自然は語る ~地震の発生周期とその予知~

貞観地震――。869年に東北地方沖の海底を震源として発生したとされる巨大地震で、901年成立の歴史書「日本三代実録」にその記述があるという。3月11日に発生した東日本大震災に対して、「1000年に1度の大災害」という表現が度々なされてきたが、これには貞観地震と今回の地震の規模などに関する共通性をふまえた、巨大地震発生の周期性を示唆する意味もあるだろう。こうした地震の周期性に関して、東北沖での巨大地震発生周期が約440年おきに発生しているという分析結果を、東京大学の地震研究チームが発表した。

 これはあくまでおおよその値であり、地震が自然災害である以上、完全な予知は難しい。しかしながら、海底のプレートの動きや断層の研究によって、地震のメカニズムがある程度わかってきていることも事実である。自然環境とその変化に対する関心や探究が、いつ起こるかもしれない大地震に対する警戒を促してくれているのだ。被害を最小限に食い止めるため、進む日本の地震予知研究。それでもなお、自然への敬意と日頃の災害への備えを忘れてはいけない。

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