08/9/09

9月1日からラマダン(断食月)が始まりました。

公園清掃に参加する子どもたちの笑顔。

公園清掃に参加する子どもたちの笑顔。

イスラム教の宗教行事であるラマダンは、健全な成人のイスラム教徒の義務で、日の出から日没までの間、飲食を行ってはいけません。新月から次の新月まで、1ヶ月間続きます。

ラマダンは太陽暦の第9の月に行われるため、毎年少しずつ時期が早まります。今年は9月1日からで、まだまだ暑いシリアにおいて、水分なしで日中過ごすことは簡単ではありません。先日、断食をしていたために道で気を失って倒れた女性を身近に見ました。

イスラム教徒には5つの義務があり、ラマダンのほかにも、ハッジ(聖地メッカへの巡礼)や、ザカート(貧しい人への喜捨)などがあります。

ザカートに見られるように、貧しい人には自分の財産を分け与えることがイスラムの教えにあります。死後、自分が天国で楽しく暮らすことにもつながるのです。

そのような宗教的な習慣があるせいか、特にラマダン中やラマダン後の祭日には、身体の不自由な人や、貧しい子どもたちがお金を施してもらうために路上で人々に声をかけている姿をよく見ます。

シリアには、学校に行けずに路上で物乞いや物売りをして暮らす、いわゆるストリートチルドレンがいます。数はあまり多くありません。たいていが父親を亡くして、生活に困っている子どもたちです。

ガムやおかしなど、物を売って対価を得ている子どもたちは身なりをきれいにしています。しかし、お金を施してもらうだけの子どもたちは、垢にまみれた顔、ボサボサの髪、やせ細った身体。時には裸足の子もいます。顔には表情がなく、目はうつろで、子どもっぽさがありません。10歳かそこらで、人生への疲れが表れているようで、見ていて胸がつまる思いがします。

日本では見かけることのなかった、このような暮らしをする子供たち。残念ながら途上国では、頻繁に見かけるのが現状だと思います。

毎月、清掃活動を行っている公園にもストリートチルドレンがいて、時々活動に参加してくれます。私たちが行う紙芝居やゲームに参加し、ゴミを一緒に拾ってくれるのですが、その時には子どもらしい笑顔を見ることができます。この子たちにも教育の機会を与えてあげたいと思う瞬間です。

私が配属されている環境局では、現在私立、公立の小学校4校へ環境教育の巡回授業を行っています。先日、一緒に仕事をしているシリア人に「この4校以外も巡回して、多くの子どもたちに環境について考える機会を持ってほしい」と相談したところ、「現在訪問している4校は、お金を持った家の子どもが通う学校で、貧しい家の子どもたちが通う学校では、地球環境について考える余裕などなく、受け入れてもらうのは難しいだろう」という返答でした。

シリアにおける“環境教育”というと、地球環境問題ではなく、「手を洗う」などの保健衛生の分野がまだ一般的です。確かに、その日を生活するのが精一杯の子どもたちを見ていると、地球環境問題を考えさせるには余裕がないということは分かります。

しかし、環境教育とは、“環境、つまり自分と自分のまわりの様々なことについて知り、考えることによって、思いやりの心や感謝の心を育む”ということも大切ではないかと思うので、シリアの子どもたちにも、環境教育の機会を増やしていけるよう、働きかけていきたいと思います。

振り返ってみれば、私が小学生のころ、タイのストリートチルドレンについての番組をテレビで見て、大きな衝撃を受けたことを思い出します。その年に学校で埋めたタイムカプセルに「10年後、ストリートチルドレンとして働いている子どもたちが、私たちと同じように学校で勉強できる世界になっていますように」と書いて埋めました。私が環境教育、国際協力の一端に触れた機会でした。

あれから軽く10年以上経ちますが、残念ながらストリートチルドレンとして暮らす子どもたちはまだ世界中にたくさんいます。

日本の子どもたちには、様々につながりあって起こっている地球環境問題のひとつとして、このように暮らす子どもが世界にいるということを伝えていかなければならないと感じました。

昨年のラマダン明けの祭日、アパミアという遺跡の近くの小さな町にて。

昨年のラマダン明けの祭日、アパミアという遺跡の近くの小さな町にて。

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成山 博子(なりやま ひろこ)

兵庫県神戸市出身。関西学院大学文学部卒業。大学1年次に環境教育と出会う。大学卒業後は(財)神戸YMCA、(特)こども環境活動支援協会で、環境教育の仕事に携わる。...全文へ

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