子どもたちにトトロの紙芝居を見せるスタッフ(マイクを持っているのが
以前のブログで少し紹介しましたが、シリアにおける環境教育活動のひとつとして、首都ダマスカスの公園で公園清掃キャンペーンを毎月実施しています。
この活動はJICAの環境教育隊員が呼びかけて、清掃局、赤新月社(日本で言う赤十字社)、シリアの環境NGO、ダマスカス大学生のボランティアが協働して行っており、単発的なイベントに終わりがちなこの国において3年間継続できている環境キャンペーンです。
1年前からこの活動に関わってくれているボランティアに、リーナという女の子がいます。リーナはダマスカス大学美術学部の2年生で、昼間は専門の美術を勉強する傍ら、週に3回、夜間に大学の言語センターで日本語を勉強しています。リーナは『となりのトトロ』『もののけ姫』などのスタジオジブリアニメの大ファンで、日本語で「空(そら)」という名前のアニメスタジオを自分で持つことが将来の夢です。
公園清掃では、毎月“子どもたちに何を伝えたいか”“どのようにして伝えるか”をスタッフで話し合います。1年前は人前に立つことすら恥ずかしがっていたリーナですが、だんだんとアイデアを出してくれるようになり、今では自ら進んで子どもたちの前で環境保護の大切さについて話をするようになってきました。
ある回の公園清掃で、リーナが環境教育の教材に使いたいと言ってきたのが、大好きなスタジオジブリの『もののけ姫』に出てくるキャラクターの「こだま」。美術学部のリーナは得意の絵で、「こだま」が主人公の紙芝居を作ってくれました。
「“こだま”は森に住む精霊。木に住んでいて、木や花が大好き。でも、もし木がなくなってしまったら・・・?町がゴミでいっぱいになってしまったら・・・?“こだま”が生きていける森や町を、私たちの手で作っていきましょう。」というリーナのメッセージを受けて、子どもたちは公園のゴミ拾いをしました。
また先月10月の公園清掃では、「トトロ」を主人公にした紙芝居を作って、子どもたちに自然を大切にしようというメッセージを伝え、自然は私たち人間だけのものではなく、他の生き物にとって大切なすみかであるということを伝えました。
子どもたちに「こだま」や「トトロ」が生きる森のすばらしさ、自然のすばらしさを伝えようとするリーナは実に生き生きとしていて、自分がアニメから受けた感動をそのまま子どもたちにも伝えようと一生懸命です。
日本のアニメを外国の子どもたちが見ることで、日本の習慣・文化などが伝わることは予想していましたが、日本のアニメがこのような形で、環境を共に考える教材になるとは考えていませんでした。
シリアに来て、日本は自分が思っていたよりも生態系が豊かだということに改めて気付くことができました。日本と比べて山、川、海などの自然環境に乏しいシリアでは、「自然を守ろう」というメッセージは非常に伝えにくいと考えていましたし、シリア人が「自然を大切にする」という意識を持っているとは思っていませんでした。また、宗教も違いからも自然に対する畏怖や尊敬の念のようなものが共有できるとは思っていませんでした。しかし、国や宗教が違っても、自然に対する価値観は共通するところがあると知り、新たな視点を持ってシリアにおける環境教育について考えることができました。
アニメを通して日本から発信された、地球を愛するメッセージが、日本のことが大好きなシリア人の想いを経て、シリアの子どもたちにもしっかりと届いてくれることを願っています。

子どもたちもトトロの絵を描きました
