写真1)再生紙カードを作成する子どもたち
約2ヶ月間の日本での病気療養を終え、無事にシリアに再赴任しました。
シリアは今、初夏です。初夏というには不似合いかもしれませんが、日中は40度まで気温が上がります。日本と違って、シリアは夏場に全く雨が降りません。私は、夏の夕方に雷が鳴って夕立が降り、雨にぬれた土やコンクリートの匂いとひやりとした空気が好きなのですが、ここでは雨のお陰で気温が下がるということはありません。ただ、シリア人は車を洗うのが好きで、道路で車を洗う男性をよく見かけますが、車を洗った後に道路に水を撒くことが打ち水のようになって、ほんの心持ち涼しくなっているのではないかと思います。
先日、首都ダマスカスで第35回花の博覧会「International Flower Show」が開催されました。この博覧会はシリア観光省とダマスカス県が主催するもので、ティシュリーン公園という大きな公園で開催されます。植物を販売するブース、石けんやはちみつなどシリアの特産品を売るブース、観光省のブースなどが公園内に設置され、私が配属されているダマスカス県環境局も公園の一画をもらって展示等を行いました。
環境局職員のシリア人たちなりに考えた環境汚染の防止を呼びかける看板や作品をいくつか置いたりするものの、特に積極的な呼びかけは行いません。環境局の職員は8割が技術職で環境モニタリングを専門としているため、環境教育的な考え方はあまり持ち合わせていないのが現状です。
そこで2年前から、環境局に配属されているJICAの青年海外協力隊の環境教育隊員が子ども向けに環境教育活動を行うことになりました。今年は広告で紙すきをして作成したカードに、子どもたちが“地球へのメッセージ”を書く再生紙カード作りと、環境に関するクイズを解いてまわる環境クイズラリーを実施しました。
「環境を守るためにどんなことをしなければいけないかな?」「学校や家で、どんな環境に優しいことをしている?」と環境教育隊員が問いかけると、子どもたちは初めは困った顔をします。学校でも家庭でも、そのような環境保護に対する考え方を問う質問をあまりされていないからです。
「木を植える」「ゴミをゴミ箱に捨てる」など、日本でいえば幼稚園児が答えるような答えを一生懸命考えて答えてくれるのですが、これをきっかけにして、環境のために自分ができることを考え、行動してくれたらと願っています。
この花の博覧会での活動で、子どもの活動に手出し口出しをする親がほとんどであることを残念に思った反面、子どもの主体性を大切にする親も意外といることも知りました。
シリア人は過程よりも結果を気にする傾向があります。例えば、子どもらしい絵よりも親が手伝う美しい絵。子どもの素直な気持ちの文よりも、親が考えた理論的な文が良いとされます。
例えば、クイズラリーでは、クイズの答えを子どもが考える前に親が正しい答えを言ってしまい、「ほらっ、書きなさい!」と正しい答えを書かせる親。他の子が書いた正しい答えを盗み見て、クイズラリーを回らずに、自分の子どもの解答用紙に答えを書かせる親。
「環境は友だちってどういう意味だと思う?」と聞くと、子どもに答えさせずに自分が答える親。横から子どもに耳打ちして、肘でつついて自分の言葉をそのまま子どもに言わせる親。
そんな親がいる反面、子どもにちゃんと考えさせる親もいました。
子どもが分かるようにクイズの質問を噛み砕いて説明して、子どもに答えを考えさせる親。「環境は友だち」って、自分はこう思うけど、あなたはどう思う?と、子どもの意見を考えさせ、答えさせる親。
環境教育は点数で評価たり、競争で勝ち負けが決まるものではありません。まず感謝の気持ちや思いやりの気持ちを持つこと、一人ひとりのアイデアを出し合うこと、協力し合うことが第一歩ではないかと私は思っています。
この花の博覧会のような機会を通して、大人から子どもに。そして子どもから大人に環境の輪が拡がっていくよう、シリアにおける環境教育を工夫して行っていきたいと思います。
写真2)環境クイズラリーに挑戦する親子

環境クイズラリーに挑戦する親子
