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08/5/02

【福井発】『土塊醸(どこんじょう)』がつなぐ循環の輪 ~福井・池田町発①~

福井県の東南にある人口3500人の小さな町、池田町。そのエコの試みは先進的で創造的だ。
農業や環境保全の独自の取組が評価され、平成17年度 環境省の「環境グランプリ & 最優秀の環境大臣賞」を始め、農林水産省などの数々の賞も受賞している。その秘密はどこにあるのだろうか。

その一つが家庭から出る生ゴミから作られた有機肥料「土塊壌(どこんじょう)」。この肥料が町の有機農業を支えている。
「町の人は生ゴミを“ごみ”とは思っていないですね。自分たちの作る作物のための資源としてとらえています」と池田町農林公社の山口正英課長。
回収は外部委託ではなく町民が作るNPO法人「環境Uフレンズ」。お正月もお盆も関係なく、週3日、2人1組で65カ所の「回収ステーション」を回り、生ゴミを収集する。これらの生ゴミは各家庭から出る普通の生ゴミだが、どうしたら出しやすいか、回収しやすいかを、町民である100人の女性が考えたそうだ。
回収された生ゴミは有機肥料を作る「アグリパークセンター」に持ち込まれ、牛フンやお米のもみ殻などを混ぜて100日をかけて発酵され、良質な有機肥料「土塊壌」が完成する。

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町民による生ゴミ回収作業には意外な効果もあるという。
「2人1組というのがポイントです。町民がコミュニケーションを深める機会になっていますし、町のあちこちを回るので、自然と町全体のことに関心が高まり、情報を得られます」
こんなきめ細かいシフトが考えられるのも、町民が主体になって進められている事業ならでは。主役は町民、それをサポートするのが行政である町の職員という、現在の霞が関では忘れられた感のある官民連携の姿がある。

平成12年までは通常の慣行農業だったという池田町の農業。有機農業に変えてからすぐは、害虫被害が出るなど苦労もあったという。しかし、今や福井市内の大型ショッピングセンターの一角「こっぽい屋」で売られる池田町の農作物は「おいしい、安全」が消費者に認知され、9坪(*現在は拡張)で1億3千万を超える売り上げを誇る。1つが100円前後の農作物を販売することで、これだけの売上が得られているのは驚きだ。
「こっぽい屋」で販売される農作物は、池田町独自の認証制度「ゆうき・げんき正直農業」の認証シールが貼られたものが多い。無農薬や無化学肥料の段階により分けられた3つの認証シールはすっかり福井県民にも浸透したようだ。

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ここ池田町を訪れて、その自然の豊かさに魅了されると同時に、お年寄りの方々の元気なことにも圧倒された。その理由は、池田町のさまざまな町民が一体となった農業や交流イベントの仕組みだけでなく、自分たちが作った農作物を実際にお店で販売し、それが評価され売上となるということが大きな励みになっているようだ。実際、お店に交替で立つようになってから、美容院が流行り、中高年の女性が生き生きしてきたという。
高齢・過疎化という、どこの地方にもある問題は池田町にも無関係なわけではないが、それを感じさせない活力が生まれてきているのだ。
自分たちが出したゴミで作物を作り循環させる、キューバなどでも注目を集めている循環型の有機農業のひとつの理想形を、池田町で見ることができたように思う。

(取材:箕輪 弥生