日本の箸を「和RE箸」に! ワリバシカンパニーが設立

 8月4日の箸(はし)の日、国産間伐材の割り箸製造・販売を行うワリバシカンパニー株式会社の設立発表会が東京都内で開催された。登壇したのは、畜産農家の藤原孝史さん、割り箸職人の尾崎浩康さん、株式会社トビムシ代表の竹本吉輝さん、毎日アースデイ代表の池田正昭さんの同社発起人4名。環境や農業、林業の世界で活躍する4者が出会って会社設立に至った経緯や、事業にかける想いなどが語られた。

 日本人が消費する割り箸の量は年間約250億膳。かつてはその全てが国内で生産されていたが、現在では一部の高級箸を除き、ほとんどを中国からの輸入に頼っている。割り箸の原料となる間伐材などの木材資源は、日本に豊富にあるのにも関わらずだ。きっかけは木材の輸入自由化。価格の安い輸入材に押され、国産木材価格は低迷した。なかでも売値が運搬経費にもならないような木は、伐採されても利用されずに山に放置されてしまっている(切り捨て間伐)。その量なんと年間400万㎥!

 

 この問題を解決するには、収益を確保するような木材利用の形が必要となる。同社では小径木や曲り材といった利用価値の低い間伐材から割り箸を作る技術を開発。仮に250億膳の割り箸がすべて国産間伐材に切り替わると、100万㎥の間伐材利用が進むという。間伐材の買取り価格は㎥あたり8000円を計画しており、切り捨てられてゴミと化していた木材の1/4がお金に変わることになる。

 

 さらには、割り箸の製造過程で出る端材や使用済みの割り箸からおが粉やペレットを作ることも考えているという。これらを間伐材から直接作ろうとすると、コストが割に合わないだけでなく、エネルギー的にも収支が良くない。段階的に複数回利用することで、木材資源をより長く、有効的に使おうというものだ。生成されたおが粉は家畜の寝床として使われ、糞尿と混ざりあうことで、栄養豊富な堆肥となる。最終的には、間伐材割り箸から良質な土へのリサイクルを目指す。

 

 まずは年内に、年間1億膳の生産能力を持ち、30名ほどの雇用が見込める工場3ヵ所を稼動させる。割り箸の販売価格は1膳2.5円を予定。また、工場2拠点分の年間間伐材購入費に相当する金額を集める1口25000円のワリカンファンド(仮称)も近くスタートする。

 

 安心・安全な天然無垢の割り箸が安価で使えることは、消費者にとっても魅力的だ。しかもそれが、多くの人の喜びにつながるのであればこんなにうれしいことはない。割り箸を変えることで、日本を変えようというワリバシカンパニーの取り組み。今後も注目していきたい。

 

取材・文:加藤 聡

サイト

ワリバシカンパニー

URL: http://www.warebashi.com/

 

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