【アメリカ発】今世紀末までにサンゴ礁が消える!?

 大気中のCO2が産業革命前比の2倍になるとき、サンゴ溶解が進みサンゴ礁が消える可能性があると、カリフォルニア州サンディエゴで開かれた米国科学振興協会の年次ミーティングで複数の発表があった。

 カーネギー協会のジェイコブ・シルバーマン博士のチームは北部紅海のサンゴの代謝から、サンゴが環境変化へ対応する能力について調べた。その結果、サンゴ礁は生息する海水の酸性度および温度にきわめて敏感であることがわかった。「海洋生態の中で最も豊かな多様性を持つサンゴ礁は。100年以内に劇的に減少する可能性がある」とシルバーマン博士はいう。

 

 海は大気中のCO2を吸収するが、酸性度が高くなり過ぎると、サンゴは硬い骨格を形成するのに必要な海水ミネラル分を吸収しなくなる。調査は、新しい組織を形成する際に海水酸性度と、酸性度ほどではないが海水温度が極めて重要な役割を果たすことを示した。チームの計算によると、世界中のサンゴが成長をストップして溶解を開始するのは、大気中のCO2が産業革命前比の2倍になる時で、それは21世紀の終わりまでに来ると予測された。

 

 また、カナダのブリティッシュ・コロンビア大学のサイモン・ドナー博士は海洋温度の上昇はサンゴが生息するのに不可欠な褐虫藻(光合成を行う極小の共生藻)の減少を引き起こし、サンゴの白化につながると発表した。褐虫藻はサンゴの鮮やかな色の元になっているだけでなく、必要なエネルギーのほとんどを供給している。

 

 海水温度が上がりすぎると、サンゴと藻の共生関係が崩れ、サンゴはサンゴ組織内から藻を追い出し、白化する。一旦この現象が起こると、サンゴはエネルギー源を失い死滅するという。「すぐに(炭素)排出を凍結したとしても、大気はすでに温まっていて、世界中のサンゴを白化させるには充分な状態」だと、ドナー博士。

 

 大量の白化は30年前までは極めて稀だったが、近年増加している。2006年に世界最大のサンゴ礁、オーストラリアのグレート・バリア・リーフを白化現象が襲ったが、稀な環境の"幸運な組み合わせ"によって回復した、と昨年科学者達が報告したばかりだ。

 

文:温野 まき 翻訳サポート:中野 よしえ

サイト

Telegraph.co.uk

URL: http://ow.ly/3xOLW

 

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