【ネパール発】 モンサント社のハイブリッド品種に反対運動

Photo by By Tine72
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 11月25日にネパールのカトマンズでモンサント社(米国)のハイブリッド品種トウモロコシを栽培するための研修プログラム計画に反対するデモが行われた。発足からわずか1ヵ月のバブラム・バッタライ首相率いる新政権に計画を白紙に戻すよう促している。

 

 米国国際開発庁(USAID)は9月にモンサント社とネパールの農業庁と組んで、高収穫とされるハイブリッド・トウモロコシ品種の促進および育成方法についての研修をネパールの農民を対象に行うと発表した。それに続き反対の動きが出始め、その後、地元紙やインターネットを中心に反モンサント運動は活発になった。USAIDや農業庁は身動きが取れない状態となっている。

 

 この反対運動により、今回の協力関係および試験的プログラムを発表したUSAIDは発言を撤回。決定はネパール農業庁の判断に従うとし、責任をネパール政府に押し付ける形となった。USDIAはFacebook上で「複数の記事が示唆したような、米国政府がネパール政府に対して、ハイブリッド品種のトウモロコシを紹介するための新しいプログラムを開始した、とする事実は一切無い」と説明した。

 

 Facebook上ではさらに、スコット・デリシ駐ネパール米国大使が、ハイブリッド品種のトウモロコシのメリットを詳細に説明し、誤解を解こうとする文書を発表した。

 

 モンサント社は米国の多国籍バイオ化学メーカーで、遺伝子組み換え種子の世界シェアは90%。遺伝子組み換え作物のシェア獲得のための強引な商法がEUなどで問題となっている。環境保護団体のグリーンピースが「モンサント社7つの大罪」と題するレポートを発表している。

 

 ハイブリッド品種は品種を掛け合わせることにより、雑種強勢で強く優れた品種になる。しかし、その性質は遺伝的に次世代に受け継がれないため、毎年、種子を種子会社から購入しなくてはならない。

 

翻訳サポート:中野よしえ

文:温野まき

 

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