08/8/20

シリア人から見た日本

写真①

写真①

「どこの国から来た?中国か?フィリピンか?」

「日本です。」

「そうか、日本か!日本の産業技術は最高だ!少し高いけれど、信頼できる。」

シリアでしょっちゅう交わされる会話です。

シリア人はとても親日的で、日本に対して憧れに近い思いを抱いている人も少なくありません。シリアには、日本の車、電化製品などが流通しており、高い評価を受けています。また、日本のアニメも人気が高く、『名探偵コナン』『ポケットモンスター』など様々なアニメがアラビア語に翻訳され、テレビで放送されています。

JICAの日本語教師隊員のもとで日本語を勉強しているシリア人の友人も、日本のアニメファンの一人です。彼は9歳のときに「日本」という国のことを知ったそうです。

そのきっかけはゴミ収集車。

“日本からシリアへの贈り物”という一文が、彼の家の近所を回っていたゴミ収集車にアラビア語で書かれており、それを見て日本という国に興味を持ったそうです。

彼が「日本」と出会ってから約20年。今でも日本からの無償援助によって提供された、日の丸をつけたゴミ収集車が活躍している様子を、シリアのまちの至るところで見ることができます。

しかし、シリア人の日本に対する信頼の高さは、「物」に対するものではありません。ダマスカス市内の公園で毎月一回、定例の公園清掃を行っているのですが、そこに参加していたシリア人からこんなことを言われました。

「途上国への支援といえば“物”だけを提供する欧米諸国と違い、日本は“物”ではなく、あなた方のような“協力者”を届けてくれる。私たちは日本に本当に感謝しています。」

環境を良くしていくには、高価な機械や建物が必ずしも必要なのではなく、人々の意識を変えることが何よりも大切なのだと改めて気付かされ、勇気をもらった一言でした。

私がシリアで行っている環境教育は、まだまだ手探りの状態です。初代の環境教育隊員が始めた小学校への環境教育の巡回授業は、今年4年目を迎えようとしています。現在は4校の小学校でしか授業を行っていませんが、先日、私の配属先である環境局の副局長から「今年は全部の小学校に巡回授業に行きましょう」という提案がありました。

環境局スタッフの数も少なく、教育省や学校側の理解もまだ少ないため、実際には全部の小学校に授業に行くということはもちろん無理なのですが、シリア人側からそのような発言があったことは、少しずつではあるけれど、環境教育の重要性を理解してもらえてきたのかなと感じました。

子どもたちに環境について考える機会をできるだけ多く提供することで、学校、家庭、社会、様々な場面を通じて環境への意識が変わっていくきっかけを作ることができればと思います。

前述した日本語学習者のシリア人の友人は、ゴミ収集車が日本から提供されたと知ったことをきっかけに、日本人がシリアで様々な支援活動を行っていることを知り、大きな感銘を受けたそうです。そして、私たちに次のようなメッセージをくれました。

「あの日、20年前、私は日本にありがとうと言いたかったけれど、9歳の私は誰にお礼を言えばいいのかわかりませんでした。しかし、今、あなた方に心からありがとうと言うことができます。」

シリアに来て、日本は様々な面で注目をされていると改めて気付きました。シリア人からもらった「ありがとう」の気持ちに恥じないような活動ができるよう、私も自分ができる「シリアにおける環境教育」を模索していきたいと思います。


<写真>

①日本からの無償支援で提供されたゴミ収集車が、シリアで活躍している
②7月の定期公園清掃には、在シリア日本大使も参加してくださった

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成山 博子(なりやま ひろこ)

兵庫県神戸市出身。関西学院大学文学部卒業。大学1年次に環境教育と出会う。大学卒業後は(財)神戸YMCA、(特)こども環境活動支援協会で、環境教育の仕事に携わる。...全文へ

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