世界のエコビレッジから学ぶこと ~エコビレッジ国際会議2010TOKYOから~

 今年で4回目となるエコビレッジ国際会議TOKYOが、5月28日(金)~30日(日)の3日間にわたって、東京紀尾井町の城西国際大学で開催された。

 

 今回のテーマは『地球とつながるリローカライゼーション』~都市の再生成と農山村のエコビレッジ化~。経済後退や、資源の枯渇、気候変動と、地球規模の変化が起こっている今だからこそ、地球とつながるコミュニティの再構築が求められているというテーマのもと、国内外でエコビレッジに関わる人々が集まり、熱いディスカッションや事例報告などが行われた。

 

 初日5月28日(金)は、米国の未来型エコビレッジ「アルコサンティ」や低炭素コミュニティ「ヴィレッジホームズ」からの報告、また南インドのコミュニティ「オーロビル」が目指すコミュニティ思想の紹介など、魅力ある世界のエコ・コミュニティの実例が紹介された。

 

 アルコサンティ(Arcosanti)はフェニックスから北へ1時間ぐらいの砂漠の中にある実験都市。イタリア人建築家、パオロ・ソレリが提唱するアーコロジー(Arcology=architecture+ecology)の具現化を目指して、1970年代から今なお建設が続けられている。パオロ・ソレリの基本的な理念は、都市をコンパクト化し、社会的資源を集中させることにより、環境を維持していくという考え方。モータリゼーションによって郊外へと巨大化し、資源を浪費し、人間を疎外している現代都市に対するアンチテーゼでもある。

 

 一方オーロビルは、インド南部チェンナイ(マドラス)から160キロほど南に創造されたコミュニティ。40年以上かけて200万本近くを植林し、赤く劣化した荒れ地を緑のオアシスに再生した。もともとこの地域にあった原生種の苗木や植物を甦らせ、その結果動物や鳥たちも戻ってきたという。現在は、さまざまな国からやってきた約2000人が暮らし、100のコミュニティが形成されている。村ではパーマカルチャーによって農作物を作り、手工芸品を制作販売し、バイオガスや風力、太陽光といった再生可能エネルギーの導入がされている。

 

 紹介者は教育ディレクターのヒンドゥ・モハンティさん。「soil(土)、soul(魂)、society(社会)」という3つの側面から、オーロビルのビジョンを解説してくれた。中でも、soil(土壌)の再生はオーロビルの根幹を成すものであり、緑の再生により生物多様性も生まれ、その自然資源がコミュニティを作り上げてきた事実とその歴史は感動的。この成功を他の地域でも活用しようと、オーロビルはインドにおける環境保全研究の拠点ともなっている。

 

 一度失いかけた自然資本が回復し、コミュニティが作られ持続可能な生活が営まれていく。オーロビルに代表されるように海外のエコビレッジの事例は、これからの私たちの未来の暮らしをまさに「再生成する」ヒントに満ちていた。

 

 

取材・文:箕輪 弥生

サイト

エコビレッジ国際会議TOKYO2010

URL: http://ecovi.begoodcafe.com/

アルコサンティ(Arcosanti)

URL: http://www.arcosanti.org/

 

«一つ前のページへ戻る