info. interview column recipe about EOLオーガニック
 


自然に基づいた食文化

オーガニックに関わるイベント、会議、書籍出版、ウェブ制作などを手がける「New Hope Natural Media」のScott Silvermanさん。桜が美しく咲く晩春の日に、世界のオーガニックについてお話をうかがってきました。

現在、「New Hope Natural Media」のオーガニックプログラムマネージャーとして活躍しているスコット・シルバーマンさん。アメリカでは数々の企業が“オーガニック”商品を開発していて、彼はオーガニックに関わるイベントやショウの企画に携わっているという。

そもそもオーガニックの世界に入ったきっかけは、「マクロビオティック」との出会いだった。以来、「食」をとても大切にした生活をするようになる。そして初めにビジネスを始めたのは、マクロビオティック食品として人気のある甘酒の製造。そんなこともあって、彼は日本の食文化に強い魅力を感じている。その魅力は「自然を尊重している」ところだという。豊かな四季の移り変わりを感じ、自然からの恵みを大切にしている暮らし。その暮らしから生まれる四季折々の料理の魅力が素晴らしいと感じている。

 そんな彼に、“オーガニック”ってどういうことなんだろう?単純だが奥の深い疑問を投げかけてみた。
「“オーガニック”には様々な定義があるけど、基本的なことは変わらないんだ。化学的な農薬や肥料ではなく、自然由来のものを使うこと。英語では“green manure”(=緑肥)と言うんだけど、コンポストを使ったり、枯れた草を使ったり、いろいろなやり方があるよ」と、極めて明確な答えが返ってきた。
「オーガニックという考えにおいて、一番大切なのは生物多様性なんだ」と続けるシルバーマンさん。それは、農薬で害虫を殺す代わりに天敵などの自然界の仕組みを利用することを意味する。たとえば、害虫の天敵であるテントウムシが畑にいれば、農薬を使わずとも作物を守ることができる。つまり生物多様性を守り、利用することがオーガニックにとっては大切になってくる。

それでは、私たちが“オーガニック”のものを買おうと思ったら、どのように選べばいいのだろうか? 彼の母国、アメリカでは色々な認証があり、さらに「100%オーガニック」か、「オーガニック」か、「オーガニック材料から製造される」という表示では意味が少しずつ異なってくる。オーガニック材料の含まれている割合が違うからだ。日本のオーガニック商品の認証は、「有機JAS」マークただ一種のみだ。シルバーマンさんは、「日本の『有機JAS』はまだまだ発展途上で、有機農家を増やすには改良していかなければならない」と語る。

では、オーガニックの普及にとってこれから大切なことはなんだろうか?
「国と国の間で、お互いの認証を認めること」と「科学がオーガニックの利点を証明すること」と、シルバーマンさんは言う。認証が違うからといって、他国の商品を認めなければ貿易が進まず、オーガニック製品はなかなか広まらない。もうひとつ、科学がオーガニックの利点を証明することも重要だという。
「でもね、完璧なものなんてないし、光があれば影もある。様々なことと折り合いをつけながら、少しずつ進んでいくしかないんだ。」という言葉に、オーガニックを広める活動に対する彼の真摯な姿勢を感じた。

世界を飛び回りながら、オーガニックの良さを広めるシルバーマンさん。そんな彼が魅力を感じている「自然に基づいた食文化」を大切にするところから、私たちの第一歩は始まるのかもしれない。

聞き手=岡本依子

(上):日本の暮らしぶりを愛するシルバーマンさんだが、「日本でオーガニック商品を見つけるのは宝探しだね」と微笑む。



slowpin:イタリアで始まった“スロー”ムーブメントを表すかたつむりのピン。





Scott P. Silverman
New Hope Natural Mediaオーガニックプログラムマネージャー。
アメリカ出身。甘酒の製造・販売など様々な食の仕事に関わり続け、1999年からNew Hope Natural Media
http://www.newhope.com/) にて、数々のオーガニックに関わるイベント、会議、書籍出版、ウェブ制作などを手がけている。

 

(c) www.eco-online.org