カルチャー

2019年

12月

11日

音楽は自然とともに 白井貴子

白井貴子さんと言えばファンが総立ちする「ロックの女王」としてのライブシーンが目に浮かぶ。

現在もライブで全国を精力的に回っている白井さんだが、長年にわたって環境活動にも取り組んでいる。

近年は、『帰ってきたヨッパライ』『あの素晴しい愛をもう一度』などフォーククルセダーズの北山修氏(作詞家・精神科医)とタッグを組んだり、手仕事の大切さを伝える展覧会の開催など活動は多岐にわたる。

最近の環境に関わる取り組み、南伊豆で開催された「PEACE MAN CAMP」の様子から話を伺った。 

白井貴子(しらいたかこ)

神奈川県藤沢市出身。

父の仕事の関係で幼少期、藤沢を拠点に大阪・福岡・名古屋にそれぞれ1年間住み、中学・高校時代を京都で暮らす。

京都女子高校~フェリス女学院卒。(音楽科)

 

1981年デビュー。

84年「CHANCE」のスマッシュヒットをきっかけに「ロックの女王」と呼ばれ、当時、アイドル歌謡全盛の中、自らの手で曲を作りバンドを率いて「渋谷ライブイン10DAYS」・「新宿厚生年金会館5DAYS」・「西武球場」ライブを成功させ、女性ポップ&ロックの先駆者的存在となる。

 

1988年、2年間休養~充電のため英国へ移住。

ロンドンでの自然豊かな生活をきっかけにエコロジックな生活を実践。

2001年、神奈川県の環境大使に就任。

取材・構成/大川原通之

写真/小林伸司

取材協力EXCEED

PEACE MAN CAMPを通して学んだこと

2001年から神奈川県の環境大使をやらせていただいてきました。今年になって還暦を迎え、ガッツなエネルギーを持って活動していけるのもそう長くない。もっと具体的な活動をしたいという思いが強くなってきてきました。

南伊豆に家を建てようと思って買った広さ3000坪弱の森(マーガレットグラウンド)を持っています。マイキャンプ場で、自然の息吹を感じたり、疲れた時に癒してもらったり、動植物の美しさ、怖さも含めて感動し、歌が生まれたりする場です。

この6月、この森を活用して楽しく自然を学べるイベント「PEACE MAN CAMP」を開催しました。


当初、南伊豆は遠いので、果たして人が来てくれるんだろうかと不安でした。でも、九州や四国から2日がかりで来てくれた人もいて、30人ぐらいが集まってくれました。

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2018年

5月

13日

「ほたるの川のまもり人」が伝える愛おしき未来

2ヶ月に一度、坂本龍一さんがホストを務めるRADIO SAKAMOTOという番組でエコレポートを担当している。

普段のオンエアでは、エコロジーオンラインという、何でもありの活動をしているNPO法人の近況報告をさせてもらうのだが、5月6日の回についてはパタゴニア日本支社長の辻井隆行さんとお話をして欲しいとスタッフからお願いがあった。

パタゴニアといえばアウトドアの世界で知らない人がいない大手ブランド。若くしてその日本支社長に登りつめた人だから、バリバリのビジネスマンをイメージした。スタジオに現れた彼はそんな予想を大きく裏切り、物腰のやさしい、ソフトな口調の青年だった。

彼との対話については番組ホームページをご覧いただくとして、そこで話題になった「ほたるの川のまもり人」についてご紹介したい。長崎県の石木ダムの建設問題に巻き込まれた住民たちを追いかけたドキュメンタリーだ。

真の文明は 山を荒さず 川を荒さず 村を破らず 人を殺さゞるべし

辻井さんという初めての人と会うわけだから、収録前にそれなりの準備は必要だ。

パタゴニアのホームページを確認するとこの映画を応援していることがわかった。ちょっとした機会があって訪れたお店では石木ダムについてダム建設が本当に必要かを考える公開討論会を呼びかけるチラシも配布していた。

