「シリア最貧困地域」
前回、1月のレポートから、ずいぶんとご無沙汰してしまいました。
実は今、私は日本に帰ってきています。
通常、青年海外協力隊員は任国に派遣される2年間は日本に帰国することができません。しかし、今回はシリアで手術が必要な病気が見つかり、治療のために緊急一時帰国しています。
おかげさまで体調はすっかりと良くなり、6月末にシリアに再赴任できることになりました。
シリアに行って約1年。赴任した当初は新鮮なことばかりだったことが、当たり前に感じるようになってきていたシリアでの生活。しかし、今回思いがけず日本に帰ってきたことで、あらためてシリアのこと、そして日本のことを考え、気付くきっかけを持つことができました。
そのひとつが、「想像することの大切さ」です。
日本に帰ってきて、友だちにシリアの写真を見せて話をすると、「やっぱり行ってみないとわからないね」と言われることがよくあります。
しかし、私がシリアから日本に帰ってきて思ったことはその逆で、「必ずしも実際に行く必要はない」ということです。
もちろん、実際に自分の目で見て、耳で聞き、肌で感じ、頭で考えることはとても大切なことだと思います。自分がシリアに行き、実際に見なければ分からなかったことは本当にたくさんあります。街中のポイ捨てのゴミの山、シリアの人の笑顔、イスラムの祈りの姿、青く澄んだ広い空・・・。数え上げると、きりがありません。
しかし、「自分が想像しえない日常が、世界のどこかで営まれている」と意識すること、想像することが、むしろ大切なのではないか。それが、大きく言えば世界を変えるパワーにつながるのではないかと思うようになりました。
例えば、自分が日本で信号待ちをしているとき、ふと「この瞬間に、大海原でクジラが潮を吹いているかもしれない。」とか、「この瞬間に、アフリカのどこかでお腹をすかせて死んでいく子がいるかもしれない。」などと想像したりする。その想像は壮大な自然であったり、小さな昆虫の動きであったり、子どものことだったり。
今はテレビ、本、インターネットなどで、世界中の様々な情報を得ることができます。情報によって、その想像はよりリアルになるし、既成概念にとらわれていた世界が広がり、楽しくなります。
自分の目の前のことだけではなく、世界のどこかで起こっていることを意識して考えてみる。そして、それがもし、自分が行動をおこすことで良い方向に変えられるかもしれないようであれば、例え小さなことでも、自分のできることをやってみる。
募金をしてみる。献血をしてみる。節電をしてみる。エコバックをもってみる。
そこで、自分と世界が、どんどんとつながっていくような気がします。
シリアで生活し、そして日本に戻ってきてみて、「自分のまわりに広がっている世界について想像すること」が、自分にとっても、そして地球にとってもやさしいスタイルのひとつと言ってもよいのではないかと思うようになりました。
そう思えるようになったことが、自分がシリアに行ったことで変わったと感じることです。
写真①・・・「シリア最貧困地域」と言われているシリア北部の村に住む少年とロバ。まっすぐな瞳とさわやかな笑顔が印象的。
写真②・・・映画『アラビアのロレンス』の舞台となった、シリアの隣国ヨルダンにある「ワディラム」という地域の砂漠。ただ、砂と岩と空が広がる。

