本格化する「ボトル to ボトル」リサイクル

 AGF(味の素ゼネラルフーヅ)は、「ブレンディ」 ボトルコーヒーの主力商品すべてに使用済みペットボトルから作った再生樹脂を原料に用いた環境配慮型ペットボトル「フレンドリーボトル」を、2012年2月より順次導入していく。

 

 これまでのペットボトルリサイクルは、食品トレーや卵パック、繊維など、品質の低下した製品へのリサイクルが約9割を占めていた。技術的な難しさやコストの高さがその理由だ。AGFでは東洋製罐グループのペットリファインテクノロジーが持つケミカルリサイクル技術を採用することで、使用済みペットボトルを化学的に分解して原料に戻し、再びPET樹脂として利用。再生ペットボトルの品質は新品のペットボトルと同等で、従来使用していた石油原料を約60%削減可能だという。

 

 

 リサイクルで気になるのが環境負荷だ。限りある石油資源を有効活用するペットボトルリサイクルは非常に重要だが、新品のペットボトルを作る以上にエネルギーを使ってしまってはあまり意味がない。しかしフレンドリーボトルでは、原料の調達から製造、廃棄に至るまでのライフサイクル全体で約20%のエネルギー削減を実現した。

 

ケミカルリサイクルの樹脂製造工程 (ペットリファインテクノロジーホームページより転載)
ケミカルリサイクルの樹脂製造工程 (ペットリファインテクノロジーホームページより転載)

 飲料業界では、サントリーグループのサントリー食品インターナショナルが、回収したペットボトルを洗浄、高温で溶解、ろ過を行うことで高品質な再生PET樹脂を生産する「メカニカルリサイクル」を開発。今年5月より、「リペットボトル」として「サントリー ウーロン茶2L」などの一部商品に導入している。

 

 ボトル to ボトルのリサイクルは過去、原油高を背景に使用済みペットボトルを高値で買い取る中国などへの流出が止まらず、国内循環の仕組みが頓挫したという苦い歴史がある。AGFでは「震災を契機に消費者の意識は、環境保全や社会貢献志向に変わってきたことから、2013年を予定していたフレンドリーボトル導入時期の前倒しを決めた」としている。変わりつつある消費動向を後押しに、「ボトル to ボトル」は再び本格化に向けて走り始めた。

 

文:加藤 聡

 

味の素ゼネラルフーヅ

http://www.agf.co.jp/company/news/2011-11-21-505.html

 

ペットリファインテクノロジー

http://www.prt.jp/

 

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