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赤ちゃんはやわらかい。あたたかで、そして、ずっしり重たい。 NPO法人自然育児友の会理事長の内田淳子さんにお話を伺ってきました。 |
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| おなかの中に芽生えた小さないのち。そのいのちとの対面のときを、できるだけ自然な形で迎えたいというお母さんが増えている。誕生したあとも、自然に寄り添った育児をしようと、母乳を与え、体に優しい自然な食べ物を選び、肌と肌を触れ合わせて遊ぶ。そんなお母さんたちを、NPO法人自然育児友の会はいろんな形で支えてきた。 「本来、自然な育児はおばあちゃんからお母さんへと自然に引き継がれてきたこと。でもそれが、いつからかちゃんと伝わらなくなってしまいました。知りたくても知識を得る場が近くにないんですね。だからこそいま、先輩お母さんから現役お母さんへ、そしてお母さん予備軍へと“mother to mother”で伝えていくことが大切なんです。私自身、働きながらもなんとか母乳で育ててこれたのは、この会のおかげでした」と言うのは、自然育児友の会の理事長を務める内田淳子さんだ。 1983年に4〜5人のお母さんの集まりから始まったという自然育児友の会は、母乳育児や日々の暮らしについて情報交換しながら成長を続けてきた。現在の会員数は2600人。活動の中心は、年に6回発行する会報づくりだ。簡単で栄養満点なおやつレシピ、子育てや暮らしを楽しむためのコラムなど、実用的な情報やほっこり心が温かくなるような話がたっぷり詰まった会報は、その質の高さが口コミで広がって毎回3000部を発行するまでになったという。 お母さんたちが集まって交流するお茶会では、親子で味噌づくりをしたり、クリスマス会をしたり、講師を招いてアレルギーの勉強会をしたりと、自分たちの興味のあること、今したいことをめいっぱいのアイデアで実行している。「お茶会は地域ごとの小さなコミュニティーなんです。担当者さんが中心になって、北海道から沖縄まで全国52カ所で開かれていますが、とっても活発ですよ。今後はもっと増えていくでしょうね」と、内田さん。 そのほかにも、親子ヨガやホメオパシーなどのワークショップ、講演会、自然育児グッズの通信販売、自然派育児を応援するモノとヒトが一堂に会するマザリングフェスタ(※)など、活動はバラエティーに富んでいる。 これらの活動の主体は事務局が担っているが、実際に会報作成のための取材・執筆をしたり、ワークショップのスタッフをするなどして運営しているのは、子育て真っ最中のお母さんたちだというから驚く。「すごいパワーでしょう? 小さい子どもをだっこしながら何でもやってしまうんですよ」。そう言う内田さんもれっきとした2児の母。母乳育児の時期は過ぎたものの、いまなお育児も仕事もパワー全開で活躍中だ。 そもそも内田さんは、どうやって自然育児友の会と出会ったのだろう? 「私の場合ちょっと珍しくて、子どもができるずっと前からこの会のことは知っていたんです」と言う内田さんの出産・育児のルーツは、それにはまだ遠い10代のころだったという。 内田さんは西荻育ち。その西荻をはじめとする中央線沿線は、古くから、自然生活やオーガニックをテーマにしたレストランやショップが多く存在する地域だ。「気づいたときにはオーガニックなものや情報が身近にたくさんあった」という環境の中、思春期を迎えるころにはもう、「将来自分が子どもを産むときは、こんなふうに産んで、こんなふうに育てよう」という、お産・育児への自分なりの将来像がしっかりできあがっていたという。 その後、社会人になり、雑誌編集やTV制作などのマスコミ畑を歩いた内田さんは、結婚、出産、育児を機に自然生活へと戻っていく。そして今度は、情報としてではなく実態として自然育児友の会とつながっていったのだ。 自然育児友の会で、自然派育児の心地よさやネットワークの楽しさを知った内田さんは、マスコミの世界から一転、自然育児の世界へと活躍の場を移っていった。「TV制作の仕事を続けようにも、もう頭の中が自然育児のことでいっぱいになってしまって(笑)。そうしたら、それまで楽しかったマスコミ業界が急に色あせていったんです」。 それまでの価値観やライフスタイルがすっかり変わってしまう。自然育児友の会では、そんなことがよくあるという。「田舎暮らしをはじめた人や、母乳育児を通して知った自然療法や育児の専門家になった人も少なくありません。育児グッズで起業する人もたくさんいるんですよ」と、お母さんたちのつくった育児グッズを大事そうに手に取る内田さん。 その代表的なものに、赤ちゃんの抱っこひも『スリング』がある。もともとはアメリカで生まれたスリング。それを、日本人の体格や規格、感性に合った商品に作り直して、ビジネスとして軌道に乗せていったお母さんたち。今では、育児世代に爆発的な支持を得て、アメリカに逆輸出するまでになっているという。 「ここは、自分自身の生き方そのものを模索する場にもなっているのかもしれませんね」と言う内田さんの姿が、頑張るお母さんたちの姿と重なる。 2005年。自然育児友の会は、愛・地球博の地球市民村に、赤ちゃんが周りの大人たちと愛情という名の絆をはぐくむことの大切さを伝える「赤ちゃんと絆館」を出展した。会場内では、赤ちゃんのいる生活を身近に感じられるよう工夫をこらした仕掛けのおかげもあって、連日満員になるほどの盛況ぶりだったという。 「大きなニーズに後押しされているのを感じました。その証拠に、今、世の中には自然生活やスローライフについての本や雑誌がたくさん出ているでしょう? 自分たちがしてきたことは間違っていなかったんだなと、ようやく時代にマッチしてきた感じがしています。私たちもまさに今が過渡期。これからは、必要な情報にプラスして、“楽しい”と思える要素をたくさん盛り込んでやっていきたいですね」と、内田さん。夢は尽きない。 いつの時代も変わらない、子どもを心から愛おしいと思う気持ち。その気持ちは、周りにいる人たちにもじわりじわりと伝わって、みんなの心もあたためてくれる。内田さんたちの活動は、少しずつ形を変えながら、これからもお母さんと子どもたちのあたたかい関係を見守り続けていくのだろう。
文=中島まゆみ 写真=黒須一彦
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![]() ![]() ![]() 内田淳子(うちだあつこ) 自然育児友の会理事長。大学卒業後、クレヨンハウスで雑誌編集に携わった後、テレビ製作会社で海外ドキュメンタリーの制作にかかわる。二人の子どもを助産院・母乳育児で育てている経験をもとに、2000年、参加していた育児サークル「自然育児友の会」を仲間とともにNPO法人とし、自然なお産や母乳育児の情報提供と同時に、母親たちの仕事の場づくりも行っている。 NPO法人 自然育児友の会 1983年発足。都内の母親数人が、母乳育児の情報交換と交流の場を求めてスタートした互助的な育児サークル。その後、母乳育児を中心テーマに、食や健康などにも関心が強い母親たちのサークルとして、会員が全国に広がり現在に至る。2000年10月に特定非営利活動法人化。2005年1月現在の会員数は2600名。 |
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