エコロジーオンラインのような活動をしていると、世界のあちこちで起きる社会問題についての協力をお願いされることが多い。無言のプレッシャーも受ける。辻井さんと会った週もケニアのドゥルマ民族の自立に向けた闘いへのサポートをすることが決まったタイミングだった。実際に石木ダムの反対運動に関わっている余裕はない。そんな思いを抱きながら収録を待つことになった。

僕らが活動を支援するドゥルマ民族は、ケニア第二の都市モンバサの発展によって、自分たちの住む場所が奪われつつある。そんな彼らが見つけた移住先には水がない。伝統的な自給自足の暮らしをするには井戸が必要だ。貧しい彼らのために日本でお金を集めて井戸を掘ろう。それがこのプロジェクトの主旨だ。

「ほたるの川のまもり人」が生まれるきっかけとなった石木ダムも同じく水を開発する事業だ。都市部で必要となる水を供給するために石木ダムの建設が企画された。その計画が立てられたのはなんと50年も前のことだ。少子高齢化などで大きく地域社会は変化したのに、この計画が見直されることはなかった。そんな50年も前の計画でずっと住んできた人たちから土地が奪われる。途上国で起きていることと同じようなことがここ日本でも起きている。そんなことを感じた僕は郷土の偉人田中正造が遺した「真の文明」のメッセージを伝えることで番組を盛り上げることにした。

あなたの隣にいる、愛おしい人たちの物語

番組のオンエア後、自分は「ほたるの川のまもりびと」を配給する会社の方から連絡をもらった。クラウドファンディングに協力してくれた人たち向けのプレミア試写会に参加しませんか!というお誘いだった。

最近は海外での活動に加え、認知症のケアの取り組みも始まった。栃木から東京に出るだけでも一日仕事になってしまう。その忙しさを理由に上映会をお断りした。それならとネットで見る環境を整えてくれた。夜は母の見守り介護をしているので、自宅でならいくらでも時間はつくれる。なかなか寝付かない母のいる部屋の隣の仕事場で見ることにした。

ダムの反対運動について描く映画だから、肩に力を入れて見ないといけない。そんな思いを抱きながらディスプレイの前に座る。だが、その予想は大きく裏切られた。自分の肩からどんどん力が抜けていく。登場する人、動物、植物、木々、どれをとっても、可愛く、愛おしい。誰か友だちでも出ていそうな味わいだ。見終わってもう一度見たいな。素直にそう思った。

石木ダムの問題にはそう深く関われない。でも、この映画には深く関われる気もする。この映画を多くの人が見れば、きっと大きな変化が訪れる。あたり前のように思えたものが、いかに愛おしいものであったかを、多くの人が感じるようになって欲しい。

そんなわけでお近くの映画館で上映が決まったらご覧ください。もし、決まらないようなら、みんなで上映会をやっちゃうといいかも。

詳しくは下記のウェブをどうぞ!

ほたるの川のまもり人

エコロジーオンライン 上岡 裕

2017年

10月

26日

#09 エコロジーソングス <Black Sabbath / Into The Void>

Black Sabbath / Master of Reality (1971)
Black Sabbath / Master of Reality (1971)

悪魔崇拝という言葉は彼らのためにあるのではというほど、メタルの創始者「ブラックサバス」には悪魔のイメージがつきまとっている。

しかし彼らの本質はジャズを下敷きにしたブルースロックであり、また歌詞も悪魔から逃げまどい神に助けを求める(黒い安息日)など、当時のイギリスのホラー映画ブームに則ったまでで、本当に悪魔を信仰しているわけではない。

この曲は初期サバスの代表作「Master of Reality」を締めくくる大曲であり、3rd以降のサバスお得意の組曲構成のひな型となったと言っても過言ではない。

ただ流し聞きしているだけではなんだかおどろおどろしいという印象しか浮かばないかもしれないが、実は度重なる環境汚染により地球が壊滅的な状態になってしまったため、人類はロケットで脱出するという非常に警鐘的な内容の歌詞になっている。

