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エコロジカルで健康的なすまいとは

 

 

本物のエコ住宅なら、みんながハッピー
アンビエックス・相根昭典さんの足し算型家づくり

 シックハウスが社会問題として取り上げられるようになる以前から、約20年にわたってこの問題について訴え続け、家づくりに取り組んできた建築事務所がある。それが1級建築士の相根昭典さんが代表取締役を務めるアンビエックスだ。

 相根さんはこれまでシックハウスで苦しむ多くの人たちのために建材を開発し、たくさんのエコロジー住宅を建ててきた。前回、前々回に紹介したエコヴィレッジ鶴川もその一つだ。

 着実に時代の流れは変わってきていると、相根さんは言う。

「最近になって、アスベストの問題や姉歯元建築士らによる耐震強度偽造問題がクローズアップされてきた。いずれもこれまで行政側や大企業が自らのミスを隠蔽するために、一部の業界の人たちだけが知っているだけで終わってしまっていた問題。それがどんどん表沙汰になってきている。
 シックハウスの問題についても、平成15年7月の建築基準法の改正に伴って、ホルムアルデヒドとクロルピリホス(主に床下のシロアリ対策に使われる殺虫剤)の使用が規制されるようになった。規制の内容は我々から見ると、緩くて十分とは言い難いが、時代は少しずつ良い方向に向いてきたのかなと思っている」

 相根さんが目指すのは、ただ法律を守ればいいという住宅づくりではない。今ある技術水準の粋をこらして、地球環境にも健康にも配慮した建材開発を行い、住宅づくりに取り組んでいる。

「今の法律は、化学物質の量を減らすとか、毒性を減らしたものに置き換えるという、引き算していく考え方。有害物質を使うことを前提にしている。そういう引き算をしている限り、いつまで経っても本当に安心できるレベルにはならない。実際、改正建築基準法に則って建てられた新築住宅で、ぜんそくやアトピーがむしろひどくなったり、他の病気にかかった例もある」と相根さんは訴える。

 また、規制の対象になった化学物質のホルムアルデヒドについても、本来、発ガン物質であるにもかかわらず、それが明記されていない点にも問題があるという。

 それに対して、相根さんが手がけるのは足し算型の住宅づくり。その基本は化学物質を含まない安定した安全な無垢の素材を使うこと。

「木材や鉱物資源を単体で使うのが基本。合板などでは防虫剤や殺虫剤、接着剤を重ね合わせるから複合資材になってしまう。壁材の珪藻土などでも、樹脂やボンド、防かび剤などを混ぜて作っているものもある。そうすると、解体する時にそれらを分けることができないから、リユースできない。しかも、貼り合わせると、本来、木や土が持っている調湿機能が阻害されるから、腐朽菌も繁殖しやすく耐久性もないため、ゴミになるのが早い。微量でも化学物質に反応する人にとっては、健康被害につながる。
 うちでは貼り合わせをしない無垢の木材を使っている。壁材も産業廃棄物になってきた貝殻を利用し、漆喰やドロマイトプラスター(白雲母の泥土)と混ぜた素材を開発した。こうした建材を使って、構造に工夫を加えると、300年単位で持つ住宅ができる。解体した時にリユースもできるし、ゴミにならない上、有害ガスも出ないから健康にもいい」

 国産の無垢の木をふんだんに使えば、衰退の道をたどっている日本の林業の復活にもつながる。森の保全や林業での新たな雇用を生み出す。しかも、木材に製材するときに出る木っ端くずや山を剪定する時に出る枝などはエネルギーにも変換できるという。

「木っ端くずなどを粉炭にして、クリーンなバイオマスのエネルギーにできる技術があるんですよ。その粉炭で給湯も発電も可能です。水素エネルギーから作られる燃料電池は爆発などの心配があって、取り扱いが難しいけれど、炭のエネルギーなら、そうした心配はない」

 ただ、こうした本当の意味でのエコロジー住宅を建てようと思うと、コストがかかる。既存の住宅より2〜3割は高くなるのが現実だ。しかし、長持ちすることを考えれば割安感があるのではなかろうか。しかも、これからの時代、本物のエコロジー住宅は資産価値を持つようになると、相根さんは指摘する。

「欧米では不動産はよほどの付加価値がないと値上がりしない。ところが、本当の意味でのエコロジーを考えたエコヴィレッジの海外事例では、入手したときの2倍以上に価格が跳ね上がっているところもある。
 日本でも土地の値上がり益で経済を支えていく時代は終わりにきていて、建物の付加価値に価値を見いだす社会に移行しつつある。今後5年かけて作られる住宅基本法でも、中古住宅の流通が良好に行われることがねらいの一つとなっている。化学物質に頼らない本物のエコロジー住宅の価値が上がっていくはずだ」

 長持ちして、健康にも配慮した住宅が資産価値を持つようになれば、町並みも保全される。相根さんが目指す足し算型の住宅は、単に化学物質に敏感な人たちにとって、健康面でのメリットを生み出すだけではない。ゴミを減らし、経済面での好循環を生み出し、みんながハッピーになれる。「いいことだらけ、やらなきゃ損だよ」と相根さんはにこやかに微笑んだ。



九冨真理子(くとみ まりこ)

1959年、千葉生まれ。量販店、マーケティング会社での勤務を経て、フリーのライターに。環境、福祉、医療、教育の4分野を中心に著作活動を行って十数年。ぐーたら虫の主婦(?)ゆえに、息をするように無理のないエコロジーがモットー。今春、夫がガンで亡くなったことをきっかけにメディカル・ソーシャル・ワーカーになることを決意。真に患者がいきいきと自分らしく過ごせるためのサポーターになるのが目下の夢。

special report

・持続的な島づくりを目指すエコツーリズムの島・小笠原(前編)
・持続的な島づくりを目指すエコツーリズムの島・小笠原(後編)

(番外編)世界初の超高速艇小笠原TSLが、環境問題の救世主になるか?






お話を聞かせてくださった、AMBIEX(アンビエックス)代表取締役の相根昭典さん。

AMBIEX http://www.ambiex.jp/

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