info. interview column recipe about EOLオーガニック
 


オーガニックの世界にようこそ

第2回:知られざる、オーガニックとエコのいい関係

私たち日本人はオーガニック=安全な食べ物というイメージを持っていますが、実はヨーロッパではエコ=オーガニックって知ってました?

オーガニックと環境保護はどんな関係にあるのでしょう。
オーガニックというと「農薬や化学肥料が使用せずに〜の農作物」のような、安心・安全な食べ物のイメージが先行しがちですが、オーガニックの発祥の地・そして世界をリードするEUの国々では「環境に負担をかけない栽培法で育てられた作物」という表現がまず第1のオーガニックの定義として述べられています。

EUのオーガニック産業の成功のカギは「環境政策」という柱を立てたことだと言われています。

例えばドイツ。ドイツは1980年代に集約農業化が進んだことにより大量の過剰農産物を生み出しました。その処理に膨大な予算が費やされただけでなく化学肥料と農薬を多量に使用したため、生態系の破壊や地下水などの環境汚染を深刻化させました。このような農業危機に対しドイツ政府は、グリーンツーリズムなどのあらゆる方法で農村を支援し、環境保全型の農業経営に補償金を支払う制度を実施したのです。特に化学肥料や農薬の使用禁止を基準とする有機農業は環境保全政策の対象となり二重に手厚く補償されました。その後もドイツ農水省消費者保護省は5年以内に10%の農地を有機化することを公約し10年以内に20%以上の有機化を目指しています。

地球上で現在もっとも広い面積を汚染している産業は化学農業ではないでしょうか? これを意識してドイツのように、国をあげての環境保全政策に有機農業指針を掲げている国が世界中で増えつつあります。

では日本はどうでしょう。
身近なお米の栽培に注目してみると、環境保護との関係が見えてきます。例えばお米の有機栽培。田んぼ1反にはユスリ蚊が112万匹いるそうです。このユスリ蚊はお米の生産にとっては直接的には益虫でも害虫でもない「ただの虫」。幼虫は土の中で有機物を食べ、その分解を促進し、稲の成長にも一役買ってくれています。しかし田んぼに農薬を散布すればこの種の虫は激減します。
そのことによってユスリ蚊を食べるトンボがいなくなり、また益虫の部類に入るクモやカエルの餌もなくなります。そのほかにもおたまじゃくしやタニシ、アメンボなど多くの動物や昆虫が田のなかで生態系をつくっていて、そのどれかが欠けるとバランスが崩れてしまうのです。

現在、日本のある県で絶滅が危惧される動物や昆虫は約800種類。
そのなかの約3割は田んぼや畑の周りの生き物だそうです。それらを守るためにもお米の有機栽培では*1合鴨農法や*2鯉農法などが行なわれ、除草剤、殺虫剤、化学肥料の使用を避けるため、通常の何倍もの労力と時間をかけて生産者はお米を栽培しているのです。もちろんお米だけではありません。有機栽培で農作物をつくるということは、どんな作物でも本当に大変なことです。
私は時々、暑い中、腰を曲げて1日中手で草取りをする姿、割り箸で一匹ずつやさしく虫を取り除いている生産者の横顔を思い出すと、店頭で並んでいる値段がほんの少し高いだけの有機栽培農産物/オーガニック製品に「こんなに安くていいの…?」と申し訳ない気持ちになったりすることがあります。

ある国では有機栽培農産物/オーガニック製品を購入するときに払う、他の商品より高いプラスαの値段は「環境保護に貢献している・寄付している」と捉えている人がほとんどだとか。オーガニックと環境の関係を見直すことは、物の価値、お金の価値、食べ物への自分自身の価値観を知る良いきっかけかも知れませんね。


岡村貴子

オーガニック・コンシェルジェ協会 理事
http://www.oca.gr.jp/

日本オーガニック推進協議会 理事
(http://www.j-organic.org/)
日本ベジタブル&フルーツマイスター協会 オーガニック講座 講師
http://www.vfe.jp/etclesson/index.html

日本で第1号のオーガニック・コンシェルジュ。幅広いオーガニック情報をスタイリッシュな切り口で多方面にて発信中。オーガニック関連のイベント企画・運営、プロモーションなどに携わる。各地にてセミナー・講座講師としても活躍中。Web、雑誌等にて執筆活動、オーガニック電話帳編集、食育関連誌の編集に携わる。

コラム連載 オルトビオス http://www.orthobios.net/index.php


 

 







*1合鴨農法*2鯉農法
お米を栽培する時に除草剤・殺虫剤などの農薬に頼らず、合鴨や鯉を田んぼに入れて同じ効果を利用するもの。雑草や稲に付く害虫を食べ、常に動き(泳ぎ)まわることで土が撹拌(かくはん)され、根に酸素や栄養分が行き渡る。糞はそのまま肥料となり、合鴨は雑草も食べるので除草の役目も果たしてくれる。

合鴨農法
www-ya.magma.ne.jp/~gun/aigamo.html

鯉農法
www-ya.magma.ne.jp/~gun/koi.html

 

 

(c) www.eco-online.org