お店で売られている、タイヤをリサイクルしたバスケット
「シリアで分別回収はしていない」、清掃局や環境局、環境省のシリア人からそう聞かされ、シリアにリサイクルシステムはないと思い込んでいました。
ゴミは分別されることなく家庭から出され、一部のゴミはコンポストになり、他は不燃ごみなどと一緒くたに埋め立てられます。首都ダマスカスには、数多くの清掃員がいて道端のゴミを回収しています。彼らは正規にではなく、彼らの副収入のために紙、ペットボトル、ビン、缶などの有機物を分別回収しています。また、埋め立て場にも100人を超えるウエストピッカーがおり、生ゴミの中から有価ゴミを集めているそうです。しかし、それらを正規に販売する政府のルートはなく、何らかの方法で外国に輸出、販売していると聞きました。
ところが実際には、ダマスカス市内からのゴミが集められる収集所ではなく、隣にあるダマスカス郊外からのゴミが集められる収集所では、私企業が入って有価ゴミの分別を行い、分別した紙、ペットボトル、ビン、缶は収集所の近くにある工場でリサイクルされているという話を聞いたり、ダマスカス市内でもリサイクルの商品が実際に利用されているという話を聞いたりすることがあり、シリアでどのようなリサイクル商品が作られているのかが気になっていました。
そのような中、ダマスカス旧市街にある小さなお店でリサイクル商品が販売されていると聞き、先日お店を訪問してきました。古いタイヤをリサイクルして作られた、大小様々な形のバスケット、ガラス瓶をリサイクルして作られたガラスのコップ、銅版をリサイクルして作られた壁飾りなど、お店にはリサイクル商品がおしゃれに並んでいました。
中でも、私はタイヤのリサイクル商品に感動しました。30パターンほどあるという型は、ゴミ箱にしたり、雑誌を入れたり、洗濯物を入れたりと様々な用途に使えそうです。また軽くて丈夫、しかもデザイン性が高く、意外とおしゃれ。外国の観光客だけでなく、シリア人もこのタイヤバスケットを購入していくと聞きました。
お店のオーナーは、デンマークにある企業からタイヤのリサイクル商品のアイデアを得て、デンマークで勉強してからダマスカスでお店を開いたそうです。東京で開催される展示会(エコプロダクツ展のことでしょうか・・・?)に出展するため、近々東京に行く予定もあるそうです。
これらの商品は、ダマスカス郊外県にある工場で手作りされているとのこと。生産している工場を是非見たい、とお願いしたところ、9月はラマダン(断食月)のため、タイヤのリサイクル工場は稼動していないということでした。タイヤのリサイクルには強烈な悪臭が伴うため、断食中の身体には辛いからだそうです。ラマダンが終わってから、タイヤのリサイクル工場と、ガラスのリサイクル工場を見学させていただく約束をしました。
「ありそうでなかった」ではなく、「なさそうであった」シリアでのリサイクルとの出会い。「シリアにもリサイクルがある」と知ってからは、今までは気づかなかったリサイクル商品が、目に留まるようになりました。
タイヤをリサイクルしたバスケットが、市内にある様々な市場で実際に使用されていることに気付いたのです。
野菜を入れたり、ナッツ類を入れたりと、市場では「おしゃれに」ではなく「機能的に」使われており、バスケットは年季が入っているように見えました。市場で使われていたバスケットは、旧市街のお店で見たものとは製法が違ったため、タイヤのリサイクル商品を生産する工場は他にもあるのでしょう。
このように、リサイクルが実際に行われていることを知り、分別しない家庭ゴミの出し方が非効率でもったいないと感じるようになりました。家庭できっちり分別をして出せば、リサイクル可能なゴミの収集率も上がるし、ゴミ収集所でつくられるコンポストの質も良くなります。
シリアの環境省では、分別回収に関してまだ積極的な考えではありません。現在、JICAのボランティアが働きかけているところです。シリア人の環境に対する意識があがり、リサイクル商品が流通していけば、市民の側から分別回収に積極的に取り組むようになるかもしれません。
まだまだ発展途上のシリアの環境。シリアの人たちに環境に関心を持ってもらうために、私自身がこの国の環境について、もっと知っていかなければいけないと改めて気付かされました。

ガラス瓶をリサイクルしたガラスのコップ
市場で実際に使われていたタイヤのバスケット
