環境保全を市民に訴える子どもたち
6月5日は「世界環境Day」で、世界各地で環境に関するイベントなどが行われます。ちょうどその頃、私は日本に一時帰国しており、シリアにおける世界環境Dayの様子を見ることができませんでしたが、イベントがいくつか行われたそうです。
そして、10月14日は「アラブ環境Day」。首都ダマスカスでは、14日から3日間、アラブ環境Dayにちなんでダマスカス県主催のイベントが行われました。
1日目。県庁舎において、環境局、農業省、UNDPなどの環境に関連した5つの組織、団体より、それぞれに環境問題に関する簡単な講義や、各組織で行っている環境プロジェクトについてのプレゼンテーションが行われました。
2日目。文化会館において、バース党(シリア大統領の属する政治政党)傘下の青少年育成組織による、環境保護に関する歌や踊りの発表会のようなものが行われました。
3日目。ダマスカスのシンボルでもあるカシオン山において、環境局、清掃局、赤新月社、環境NGO、地域の小・中学生などによる雑草抜きや楽器演奏などが行われました。
日本で、市民を巻き込んで行なわれる様々な楽しい環境イベントのイメージを持っている私にとって、シリアでの環境イベントはなんだかすっきりしないというか、物足りなく感じました。
すべては関係者内で行われ、一般市民は参加することができません。テレビのニュースでその様子が伝えられるだけで、「アラブ環境Day」という環境を考える日があること、そしてシリアでもこのようなイベントが開催されていることを知らない人も数多くいると思います。
また、シリア文化の特徴でもあるように、表面上が美しいことが大切で、中身はなくても関係ないという姿勢もイベントの所々に見て取れ、結局は何を伝えたいのかが見えなくなってしまっているのではないかと感じました。
何より残念に思ったことは、イベントを取り仕切る環境局や清掃局などの政府組織に、環境問題に積極的に取り組む姿勢、市民の環境意識を向上させようという姿勢が感じられなかったことです。職員たちは、勤務上仕方がないのでイベントの始めだけ参加し、すぐに帰ってしまいます。
しかし、昨年のアラブ環境Dayのテーマが「喫煙の害」だったことから考えると、環境の視点が段々とグローバル化してきたと感じます。シリアは周辺のアラブ諸国と比べると、まだまだ発展途上と言えますが、大きな都市には物が溢れ、経済も発展してきています。シリアの抱える環境問題には、環境衛生、貧困、戦争など様々ありますが、地球環境問題に関心をもち、解決に向けて取り組む姿勢を持つことは必要なことだと思います。
今回のイベントに参加してみて、「地球環境を良くしていかなければならない」という想いをシリア国が持っていることは伝わってきたのですが、国として具体的にどうしていけばいいのかというアイデア、更に国民を巻き込んで国全体で環境保全を行う動きにするためのアイデアや手法を持っていないのが現状ではないかと感じました。
現在シリアでは、日本を始めとするヨーロッパ諸国、アジア諸国が様々な分野において支援を行っています。このような支援において、環境分野ではもちろんのこと、各分野において環境に配慮した技術や知識を伝える必要があるし、国民への環境教育として、環境意識を向上させるための楽しく有意義なアイデアや手法も同時に伝える支援をして欲しいと思います。
例えば、水の少ないシリアにおいては節水灌漑農業が非常に重要です。日本の専門家や協力隊員は、節水灌漑の技術や知識を教えるだけでなく、地下水の重要性や農薬が人体や自然環境に与える影響などを農家や市民に伝えています。伝える方法も講義を劇のように仕立てるなどの工夫もされています。
環境教育を行うには、単にイベントを行えばいいということではありませんし、もちろん国民性、地域性の違いによって活動内容も日本とは違ってくると思いますが、新しい体験をするときのドキドキ、ワクワクする気持ち・・・心に響くメッセージを受け取ったときの感動・・・仲間と一緒に作業をする楽しさ・・・こういった楽しさを、私も活動を通してシリアの人に伝えていきたいと感じました。

カシオン山の雑草抜きをする赤新月社のボランティアたち