終盤の「地球はもはやサタンの墓場となるであろう」という一節を聴いてなお、サバスを悪魔崇拝集団だと思っているのなら考えを改めるべきだろう。

文 / 上岡 ケン

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音楽は自然とともに 白井貴子 (水, 11 12月 2019)
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「ほたるの川のまもり人」が伝える愛おしき未来 (Sun, 13 May 2018)
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#09 エコロジーソングス <Black Sabbath / Into The Void> (Thu, 26 Oct 2017)
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#08 エコロジーソングス <George Harrison / All Things Must Pass> (Sat, 26 Aug 2017)
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#07 エコロジーソングス <西岡たかし / 砂漠> (Sat, 26 Aug 2017)
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#06 エコロジーソングス <Marvin Gaye / Mercy Mercy Me (The Ecology)> (Sat, 26 Aug 2017)
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#05 エコロジーソングス <The Beach Boys / Don't Go Near the Water> (Sat, 26 Aug 2017)
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<アースタロット>歌のチカラ (Sun, 30 Jul 2017)
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#04 エコロジーソングス <久保田麻琴 / 時は近ずいて> (Thu, 20 Jul 2017)
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<アースタロット>星はなんでも知っている (Thu, 29 Jun 2017)
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2017年

8月

26日

#08 エコロジーソングス <George Harrison / All Things Must Pass>

George Harrison / All Things Must Pass (1970)
George Harrison / All Things Must Pass (1970)

ビートルズ第三の天才ジョージ・ハリスンのソロ初アルバムからの表題曲。

ビートルズ時代から見え隠れしていた東洋思想的な世界観の完成を見た作品。

ジョージ・ハリスンという人物はレノンマッカートニーとは違い、抑圧されて才能を発揮するというタイプではなかったようで、ソロになってからの彼の作品はとても開放的な印象を受ける。

全編を通して貫かれる「永遠に続くものなど無い」というメッセージが流れる裏では西洋的なオーケストラが響いており、前述のとおり東洋思想をテーマとした作品なのだが、曲としてはエスニックなエッセンスなどは入っていない。

それは彼の中でシタールやタブラを導入して「みました」という興味の初期段階は過ぎ去り、血となり肉となった事を表しているのだろう。

文 / 上岡 ケン

2017年

8月

26日

#07 エコロジーソングス <西岡たかし / 砂漠>

西岡たかし / 砂漠 (1969)
西岡たかし / 砂漠 (1969)

はっぴいえんどと並び立つ偉大なグループ五つの赤い風船のリーダー西岡たかしの放ったURC第2弾シングル。

「遠い世界に」に代表される比較的前向きな作品を主に発表していた五つの赤い風船の活動の合間に西岡はポツポツと録音を残している。

それは、思いがけなく時代の申し子と化してしまった赤い風船の活動での鬱憤を晴らすかのように暗く、前衛的な作品群であった。

「砂漠」は第1弾シングルよりもシンプルな弾き語りで幾分か聞きやすくなっているが、赤い風船でのヒット曲「遠い世界に」と偶然にも対照的な歌詞と曲調だ。

たとえば「砂漠」では、

コンクリートに囲まれた現代の街を「砂漠」と表現し、

「この世界とは違う世界」の「本物の大地」に触れるために「暗い海」に「一人で船出」するという構成となっている。 

一方「遠い世界に」は 

「遠い世界」に旅に出ようか / 赤い風船に乗って「雲の上」を歩いてみようか / 「僕たち若者」 / 「みんなで歩こう」などそれぞれに対照的な言葉が入っている。

 

「遠い世界」というのは遠いだけであって地続きなことが伺えるが、「砂漠」では異世界のことを歌っているように思える。

同様に「雲の上」に「本物の大地」「暗い海」、「みんなで歩こう」に対して「一人で船出」と、レコーディング時期なども鑑みれば「砂漠」は、実質的に「遠い世界に」の裏返しと言ってもいいだろう。

「私の足は地に浮いている」「私の肌に感じる土が欲しい」という節から考えると、五つの赤い風船の活動に重圧を感じていたのではないだろうか。

 

西岡たかしはあまりにも明るい「雲の上」から「本物の大地」に降りたくなったのかもしれない。

文 / 上岡 ケン

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