【ドイツ発】フライブルク市が新しいマスタープランを採択

 ドイツ・フライブルク市は、これまで先進的なコンセプトで独自の都市政策を世界にプレゼンテーションしてきた。2000年のハノーヴァー万博の際には『ソーラーシティ・コンセプト』、2010年の上海万博に向けては『グリーンシティ・コンセプト』をそれぞれ世界に向けて発信した。これらのコンセプトにより、昨年度の公式なフライブルク市への環境視察は2.5万人にも達し、非公式な視察を含めるとその数字は数倍になるという。

 2010年2月初旬には市議会で、さらに新しい都市政策のコンセプトとして、『エナジー・エフィシエント・シティ(エネルギー高効率の街)・コンセプト』を採択した。このコンセプトでは、チェルノブイリ原発事故のあった1986年以降、これまでフライブルク市が強力に推進してきた脱発電所政策、つまり、地域暖房ネットワークの拡張とコージェネレーション設備の充実をより大々的に進める。市の気候保護目標である2030年までにCO2排出量で40%削減(92年の基準年から2030年までの期間中に人口は約20%増加が予測)を現実のものとしたい意向だ。

 

 これまでにフライブルク市には、市内に大小交えておよそ140ヵ所のコージェネ施設が設置され(一般家庭用のマイクロ・コージェネは除く)、市内で消費される全電力量のおよそ50%が各種のコージェネで発電されている。ドイツ連邦全体での電力消費量に対する同発電の割合は現在およそ12%前後であり、連邦政府はコージェネ電力の優遇買取り制度と助成金の導入で2020年までにこの割合を25%に上昇させることにしているが、これと比較しても、フライブルク市の先進性が伺えよう。

 

 しかし、これでもまだ完全にはフライブルク市内の熱供給の際のコージェネ発電ポテンシャルには達していない。学校、病院などにおける改修の際や再開発計画の際に、確実に地域暖房ネットワークを拡充し、コージェネシステムを設置してゆくことで、2030年までにはさらに市内コージェネ発電の割合を戦略的に増加させてゆくことがこのコンセプトでは確認された。主なプロジェクトは以下の通り。

 

・Bプランを用いた小規模新興住宅地計画Gutleutmatten地区への地域暖房+コージェネの設置

・Bプランを用いた再開発計画Mooswald-Sued地区への地域暖房+コージェネの設置

・Bプランを用いた住宅地大改修計画「Weingarten2020」における地域暖房+コージェネの拡充

・工業団地における地域暖房+コージェネの拡充

・Egonstrasseにおける集合住宅地でのコージェネの導入

・改修予定の3つの学校におけるコージェネの導入

・大学病院の大規模コージェネ(現在は石炭利用)における木質バイオマスの導入

・天然ガスネットワークへのバイオガス導入計画

・ドイツ連邦のミニ・コージェネ、マイクロ・コージェネ支援政策に上乗せする地域の三セク電力事業者バーデノヴァ社による家庭用コージェネ支援策

 

 コージェネの先進国デンマークのコージェネ発電の割合は全電力消費量の50%に達しているが、これを凌駕する割合が将来のフライブルク市では期待されている。

環境ジャーナリスト 村上 敦 http://murakamiatsushi.de/

サイト

ソーラーシティ

URL: http://ow.ly/3xOS6

グリーンシティ

URL: http://ow.ly/3xOSw

 

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