ダマスカス県環境局」にJICA青年海外協力隊の環境教育隊員として派遣されています。

環境局にはラボラトリー部門とパブリック・アウェアネス(公衆意識向上)部門があり、私はパブリック・アウェアネス部門に所属しています。パートナーであるシリア人女性2名が小学校を巡回して環境教育の授業を行うにあたり、彼女たちをサポートしながら新しい提案や手法を取り入れて一緒に授業を作っていくことが私の主な活動です。

 シリアに赴任した当初は小学校が夏休み中で、環境教育授業のための学校巡回が始まっていませんでした。夏休み明けにラマダン(断食月)が始まり、ラマダン明けには教育省からの許可がおりていないとのことで、なかなか学校巡回ができずにいましたが11月末からようやく環境教育の授業を実施できることになりました。

 日本では「総合的な学習の時間」に環境について学習することが多いと思いますが、シリアにはそのための時間はありません。音楽や体育などの時間をもらって授業を行っています。それでも小学校において環境に関する授業を行うということは、途上国においては先進的な取り組みとも感じています。

 現在4校の小学校の6年生に対して、来年6月末までの年間スケジュールを組んで2週間に1回授業を行っているほか、その他の小学校を巡回して1回のみの授業を行う計画があります。その4校では11月に2回の授業を実施しました。1回目の授業テーマは「地球規模の環境問題」、2回目の授業テーマは「食物連鎖」です。

 日本の子どもたちと同様、ダマスカスの子どもたちもテレビや本から得る「知識」はとても豊富です。環境問題に関しても多くの子どもが地球温暖化や野生動物の絶滅、砂漠化などの知識を持っていました。しかし、実際の「体験」はとても少ないと思います。特に自然に触れる体験は、ダマスカスの子どもたちにとってあまり機会がありません。

 自分の小学校での生活を思い出してみると、校庭で四葉のクローバーを探したり、アリの行列について行ったり、チョウチョやバッタを追いかけたり、砂場でままごとをしたり。私は都会で育ちましたが、学校で小さな自然に触れることは日常だったように思います。

しかし、シリアの小学校には運動場がありません。土がなく、植物がありません。虫がいません。床はすべて石畳です。学校の外に出れば公園や家々の植栽がありますが、日本のように里山のような存在はありません。自然に触れる機会は日本の子どもたちより圧倒的に少ないと思います。日本で生まれ育った私にしてみれば、子どもたちに緑豊かな自然に触れる体験をさせてあげたい!と思うのですが、実際に動植物の少ないシリアでは難しいことも多くありもどかしい思いをしています。しかし、子どもたちは自分の国が大好きです。

シリア人に「子どもたちに環境教育を行っている」と言うと「素晴らしい活動だ。シリアには必要だ。シリアには問題がたくさんあるだろう?」と言われます。道路にゴミをポイ捨てすること、食べものをたくさん残すことなど、自分たちが地球環境に悪い習慣を続けていることを大人たちも認識しています。シリアで続いてきた長年の習慣を急に変えることはできないかもしれませんが、子どもたちに小さいころから環境について教え、考えさせる教育を行うことでこれらの習慣が良い方向に向かえばと思います。

シリアに来て5ヶ月。知らないことがまだまだたくさんあります。シリアにおける環境教育を人々と一緒に模索していくことの重要性と難しさを感じながらも、シリアの魅力や子どもたちの笑顔に日々元気をもらっています。

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成山 博子(なりやま ひろこ)

兵庫県神戸市出身。関西学院大学文学部卒業。大学1年次に環境教育と出会う。大学卒業後は(財)神戸YMCA、(特)こども環境活動支援協会で、環境教育の仕事に携わる。...全文へ