原発を動かしているのはウラン

予断を許さない状況が続く福島第一原発 Photo By Globovision
予断を許さない状況が続く福島第一原発 Photo By Globovision

 東日本大震災で、東京電力の福島第一原子力発電所が大変なことになっているのは、みんなも知っているだろう。地震直後と比べればあまり報道されてなくなったが、現実には、放射能漏れの原因となる燃料棒の露出を防ぐための応急処置が行われているだけで、解決はしていない。

 この燃料棒の元になるのがウランだ。ウランは、地層に埋蔵されている鉱石から化学的手法によってウラン精鉱という原料になり、さらにこれを濃縮して原子力発電の燃料(低濃縮ウラン)ができる。日本で使われるウランは100%海外から輸入されている。主な産出国、カナダ、オーストラリア、カザフスタンが、世界の生産量の60%を占めている。ちなみ、ウラン採掘地では、放射能による土壌汚染や働く人々の健康被害が問題になっているところが少なくない。
 世界最大のウラン採掘・加工会社のひとつは、カナダのカメコ社。福島第一原発を持つ東京電力など、日本の電力会社は、カメコ社から長期的にウランを輸入するお得意様でもある。カメコ社の社長は、今回の原発事故の後も、世界では原子力発電産業が躍進していくと語っている。未来を選ぶのは、電力を使う私たち一人ひとりに違いない。

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