【アフリカ発】 世界最大の水力発電は誰のため?

上空から望むコンゴ川 Photo by Nick Hobgood
上空から望むコンゴ川 Photo by Nick Hobgood

 現在、世界最大の三峡ダム(中国)の2倍の電力を出力できる巨大ダム「グランド・インガ・ダム」がアフリカのコンゴ民主共和国を流れるコンゴ川に建設されようとしている。しかし、発電された電力が地元の人のために使われる予定はない。

 

 コンゴ川は世界で5番目の長さと、2番目の水量を誇る。水力発電に適した条件を活かして、すでに2つのダムがあるが、グランド・インガ・ダムは総出力40ギガワットで、アフリカの発電量を1/3も増やすと言われている。

 

 世界の開発投資トップの世界銀行やアフリカ開発銀行、ヨーロッパ投資銀行、そして海外の個人投資家やエネルギー会社がこの計画への投資に意欲的だ。アフリカ民主主義研究所の研究者シャーロット・ジョンソンさんは「海外の投資家達はこぞってダム計画に投資しようとしています。完成時に安い電力をたくさん手に入れることを期待しているのです」と言う。

 

「これにより電力の最終的な行き先が決定されることになるでしょう。地元の電力網は予算に含まれていません。暗闇の中に暮すアフリカのコミュニティが、グランド・インガ・ダムの恩恵にあずかることはなさそうです。電気を約束されてきた地元の5億人は暗闇の中に取り残されることになるのです」(ジョンソンさん)

 

 グランド・インガ・ダムで発電された電力は、鉱山および工業施設、南アフリカやエジプトの大都市部、そしてヨーロッパに輸出される予定だという。

 

翻訳サポート:中野よしえ

文:温野まき

 

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